【20分×1日2回】「瞑想」でリラックスし、ストレスを吐き出そう
皆さん、仕事のストレスが溜まったり、集中力を欠くほど疲れたりしたとき、どのように解消していますか。お酒を飲んでも翌日に身体が重くなってしまう、ジョギングやスポーツで発散しようにもなかなか時間がとれない…なんてことはないでしょうか。
そこで、今回注目するのは、短時間で手軽に行えるリラクゼーション方法――「瞑想(めいそう)」です。瞑想とは、何かに心を集中させること、心を静めて無心になること、目を閉じて深く静かに思いをめぐらすこと――などと定義されています。
大手メーカーで30年勤務した後、外資系企業のトップに転身、現在はエグゼクティブコーチ&コンサルティング会社の代表を務める藤井義彦氏は、42歳のときに「瞑想」に出会い、その効果を実感したといいます。
「瞑想」を行うメリット、やり方について、藤井氏に教えていただきました。
心のコントロールが必要なスタイルと、必要でないスタイルがある
一口に「瞑想」といっても、実はいろいろな種類があります。代表的なものとしては「マインドフルネス」「坐禅」「TM」など。
「マインドフルネス」は、米国マサチューセッツ大学医学部でストレス低減法として使われていた療法が原型とされ、「自分の身体や気持ちの状態に気付く」ことを目指すものです。
「坐禅」は仏教において、姿勢を正した座り姿勢で精神統一を行う「修行」です。
これらは、意識を「集中」するのが特徴といえます。
一方、私が実践した瞑想法は「TM(超越瞑想/Transcendental Meditation)」。こちらはインド発祥で、「意識を集中させる」「雑念を払う」など、心をコントロールするための努力が不要。自然体で楽に行えて、リフレッシュ効果が高いのが特徴です。米国のIBMやGMなどをはじめとする大手企業でも、能力開発やストレスマネジメント法として導入されているほか、起業家、政治家、アスリート、ミュージシャンなど愛好者は幅広く、世界で600万人が実践している手法です。
私は瞑想(TM)を習慣づけることで、激務の中でもストレス知らずで快適に過ごすことができました。具体的には次のような効果を実感しています。
深いリラックスにより、ストレスを吐き出す
ストレスが溜まると、平常心を失ってムダが多くなり、判断も行動も微妙にブレてしまいます。落ち着いてやればできることも、焦るとうまくいかない。それがまたストレスを呼ぶという悪循環に陥ってしまうわけです。
悪循環を断ち切るためには、とにかくストレスを外に吐き出す必要があります。そのためには、深くリラックスすることが大切。瞑想はリラックスを与えてくれるので、心身が落ち着いた、健康な状態をよみがえらせることができます。
忙しくて睡眠時間が十分にとれない場合も、瞑想でリラックスすることで睡眠不足を補う効果があります。
また、瞑想を日常的に継続すると、「能力開発」が進展します。それまで十の努力で三の能力開発しかできなかったのが、十以上できるようになることも。一般に人の潜在能力は5~15%しか活用されていないといわれていますが、残りの力を引き出しやすくなります。
実際、瞑想を実践しているグループと実践していないグループに分け、1年間かけて学習能力の伸びを比較したところ、瞑想を実践しているグループのほうに大幅な能力の伸びが見られたという研究結果があります。
これは、瞑想による日々のリラックスが、思考力、創造性、理解力、記憶力を高め、それらが学習能力に結実したものと思われます。
瞑想の効果については査読化された研究論文が約400件発表されています。瞑想は宗教ではなく、科学的な技術なのです。初心者でも、瞑想を始めたその日から、心と身体が生き生きとしてくるのを感じるでしょう。まずは、瞑想を日常生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
瞑想のやり方は、訓練を受けた専門教師から習うことをお勧めします。とはいえ、どんなことをするのかイメージがつかないと一歩を踏み出しにくいかと思いますので、ポイントをお伝えしましょう。
●理想は「20分間」×1日2回
まず、瞑想とはどのくらいの時間やればいいのでしょうか。
結論からいうと、1日2回、各20分間というのがもっとも実践しやすいと思います。もちろん、決まりはなく、5分・10分でも、30分・40分でも構いません。
長い時間やれば、それだけ効果が高まるわけではありません。短くても毎日やることが肝心です。とはいえ、5分や10分では、瞑想状態に入ってからすぐに引き返すことになるので物足りなく感じるでしょう。長年瞑想をしている人なら2~3分で深い瞑想状態に入ることができますが、始めたばかりの人は雑念が出てくるので、時間がかかります。
最低10分、できれば20分間を目安にしてはいかがでしょうか。
ただし、20分を正確に計るために、時計を頻繁に見て何分経ったかを確認するということはしてはいけません。「そろそろ20分かな」という頃合いを見計らって終えるようにします。また、アラームをセットするのもお勧めできません。心身が無防備状態となっているため、アラーム音がいきなり鳴るとショックを受けてしまいます。
