『ルンバ』の飼い方

先日、知り合いの結婚式で今話題の『ルンバ』が当たってしまった。

ご存知のない方のために一言で説明すると『ルンバ』とは“自動掃除機”である。
タイマーさえセットすれば、決まった時間に掃除を始め、掃除が終わると自分で充電器の元に帰っていく。

一人暮らしの身としては、なかなか手の出ない高価なものだと知っていたので、期待に胸を躍らせて帰宅し早速起動してみた。

軽快に動き出した『ルンバ』を見て安心し、コンビニにビールを買いに出かけ戻ってくると、『ルンバ』は部屋の隅のほうで動きを止めていた。
部屋はさほどキレイにもなっていないし充電器にも戻っていなかったので、ボタンを再度押してみる。動かない。
『ルンバ』を持ち上げて裏を見てみると、そこにはコンビニのビニール袋が詰まっていた。
詰まっていたものを取り除き動き出す『ルンバ』を見て一安心したので、一旦スイッチを切り充電器へと戻した。

“『ルンバ』が掃除するための掃除”を始めることにしたのである。

次の日、『ルンバ』のスイッチを入れて外出した。もちろん『ルンバ』のための掃除は済んでいる。
ピカピカになった部屋を想像して帰宅したが、今度は携帯の充電コードを巻き込んで停止していた。
ローラーに携帯の充電コードがぐるぐる巻きついて動けなくなっている『ルンバ』を再び救出し、充電器に戻した。

それから“『ルンバ』のための部屋改造”が始まった。

携帯の充電コードなど床に這わせていたコードはできる限り排除し、ラックの下にあるコンセントのところには進入しないようにバリケードを張った。
さらに“『ルンバ』が立ち入れないゾーン”を作ることのできる発信機も付属されていたので、それで怪しいところは徹底的にガードするようにした。なんだが、『ルンバ』が来る前よりも部屋が狭くなった気がする。

次の日、『ルンバ』が掃除する準備を完璧にし家を出た。
今度はどんなトラブルで停止しているかドキドキしながら帰宅したが、『ルンバ』はちゃんと充電器の上に戻っていた。
わざと落としておいたタバコの灰や、カーペットについた犬の毛まで完璧に掃除しているではないか!

こうして、私と『ルンバ』の生活は波に乗った。
『ルンバ』の上手な飼い方、それは“『ルンバ』が掃除しやすい環境を作ってあげること”である。
少し人間が手伝ってあげることによって、彼らは私たちがいない間にこっそりと、そしてきちんと掃除を終えてくれるのだから。
それは、さながら優秀な家政婦のように。

知らぬ間に愛着の沸いてくる不思議な掃除機、『ルンバ』をあなたも飼ってみてはいかがだろうか。

※この記事はガジェ通ウェブライターの「ぶらっくまぐろ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
広告代理店。独身。
関西生まれ。
好きなものはテレビと馬と食とタバコとお酒と異性。

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