差別はネットの娯楽なのか(18)――反ヘイトスピーチ裁判と参議院選挙「誰にも聞いてもらえない、届かない弱者の声を聴く人こそが本当の政治家だ」

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私は2014年8月18日、大阪地方裁判所に在特会と同会長(当時)の桜井誠氏、保守速報を相手取った2件の裁判を起こした。あれからもう2年、早いですね。ここで原稿を書くのは2年半ぶり、もっとかな。私も34歳になりました。…嘘です、44歳です。

5月17日の対在特会と桜井誠前会長の裁判、傍聴席の約3倍の人々が駆けつけて下さった。裁判自体は本人尋問ということもあってすごくしんどかったけど、拍手で送り出されて、なんだろう。すごく安心できた。

当日の支援者集会ではC.R.A.C.K.の野間易通さんにスピーチして頂いた。とても熱いメッセージで、この裁判のことを最初に相談して本当に良かったと今でも思っている。

提訴したときの記者会見では、伊藤大介さんと岸政彦さんがそこに同席してくれた。辛淑玉オンニは、「日本人の、男の友人がいるってすごい。お前は幸せだ」って話していた。性別を問わず、いつも多くの人に支えてもらっている。格好いい友だちが多いのが自慢だ。ソウルや北海道、東京、神奈川、岡山や全国各地からみんなが駆けつけてくれた。ほんまにありがとうございます。

6月9日の対保守速報の裁判でも、多くの人が詰めかけた。私はみんなに、ちゃんとお返しができるのかなといつも思う。みんなの姿を見るたびに、ほっとする。

法務省人権擁護局は2015年12月22日、東京都小平市の朝鮮大学校前でヘイトスピーチを行ったとして、桜井氏に対し、今後同様の行為を行わないよう文書で勧告した。4年かかったが、在特会と桜井氏が在日朝鮮人の人権を踏みにじって来たことは、この勧告でも証明されている。

続いて12月30日にはTwitter社がルールを改正し、人種や性的指向へのヘイト行為や脅迫行為など、禁止事項を詳細にすると明らかにした。

年が明けて1月15日には、大阪市議会がヘイトスピーチ抑止条例案を可決した。5月24日に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が、衆参両院の議決を経て成立。この国で外国人を守る法律が初めて生まれた。

また、5月31日には川崎市がヘイト団体の公園の使用について、不許可処分を発表。川崎の友と、涙を流しながら喜んだ。社会が大きく変化していることを、毎日のように感じている。

そして、6月3日に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行された。ヘイトスピーチが激化してからわずか3年で、法律が出来たなんて夢みたいだ。

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裁判を起こそうと思った時、こんな裁判をするのは自分が最初で最後になればいいと思っていた。そして今、外国人を管理する法じゃなく、守る法が出来た。自分が生まれた国で初めて出来た。本当に嬉しい。もちろん、この法律は完璧じゃない。生まれたての赤ちゃんのような法律で、危なっかしいし足りないとこはいっぱいだ。私のような裁判が二度と起こらないように、この法律をみんなで育てて行きたいなと思う。

7月12日は、対在特会の裁判がいよいよ結審を迎える。地裁判決は秋ごろになるだろう。私は、必ず勝つ。それに先立つ7月10日には参議院選挙が行われる。選挙権を持たない両親に、政治について教えてもらったことがある。「誰にも聞いてもらえない、届かない弱者の声を聴く人こそが本当の政治家だ」と。

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この数年間、票にならない人の、弱者のために路上で闘ってきた政治家がいる。自分に選挙権があればと、ここ何カ月もそう思ってきた。有権者の一票には、選挙権を持たない誰かの思いも託されている。私にこの夏、まず「勝利」を見せて。日本人、頑張れ!私ももっと頑張る。

一緒に勝ち抜こ。

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(執筆者: rinda) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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