日常生活でのストレスが命を奪うことも 「キラーストレス」とは?
人を死に至らしめるキラーストレスとは?
近年、うつ病や自律神経失調症などの「心の病気」は広く認知されるようになり、それらを発症する大きな要因の一つが「ストレス」であることをご存知の方も多いでしょう。
この「ストレス」が「心の病気」の発症要因になるだけでなく、複数のストレス要因を同時に抱え続けることで、生命の危機にもなりかねない「キラーストレス」の発生を引き起こすことが、NHKの特別番組で放映され話題になっています。
「キラーストレス」とは、その名の通り「人を死に至らしめる程危険なストレスホルモン」のことで、人がストレスを受けた時に副腎から分泌される「コルチゾール」というホルモンが、継続して大量に分泌され続けると「キラーストレス」に変化し身体に様々な不調を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあるというもので、過剰な精神的・身体的ストレスが継続することで起こる突然死も「キラーストレス」と無縁ではないでしょう。
ストレスは体の様々な器官に悪影響を及ぼす
人は「ストレス」を感じることで自律神経バランスの乱れを起こします、自律神経の内の「交感神経」が働くことで、体の様々な器官に影響を及ぼすのです。
例えば心臓に関しては脈拍数が増加し、血管は収縮します、胃や腸の機能は低下して吐き気や腹痛を起こしますし、肺は気道開放と言って開いた状態になり息苦しさや過呼吸などが起こります、
また「ストレス」を感じると免疫細胞の機能が低下し、風邪をひきやすくなったり、がん細胞に対する抵抗力が低下したり、感染症を発症しやすくなったりもします。
脈拍数の増加と血管の収縮が同時に起これば血圧は上昇します、これは心臓に多大な負担をかけることになり、この状態が長く続けば心不全や心臓発作に至る可能性もありますし、血管に強い圧力がかかり続ければ動脈硬化の原因にもなります、脳の血管でこれが起これば脳出血の可能性も否定できないでしょう。
ストレスが原因のパニック発作とキラーストレスの違い
心の病気の中に「パニック障害」と呼ばれるものがあります、これは予期せぬパニック発作(激しい動悸・呼吸困難・発汗・めまい・震え・等)が起こり、このまま死んでしまうのではないかという恐怖感が脳に学習され、発作に対する恐怖感や不安感が起こるようになり、それがストレスとなって新たな発作を誘発するという症状です。
このパニック発作は、日々のストレス・その日の体調・状況などが絡み合い、自律神経のバランスが崩れ、体の器官に対して爆発的に症状が出た状態で、本人としては死を感じるほどの痛み・苦しさ・恐怖を感じますが、多くの場合は10分から長くても1時間以内に治まり、その後検査をしても身体的な異常は観られないと診断されます。
「キラーストレス」が発生している状態は、症状はパニック発作よりも緩やかですが、この様な状態が慢性的なストレスによって長期間継続している状態なのです。
通常パニック発作で命を落とすことはありえません。しかし「キラーストレス」によって心拍数の増加や血管の収縮からくる高血圧などが長期間継続すれば、心不全・動脈硬化などの症状を誘発する可能性も否定できません。
キラーストレスから自分を守るためには?
NHKの放送内では、一年間に起こったライフイベントをチェックすることでストレスの蓄積を測り、「キラーストレス」に対する危険度をチェックする方法を紹介していました。
これは有効な方法ですが、ライフイベントは意識して避けることの出来ないものも多くありライフイベントそのものを変えていくことも困難です。
大切なことはストレスフルな状態を長引かせないことです。
趣味や運動など気分を切り替える手段を多く持つこと、また同じライフイベントを経験しても掛かるストレスの大きさには個人差があります。
日常生活を送るなかで、様々な出来事に遭遇しますがそれを抱え込まず、うまく他者にお願いすることや時には勇気をもって断ることが出来る人はストレスを慢性化させることはないでしょう。
ストレスを感じずに生活をすることは不可能ですが、ストレスと上手く付き合っていくことで「キラーストレス」から自分を守ることが出来るはずです。
(西尾 浩良/心理カウンセラー)
関連記事リンク(外部サイト)
冷え・ストレスは大敵!アレルギーに負けない体づくり
増加傾向にあるドライマウスの原因と治療法
ストレス対策やリフレッシュ効果だけでないアロマの力
最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。
ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。