「夫が家事を手伝う」と妻のストレスが減り夫婦円満になるのか?
夫が家事を手伝うと本当に夫婦円満になるのか?
「何で女性だけが家事をしなければならないの!」という声を聞きませんか?
「夫も家事をすべき」という声は今や市民権を得た思想です。
このような中、「夫が家事を手伝う事が夫婦円満の秘訣」とも言われるようになりました。
ところが、「夫が家事を手伝う」ことは夫婦円満への手段の1つであり、それができれば必ず夫婦円満になるというのはあまりにも局地的な見解です。
逆に夫が家事をすると妻がストレスを感じ、結果として夫婦関係が悪化をする事もあります。
今回は夫が家事を手伝う事によって起こりうる、妻にとってのマイナス要素を取り上げます。
私自身、家庭支援の相談援助に携わり、また、「楽々家事の秘訣」という手法(セミナー等も実施)を考案し、自ら家事を実践している立場からの見解です。
夫の家事のやり方に対する妻のストレス
夫が家事を手伝う事による、女性に対してのリスクは3つあります。
1つ目は、私が前回執筆したJIJICOのコラムでも述べましたように、やり方が違う事によるストレスとそれに伴う子どもへの影響です。
家事は洗濯物の畳み方やしまい方、トイレ掃除に求めるクオリティ、食材の使い方等、やり方は千差万別です。
このやり方の違いが引き金となって夫婦間に苛立ちがおこる事があります。
実際、家事を手伝う夫は増えていますが、「かえって邪魔になった!」「何でそんなやり方をするの!」等と相手の善意を批判する妻がいるのも現実です。
(これが継続されると妻から夫へのDVに結びつくことがあります。)
また、このような母親の姿を見て育った子どもは、母親同様に自分の基準にそぐわない人を批判する人格になりかねません。
そしてこういった母親ほど、自分の善意を子どもに批判されると、「相手の善意に感謝できない人は最悪!」等と口にしていないでしょうか?やり方の違いが受入れられず、その結果夫婦間に軋轢が生じるのであれば、夫婦のどちらかが担い、やってくれた事に感謝する方がストレスは軽減し、子どもにとっても望ましいと言えます。
相手の善意に感謝する夫婦の姿を見た子どもは、それを見習い相手の善意に感謝できる人へと成長します。
自分のストレスを家事のせいにできない事
2つ目は自分のストレスを家事のせいにできない事です。
女性は仕事や日常生活でストレスを抱えた時「夫が家事をしないから私は苦労している」といった形でストレスを発散させる事があります。
この時、女性が抱えるストレスの原因は必ずしも家庭内だけではありませんが、「家庭内で妻だけが苦労して夫は楽をしている」という世間の風潮があるので、「私が疲れるのは夫が家事をしないから」と言う事ができるのです。
しかし、それは夫が家事をしないから言える事であり、夫が家事をすれば、このような形でのストレス発散ができなくなります。
また、夫が家事をすると、夫から妻に「出した物はしまいなさい!」等と注意をされる場面も当然出てきます。
女性にとってストレスを抱えた時に何かしらの捌け口や逃げ口がない状況は結果として自分自身を追い込んでしまい、より一層ストレスを抱えることになるのです。
夫の悪口を言う事が好ましいとは思いませんが、家事をしない夫の悪口を言う事によって生活や心身のバランスをとっている方は、夫が家事をするとそのバランスが崩れかねません。
家事は女性がやるべきものと考えている人にとってはストレスに
3つ目は女性としてのプライドの問題です。今の時代、「男は外で働き女が家を守るべき」と言うと「時代錯誤だ!」等と叫ぶ方もいるでしょう。
しかし、すべての国民が「夫も家事をすべき」と考えている訳ではなく、男は外で働き女は家を守るという価値観の人がいるのも事実です。
そういった価値観の女性にしてみると、夫の家事スキルが自分よりも高い場合、妻自身の「女としてのプライド」が傷ついてしまいます。(逆に、男は外で働くべきだという価値観の夫は、妻が自分よりも稼いでいると「男としてのプライド」は傷つきます)。
また、家事は自分のテリトリーで誰にも入られたくない領域ならば、夫が介入する事がストレスにもなりえます。
「夫も家事をすべき」というのはあくまでも一つの価値観であり、ともすると家事を手伝ってくれない夫と結婚した一部の女性の理想とする生活かもしれません。
前回のコラムでも書きましたように、最終ゴールは夫婦円満や家庭円満であって、そのための役割分担は時代がどうであろうと、その家庭に合わせたものが望ましいです。
(中原 崇/社会福祉士)
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