TPP参加でも農家は安泰!? 賛成派の飯田泰之氏「日本の農業はまったく弱くない」
野田佳彦首相は2011年11月10日、TPP(環太平洋連携協定)への参加交渉に応じる意向であることを表明をする見込みだ。日本がもしTPPに加わった場合、懸念されるもののひとつに農業への影響がある。全国農業協同組合中央会(JA全中)をはじめ農業関係者は「TPP交渉への参加断固反対」 を掲げ、全国で反対運動を展開している。こうしたなか、9日のニコニコ生放送では農業への影響を懸念する声に対し、”賛成派”の経済学者・飯田泰之氏は「日本の農業はまったく弱い産業ではない」とし、TPPが農業に及ぼす悪影響は小さいとの見方を示した。
加盟国間で取引されるすべての品目において原則、関税を撤廃するTPP。仮に日本が加盟する場合、特に大きな影響を受けるのではないかと懸念されているのが農業だ。農林水産省はTPPに加盟した場合、国内総生産額(GDP)が4兆1千億円程度減少し、食料自給率が40%から14%に低下するとの試算を発表している 。JA全中などの反対集会やデモはこうした発表を受けてのものだ。
このように、農業への悪影響を懸念する向きに対し「日本の農業はまったく弱い産業ではない」と言い切るのは経済学者・飯田泰之氏だ。同氏は「日本は米、小麦以外に関しては(すでに)世界でも指折りの関税率が低い国。その中でまったく問題なく利益を出している」と主張。農業分野でも特に大打撃を受けるされる米についても、次のように語る。
「米農家というのは基本的に兼業農家。米農家の平均所得は440万円くらい。一方で一般勤労者の平均所得は400万。440万はすごい額なんですよ。勤労者(の平均所得)といえば20歳から60歳の平均。農家の場合は、20歳から70、80歳をいれてまだ勤労者平均より高い。なぜかというとコメ農家はほとんどが兼業農家だから。平均すると、兼業農家が占める農業収入の割合8%。コメ単作の主業農家もかなり強い競争力を持っている」
また、同じくTPP賛成派のみんなの党・松田公太議員は、「日本がTPPに正式に加盟したあとに起業するならどの業界か」という視聴者の質問に対し「農業に参加したい」と答えた。農業への株式参入など、「TPP参加したあと、農業改革があればという前提付き」と前置きしながらも、
「(農業や漁業などの)第一次産業というのはこれから伸びる。(農業は)黒字に出来るビジネスだと思う」
と語った。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]飯田泰之氏発言部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv69768519?po=news&ref=news#58:10
(松本圭司)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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