地球上の生物は40億年前一つの生物から誕生した?生命の起源を考える
地球上の生物は40億年前たった一種類の生物から誕生した
周りを見渡ししてみましょう。窓の外は緑の木々が茂り、蝶が飛び、鳥がさえずっています。
地面を見ると、アリがせっせと餌を運んでいたりする。
もちろん人もたくさん行きかっています。
生き物が全然見当たらない場所は、この地球上で探すのは難しいでしょう。(特に日本のこの時期は虫だらけですよね!)
実はこの地球上には、現在発見されている生物だけで200万種、実際はこの数倍~数十倍くらいはいるのではないか、と言われています。
ミミズやタコやネズミやゾウや桜や犬やニワトリやヒトや・・・目をつぶると次々といろいろな生物が思い浮かぶでしょう。
これだけ多種多様な生物たち、しかし、実は、40億年前、たった一種類(もしかしたらたった一匹)の生物から誕生し、分かれていった兄弟たちなのだ、と言ったら・・・信じられますか?
今日は、その最初の最初に誕生した生物のお話です。
地球誕生から生物が登場するまで
まず、「始まりの生物」を考える前に、「生物・生命とはなにか」を考えないといけません。
でないと、どの状態から「生命誕生」か言えないからです。
古今東西、いろいろ議論がされて来ましたが、現在
①代謝がある。(外界から物質を取り入れ、内部で物質交代を行う。もっと簡単に言うと「食べて活動する」)
②個体の再生産。(つまり「増殖する。自分と同じ子供を作る。」)
③生物の基本単位「細胞」からなる。
という事になります。もちろんいろいろ例外があるのですが・・・・
地球誕生直後の数億年、地球には大量の隕石が落下し、表面は数千度のマグマオーシャンだったようです。
とんでもない地獄のような状態で「冥王代」と呼ばれます。
こんな状態も5億年ほどで温度も下がり、海もできて形だけは現在の地球と似た状況になりました。
最初の生物が登場したのは、多分この時期です。
実際の生物の化石は38億年前のものが発見されていますが、微生物の化石が残りにくいことを考えると、実際の生命はもっと早い段階で生まれていたと思われるのです。
さて、では、この最初の生命は地球のどんな場所で生まれたのでしょうか?
地球型生命共通の始祖である微生物LUCA
発生場所の特定には、今まで生物学者によって侃々諤々の議論が繰り返されてきました。
しかし最近になって、生物の遺伝子の時間的変化をある程度正確に追える手法が確立され、この研究は新たなステージに入りました。
生物は長い時間をかけて「進化」し、その姿かたちを変えていきますが、もちろんこれは「遺伝子」の変化があってこそ、です。
そこで、生物学者たちは、現在の生物の遺伝子を解析し(ゲノム解析)、時間的変異を追跡していったのです。
言ってみれば、進化の系統樹を「根元」に向かって逆にたどるようなもので、追跡の道筋は、どんどん集約され、とうとうある微生物のグループに行きつきました。
もちろん現存してはいませんが、その微生物グループにはLUCA(Last Universal Common Ancester=全生物最終共通祖先)と名付けられたのです。
ゾクゾクするような名称ですが、まさに地球型生命の共通の「始祖」ということになります。
そして探索の結果、そのLUCAに似た性質をもつ微生物が、現在の「深海熱水噴出孔」にいることがわかったのです。
深海の熱水が噴出する、光の届かない、無酸素で高温高圧の場所です。
私たちの始祖は、こんな極限状態で産声を上げたかもしれないのです。
ここで、地球内部から噴出する硫化水素やメタンや水素等を利用し、活動のエネルギーを得ていたのでしょう。
その後は、数限りない進化、多様化を繰り返し、現在の数百万種の生物種になっていったのです。
まだまだ仮説の域はでていませんが、この「深海熱水噴出孔発生説」はかなり本命視されてきました。
生命誕生の謎はまだまだあります。
たとえば、生物を形作るのに、アミノ酸が不可欠ですが、ほとんどのアミノ酸にはL型とD型が存在します。
このL型とD型はちょうど「鏡像」関係にあり、原料は同じなのに、鏡で映したように左右対称です。
実験室では普通に作ると両方とも同じ分量出来るのですが、なぜか地球の生物を形作るアミノ酸はみな「L型」なのです。
そのため、このL型アミノ酸は宇宙から飛来して最初の生物の原料になったのではないか、という「生命起源宇宙由来説」もあるくらいです。
この夏、想像力をちょっとたくましくして40億年前の私たちの「始祖」の生命について思いをはせてみませんか?
(北川 実/理数専科塾塾長)
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