「5分以内で戻るから鍵をかけない」に潜むリスクとは?
LIXILが実施した「防犯意識と実態調査」の結果によると、「外出時に鍵をかけないことがある」という主婦は、47.7%と半数近くもいるのだという。東京・大阪・愛知の20代~60代の主婦1500人の調査というが、犯罪の多い大都市で半数というから驚きだ。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「防犯意識と実態調査」調査結果を発表/LIXIL
5分以上の外出でも31.9%の主婦が鍵をかけない! という現実
筆者は、東京で生まれ育ち実家から通学通勤をしていたが、初めて一人暮らしをしたとき、日中在宅時は鍵をかけておらず、遊びに来た友人に「危険だ」と注意されたことがある。
狭いアパートなら在宅していることがすぐ分かるが、女性の一人暮らしでは、たとえ在宅時でも無施錠は危険なのだと防犯意識を変えた。それ以降はずっと、在宅時やマンションのエントランスまで新聞を取りに行く間でも、施錠している。
ところがである、東京都・大阪府・愛知県に住む主婦の47.7%が「外出時に鍵をかけないことがある」というのだ。このうち15.7%は「5分以内の外出」ならという条件付きだが、31.9%は「5分以上の外出」であっても鍵をかけないことがあるというのだ(画像1)。
では、どの程度の時間だと鍵をかけないで出かけてしまうのだろうか?
「近所のゴミ捨て場まで(5分以内程度)」(33.0%)や「近くのコンビニまで(10分以内程度)」(11.3%)までは予想できる範囲だが、「スーパーでの買い物」は30分のつもりでも意外に長引くものだし、半日や1日、1泊以上でも無施錠で出かけることがある、というので驚いた(画像2)。 【画像1】外出時の施錠状況(出典/LIXIL「防犯意識と実態調査」調査結果)【画像2】無施錠で出かける時間(出典/LIXIL「防犯意識と実態調査」調査結果)
ちょっとの時間だから、犯罪があまりないから、高層階だから…… 思い込みは厳禁
無施錠で出かける理由としては、「すぐ戻ってくるつもりだから」(47.3%)や「これまで空き巣等の犯罪に巻き込まれたことがないから」(27.8%)、「安全な地域に住んでいると思うから」(23.2%)、「鍵をかけるのが面倒だから」(19.7%)などが挙がっている。
オートロックがあるから大丈夫とか、高層階だから侵入されないといった声も多いというが、そんな無防備で本当に大丈夫だろうか?
窃盗のために侵入するのは、地上につながる1階が多いのだが、最上階やその下の階も狙われる。配管などをつたって屋上まで登ってしまう、といった侵入経路もあるのだ。マンションの高層階だからといって油断は禁物だ。
また、外出から戻った人や宅配業者と一緒に入ってしまえば、オートロックを通り抜けることもできる。セキュリティ設備といえども万能ではない。
ちょっとの時間だから、犯罪のない地域だからといった思い込みで施錠しない習慣ができると、侵入窃盗に遭うリスクも高まる。テレビの報道番組で紹介されていた手口に、役所の職員を装ってゴミを確認してほしいと言ってゴミ置き場まで連れ出し、その間に仲間が家に侵入して盗むというものがあった。
ゴミ置き場までなら鍵をかけずに出てくると踏んでの連れ出しで、5分や10分も引き止めれば盗むのに十分ということだろう。
出入り口と窓から侵入。誰かが在宅していても施錠は必要
LIXILの調査結果では、犯罪に関するデータも紹介している。
警察庁の調査によると、一戸建て・マンションともに窃盗の侵入経路は窓と出入り口からで、無施錠なところとガラスを破って侵入するというのが大半だ。
窃盗侵入件数を時間帯別に見ると、日中や夜間は空き巣(留守を狙って侵入)が非常に多い。しかし、居空き(いあき)や忍込み(しのびこみ)という窃盗もあり、時間帯によっては忍込みも多くなる(画像3)。「居空きは、家人が在宅し、昼寝や食事などをしているすきに住宅に侵入して金品を盗むこと。忍込みは、家人が寝静まっている時に侵入して金品を盗むこと」だという。
家で家事をしているときでも、家族が在宅しているときでも、侵入しやすい状態にあれば窃盗犯は忍び込む、ということだ。【画像3】警視庁「警視庁の統計(平成27年)」の窃盗手口別認知件数から時間帯別窃盗侵入件数(出典/LIXIL「防犯意識と実態調査」調査結果)
また、犯行にかける時間は、「5分以内」(29.0%)や「5分~10分以内」(40.0%)ということから、LIXILは「たった5分でも鍵をかけないと、窃盗被害に遭うことは十分考えられ、最悪、鉢合わせしてしまう危険性もある」と注意を呼び掛けている。
防犯については、玄関や勝手口、窓から侵入するのが大半なので、きちんと施錠することが基本だ。加えて、防犯性の高い玄関の鍵や割れにくい防犯ガラス、サッシのクレセント錠(三日月型の掛け金をくるりとかけるもの)で戻らないようにロックできるものなど、侵入しにくいものに変えることで、さらに防犯性を高めたい。そしてなにより、油断や思い込みをなくして、防犯意識を常に高くもつことが最大の防御となるだろう。
ちょっとの時間、外に出るだけでも、油断せずに施錠を!●参考
・防犯に役立つ情報が掲載されているサイト/住まいる防犯110番 – 警察庁
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