プロが伝授! おいしいアイスコーヒーの淹れ方

季節は夏真っ盛り。こう暑いとキーンと冷えた飲み物が恋しくなるものです。なかには、おいしいアイスコーヒーを自分で淹れてみたいという人もいるのでは? そこで、コーヒーの仕事に携わって50年し、東京都練馬にある「さかい珈琲」店主・阪井寛治さんに、おいしいアイスコーヒーを淹れるポイント&コツを聞きました。
まずは自分好みの“コーヒー豆”を選ぶところから
阪井さんによると、「おいしいアイスコーヒーを淹れる第一歩は豆選びから」とのこと。
「コーヒー豆は品質によって、レベルが分けられています。例えば、生産国において『栽培管理』『収穫』『生産処理』『選別』『品質管理』といった項目が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少なく、なおかつカップテストにおいて80点以上のコーヒーはスペシャルティコーヒーと呼ばれ、価格は少し高くなりますが味が格段に良いです。口に含んだときの“甘み”“質感” “爽やかな酸” “後味”といった風味のバランスがしっかりと取れているんです。よく、コーヒーの酸味が苦手とおっしゃる方がいらっしゃいますが、スペシャルティコーヒーは“バランスが取れた質の良い酸”なので、結果的においしいと感じられる方がほとんどです。まずは、コーヒー豆にもこうした違いがあるということを踏まえて、豆選びをしていただくといいと思います」(阪井さん)
また、豆の品質はもとより、その人の好みも大事だといいます。
「豆のローストは、『ライト』『ミディアムライト』『ミディアム』『ハイロースト』『シティロースト』『フルシティ』『フレンチロースト』というレベルに分かれます。浅煎りで軽やかな『ライト』から、コクと苦みをしっかり感じる深煎りの『フレンチロースト』まで、同じ豆でも焙煎(ばいせん)の段階で味わいが変わります。日本では中段階の『シティロースト』がメジャーですが、アイスコーヒーには浅煎り豆もあっさりとしていておすすめですよ。いずれにしても、好みの豆と焙煎レベルを見つけるために、実際に飲んで確かめてみていただきたいです」
ちなみに、さかい珈琲では20数種類のスペシャルティコーヒーの豆を販売するだけはなく、店内の喫茶コーナーで1杯310円という破格で提供しています。「飲み比べることで自分の好みを見つけてください」と阪井さん。
【画像1】阪井さんがイチオシの浅煎り豆を淹れてくださったのだが、その味わいは今まで飲んだことがあるコーヒーとはまるで別物! まるで紅茶か、はたまた柑橘系のジュースかのようなフルーティーさで美味。正直、こんなにおいしい物を飲んだことがない……というくらいのレベルで驚いた(写真撮影/末吉陽子)
おいしいアイスコーヒーを淹れる手順とは?
コーヒー豆の選び方を教わったところで、お家でできるアイスコーヒーの淹れ方をレクチャーしていただきます。ちなみに、淹れ方のパターンとしては「お湯で淹れたコーヒーを冷ます方法」が2通り、「水でコーヒーを抽出する方法」が1通りあるそう。それでは、それぞれ見ていきましょう。
【淹れ方】その1
90℃のお湯をドリップポットに入れ、挽(ひ)いたコーヒー豆20gに注ぎ100cc抽出します。
【画像2】1回目に注いだときは40秒ほど蒸らし、残りはじっくりと丁寧に注いでいきます。ちなみにお湯を注いだときに、挽いた豆全体がふっくらとふくらむのは豆が新鮮な証拠なんだそう(写真撮影/末吉陽子)
抽出が終わったらコーヒーの中に多めに氷を入れて素早くかき混ぜ、冷えてきたところで氷だけを捨てます。出来上がりで約150ccになります。
【画像3】味が薄くなってしまわないよう、スプーンで素早く混ぜるのがポイント(写真撮影/末吉陽子)
【淹れ方】その2
挽いたコーヒー豆20gを90℃のお湯で300cc抽出し、氷と水をたっぷりと張ったボウルで冷まします。
【画像4】外側からじっくりと冷ますことで、コーヒーの風味と香りをしっかり閉じ込める(写真撮影/末吉陽子)
いずれも氷でじっくり冷やすことがポイント。お湯で淹れてからすぐに冷蔵庫で冷ますと、せっかくのうま味が逃げて、色も濁ってしまうんだそう。
【淹れ方】その3
最後は水でコーヒーを抽出する方法。お茶パックのようなパックのフィルターに挽いたコーヒー豆20gを包みます。容器に入れて300ccの水を注ぎ、冷蔵庫で10時間ほど抽出してから引き上げて完成。
【画像5】冷蔵庫で冷やす際は臭い移りを防ぐために、ふた部分をラップで密閉するとなお良し。右のような、コーヒー豆をパックに入れる手間が省ける、水出し専用の容器も通販などでは1000円程度で販売されている(写真撮影/末吉陽子)
少しのコツで一層おいしくなるアイスコーヒー。暑い夏の日に、ぜひお試しあれ!●取材協力
・さかい珈琲
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