脱原発のキーワードは「地域分散」 慶大・金子教授が語るエネルギーの未来

慶応義塾大学の金子勝教授

 慶応義塾大学の金子勝教授は2011年11月11日、ニコ生トークセッション「脱原発なニッポン計画」に出演。福島第1原発の事故以降の新しい電力需給の展望について、金子氏は「地域分散」をキーワードとして挙げた。

 「脱原発」が語られる時に議論となるのは、「脱原発」した場合の代替エネルギーは何かだ。太陽光発電や風力発電は天候に左右されるため不安定で、急に全面的な転換を図ることは難しい。『「脱原発」成長論:新しい産業革命へ』などの著書を持つ経済学者の金子氏は、太陽光発電などはしばらくの間、天然ガスや水力発電などの「可動的な電力」と併用すべきだと主張する。

「原発はいったん動かしたら止められない。石炭もなかなか難しい。(天然)ガスや水力は調整しやすい。そういうエネルギーと組み合わせるのがハイブリット型。それで、しばらくやっていける」

 さらに金子氏は、スマートグリッドと呼ばれるネットワーク送配電網によって電力不足を補い、地産地消(地域生産・地域消費)の電力需給ができると説明する。

「再生可能エネルギーが増えてきたら、今度は『スマートグリッド』という賢い送配電網(を利用する)。(電力を電池などに)貯めこんで、ネットワークを組んで、足りないところに送る」

「太陽光だけだと(電力供給が)不安定。風力とか地熱とか、いろんなエネルギーを持っている地域がバラバラにあるのを(スマートグリッドのような)ネットワークで広く結びつける。地産地消で自立したいけど自立し切れない部分を、ネットワークを組むことによって地域が自立できる」

 また金子氏によると、地域分散で電力不足を補うほうが実は経済も強くなっていくという。金子氏は「分散してもやっていける仕組みのほうがリスクに強い」と語り、経済学者ならではの見解を述べていた。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「これからのエネルギーについて」金子教授の発言から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv69757989?po=news&ref=rews#16:45

(境田明子)

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