渋谷からわずか15分、実は農業が盛んな「川崎市・溝の口」の魅力
京浜工業地帯の一角を成す神奈川県川崎市の臨海部は、日本屈指の工場集積地帯。夜ともなれば、工場の明かりや煙突から吹き上がる炎に、プラントから立ち上る水蒸気が照らし出され、映画『ブレードランナー』のような幻想的な世界観を織り成します。川崎市はこの景観を観光資源とした「工場夜景ツアー」をスタートさせ、いわゆる「工場萌え」の名所として知られるようになりました。この工場夜景人気も手伝い、近未来的な工業都市のイメージが定着している川崎市ですが、じつは、「ブランド野菜」の産地であることをご存じでしょうか。
川崎市一体は、かつて江戸の胃袋を支える農業地帯で、臨海部以外には昭和30年代前半ごろまで多くの農地がありましたが、高度経済成長期に入ると都市化が進み、農地は住宅地に転用され、急激に姿を消していきました。それでも川崎市には、いまだに農地を守り、農産物をつくり続ける農家が約1200軒ほど残っています。(川崎市農業振興課調べ)
価格競争や後継者不足などで農業の危機が叫ばれるなか、川崎市の農家は、ブランド化や直売所の展開、収穫体験ができる観光農業の運営といった、一大消費地に近いという地の利に適った経営努力によって、苦戦を強いられながらも善戦してきました。
川崎市もこれを後押しし、「かわさき農産物ブランド」の登録事業をスタート。鎌倉時代から栽培される伝統野菜「のらぼう菜」をはじめ、現在、地域に根ざした20品目25種類の野菜が登録されています。(川崎市農業振興課調べ)
生産者と消費者の距離が近い高津区
川崎市の中央、溝の口から西側はとくに農業が盛んで、野菜の直売所も数多くありますが、なかでも高津区は農業の推進に力を入れている地域です。区内には30カ所以上もの直売所があり、生産者の名前入りのマップも作成。南部の橘(たちばな)地区では、高品質なブロッコリーやトマトなどを栽培するだけでなく、サツマイモの植え付けから収穫までを学ぶ農業体験といったイベントや、地野菜を使ったレシピの発信なども行っており、食育の面でも魅力的な環境と言えるでしょう。
高津区の中心である東急溝の口駅・JR武蔵溝ノ口駅から徒歩約5分の「久本薬医門公園」では、偶数月の第3日曜に、地元農家の方が直接野菜を販売する「高津さんの市」が開催されており、新鮮で安全、安くておいしい野菜を求める地元の方で毎回大盛況。北口から徒歩約5分の場所には農産物直売所「JAセレサ川崎高津支店」もあります。【画像1】地元農家と地元住民たちで大盛況の「高津さんの市」(写真提供/川崎市高津区)
さらに、溝の口駅南口から市営バスで約16分の「小泉農園」(宮前区)では、「農園フェス」といった新しいイベントも行われました。
「『農園フェス』は、農場を舞台に、地元の屋台が出店し、ライブを行ったり、畑探検ツアーや収穫体験といったワークショップを行ったりしながら、地域住民の方に農業に触れてもらうという、今までにない試みです。5月の開催時には、地元の親子連れを中心にたくさんの人に来ていただきました」(主催者の一人、山本美賢さん)
【画像2】小泉農園を舞台に開催された「農園フェス」(写真提供/山本美賢<株式会社LockUP>)【画像3】「農園フェス」の目玉イベントの一つ、「農園探検ツアー」(写真提供/山本美賢<株式会社LockUP>)
溝の口といえば、東急田園都市線で渋谷駅からわずか15分。川崎市屈指の繁華街なのに、これほどまでに生産者との距離が近いなんて、贅沢な環境ですね。まさに「都市型地産地消」。都心の近くに住みながらも、四季折々の新鮮で安心な地元の食材を楽しむ。そしてそれが地域の農業の発展にもつながっていく−−これからはそんなライフスタイルに注目が集まる予感がします。SUUMO 次にくる住みたい街はここだっ!~溝の口編~
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