「野田総理に不信任案を出すんでしょうね?」 古賀茂明、TPP問題で山田元農水相を批判
公務員改革の主張や東京電力批判など、現在の日本で最も注目を集める人物のひとり古賀茂明氏は2011年11月17日、自由報道協会主催の記者会見に出席した。元経済産業省大臣官房付の古賀氏は、自身の今の肩書きを”無職”とする一方、肩書きは長い方が偉く見られる、と現官僚に対するブラックジョークで笑いを誘う一面もあった。
会見の焦点になったのは、野田佳彦首相のTPP(環太平洋連携協定)交渉参加表明や、国会版事業仕分けについてなどだ。古賀氏は「TPPについては基本的には賛成」とし、「TPPがあるなしに関わらず、やらなければいけないことがある。やらなければ日本は破たんする」と改革を訴え、実際の本格的な交渉に入る春以降までに、早急に”交渉の戦略”を構築すべきであるとの見解を示した。
また古賀氏は、TPP交渉参加に際し「国内の改革を止めようとする、農協と医師会への気遣いがものすごく強い」と述べ、金のばらまき問題などを指摘。そして民主党などの議員でつくる「TPPを慎重に考える会」会長の山田正彦元農林水産大臣に対しては特に、農業従事者や国民の不安を煽ったとし、
「(TPP交渉参加へ舵をとった)総理に対し不信任案を出すんでしょうね? 出さないのであれば、ただの政治ショー」
などと痛烈に批判した。
■大事故を起こした原因は人と組織の問題
衆院決算行政監視委員会の新藤義孝委員長は11月15日の記者会見で、政府の行政刷新会議にならった”国会版”事業仕分けを行うことを発表した。それに伴い委員14人のほか、参考人として民間有識者8人が参加。古賀氏も民間から選ばれた参考人のひとりだ。
古賀氏は、17日に行われた事業仕分けにおいて、原子力安全基盤機構などの独立行政法人は一度、解散すべきだという意見を述べたと発言。雇用者を一度解雇し、ゼロベースで電力会社やメーカーのひも付きでない優秀な人間を雇い、高いお金を払ってでも外国からも優秀な技術者を呼び、日本の電力会社と癒着していない人たちで検査する体制をつくることが必要であると語った。
農協、医師会、電力会社など古い体制に振り回されて酷い目にあうのは結局、国民だというのが、この会見において古賀氏の口からよく出た言葉だ。原発事故について、
「これだけの大事故を起こした原因は、津波だけではなく、地震だけでもない、むしろ人と組織の問題」
という古賀氏の言う通り、こうした根幹に関わる部分を改善できるかどうかが、今後の日本の未来にとって大事なポイントなのかもしれない。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]TPP交渉参加問題の話から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv71069733?po=news&ref=news#34:30
(森田浩明)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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