ただ、始めたばかりで感覚がつかめず、どうしても時間が気になって瞑想に集中できないという方は、頃合いをつかむまでは優しいアラーム音をセットして、実践してみてもいいかもしれません。家族がいる方であれば、20分経った頃にやさしく声をかけてもらってもいいでしょう。
●タイミングは、できれば「朝・夕2回」
瞑想を「いつ」するか。望ましいのは「朝・夕2回」です。
本来は、自然のリズムに合わせるのが効果的なので、太陽の動きに合わせ「太陽が昇り始めたとき」「太陽が天頂に来たとき」「太陽が没するとき」のタイミングがベストなのですが、会社に勤務しているとそうはいきません。
ですから、朝と夕(夜)、自分にとってやりやすい時間を見つけ、そのスケジュールを守りながら長く続けていくのがポイントです。
「朝は5分でも10分でも長く寝ていたい」と思うかもしれませんが、朝の瞑想は早起きの寝不足を補うだけのリラックスと休息をもたらしてくれます。もちろん、1日1回でも、平日と土日で時間帯を変えても構いません。
●飲酒後、入浴直後は避ける
入浴中~入浴直後は、全身の血液の循環が良くなり、脳だけに血液が集まりにくい状態になっています。それでは瞑想の効果は期待できません。お風呂に入った後に行うなら、20~30分程度空け、体のほてりを冷ましてからにしましょう。
同様に、お酒を飲んだ直後も、瞑想には向きません。食事をしながらの軽い晩酌程度であれば、食後1時間半~2時間空けるか、晩酌前に瞑想を行うのがいいでしょう。
●「静かな場所」ならどこでもOK
瞑想をする場所は、静かな場所であればどこでもOKです。
テレビやラジオの音など、なるべく雑音が耳に入らない環境で行ってください。時計をそばに置くなら、カチカチ音がしないものを。
また、明るすぎる場所よりは少し暗い場所が適しています。朝に行うなら、始める前に窓とカーテンを開け、新鮮な空気を入れて気分を一新。その後、窓とカーテンを閉じて少し暗くするのがお勧めです。
●体を締め付けるものは外す
服装はスウェットのように、体を締め付けないものにしてください。
もし仕事の合間に行うなら、ネクタイやベルトをゆるめ、腕時計やアクセサリーも外したほうが瞑想に入りやすくなります。瞑想中は五感が敏感になり、普段なら感じないかゆみや重さなどが気になってしまうからです。
●楽な姿勢で座り、最初は背筋を伸ばす
座り方は、正座でもあぐらでも、自分に合った楽な座り方であればどのような形でも構いません。「座禅」の座り方を参考にする手もありますが、形にこだわって無理をしないように。
イスに腰かけて行ってもよいのですが、その場合、浅く腰かけてイスの背にもたれかかるような姿勢はNG。重心が不安定になり、リラックスしにくくなります。
姿勢についても厳しい制約はありません。手をどこに、どんな形で置くのも自由です。
ただ「背筋をしっかり伸ばす」という点だけは留意しましょう。時間がたつにつれ、体が徐々にゆるんでくるかもしれませんが、自然に脱力した形になるのはそのままにしておいて構いません。
●呼吸を落ち着け、「吐く」に意識を傾ける
座ったら、呼吸をととのえます。目は閉じたほうが、自然な落ち着きを得られます。
最初に大きく深呼吸。ポイントは「吸う」より「吐く」に主眼を置くことです。胸だけでなく、腹から丹田(おへその下)に至るまでの体内の空気を、全部スーッと出す感じで息を吐き切りましょう。
そのとき、次のようなイメージを浮かべながら行ってください。
息を吐くとき…悲しみ、苦しみ、落胆、怒り、失望などが一気に外に出る
息を吸うとき…喜びや幸せ、希望や幸運などを吸い込んでいる
繰り返すうちに血液の循環が良くなり、体がポカポカしてきて、瞑想が深まりやすくなります。
――特別な場所に行く必要も、道具を準備する手間も、難しいテクニックを使うプレッシャーもありません。まずは、1日20分から始めてみてはいかがでしょうか。
藤井義彦氏
神戸市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、スタンフォード大学経済学部卒。(株)カネボウにて25年間営業に従事し、その後企画部長、外資系日本法人社長を経て、ガンガー総合研究所(GRI)設立。ハーバード・ビジネススクールAMP(高等経営者講座)修了。慶應義塾大学院ビジネススクール特別研究教授、西北工業大学客員教授などを歴任し、多くのビジネス・パーソンの教育に尽力。2011年10月、一般社団法人グローバル・リーダーシップ・コーチング協会を設立。グローバル化を目指す企業に対し、エグゼクティブコーチング、グローバルリーダー育成を通じて、企業を支援することで社会全体をもっと元気にすることを目標に活動中。
著書に『瞑想を力に』(知玄社)『ハーバード流 第二の人生の見つけ方』(東洋経済新報社)『経営者格差』(PHP新書)『仕事で疲れたら、瞑想をしよう』(ソフトバンク新書)『頭を空っぽにする技術』(Nanaブックス)など多数。
EDIT&WRITING:青木典子
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