ミラーレス動画の世界へようこそ『SONY NEX-5N』本気を感じる動画機能とあたらしいEマウントレンズ

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NEX-5N

動画に一番本気なのは、ソニーなのかも知れない。
動画機能を搭載したミラーレス一眼カメラは増えるばかりだが、正直なところほとんどが“オマケ”の域を出ていない。「これだったら普通にビデオカメラで撮ったほうがいいんじゃないか」と思わされることも少なくない。
そうした中にあって、NEX−5Nの動画への本気度は、際立っている。

アマチュアが手にすることができる範囲のカメラで、「表現」のツールとして選べる動画カメラは実はとても少ないと思う。知るかぎりにおいて最右翼はPanasonic GH2。というかGH1も含めたGHシリーズだろう。
筆者自身、初めて購入した一眼ムービーカメラがGH1だったのだが、このカメラで動画撮影をすると楽しくて仕方がなかった。液晶モニターにうつる映像は紛れもなく目の前にある現実の景色を切り取ったものなのだが、不思議なほど情感のこもったショットにして再現してくれる。

そして、今回のNEX−5Nだ。
まず、たたずまいが良い。スタイリッシュなだけでなく、「道具」としての信頼感がある。親しみやすさを強調するでもなく、懐古趣味に傾倒するでもなく。といって無骨なだけでもなく。
かんじんの、映像の質も実に良い。特に今回の作例では「リッチトーンモノクロ」という撮影モードを多用しているが、高解像度、高階調、そして美しいボケによって描き出されるしっとりとしたモノクロ映像は、撮影しながらときにうっとりとした気分にさせられることさえあった。
静止しているようで、微かに動いている。つぶれているようで、微かに見えている。こうした微妙ともいえるディテール描写が、感動を左右することは多い。細かいトーンの違いに徹底的にこだわる写真の世界に、動画の世界も近づきつつあるのを感じる。

ミラーレス・ムービー2強(私が勝手にそう決めつけているのだが)の一方であるパナソニックが、「女流」なのか「ファミリー向け」なのかと決めかねている(ように見える)一方で、NEXシリーズは一本道を進みつつある。11月に発売される上位機種・NEX-7を旗艦として、年内に次々と発売されるレンズ群が深みを加えることになるだろう。今回は、その中から特に魅力ある3本のレンズを使って、作例ムービーを撮影してみた。
「SONY NEX-5N with new E-mount lenses (Carl Zeiss24mmf1.8/ 50mmf1.8/ 16mmf2.8)」
http://www.youtube.com/watch?v=gEP3dMdQvnc

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA  12月発売予定 希望小売価格: 103,950円(税抜価格: 99,000円)
人気のカールツァイス。ラインナップするメーカーの本気も感じるが、このレンズを購入するユーザーは、「NEX道をゆくぞ!」という決意のようなものを感じるのではないだろうか。35mm判換算で36mm相当と、やや広角。建築物などの撮影では威力を発揮しそう。

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZAで撮影

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZAで撮影

SEL16F28 E16mm F2.8  希望小売価格: 31,500円(税抜価格: 30,000円)
35mm判換算で24mm相当のワイドレンズ。いわゆるパンケーキレンズで非常にコンパクトだが、描写力はよかった。低価格なのも嬉しい。

SEL16F28 E16mm F2.8で撮影

SEL16F28 E16mm F2.8で撮影

SEL50F18 E 50mm F1.8 OSS  12月発売予定 希望小売価格: 36,750円(税抜価格: 35,000円)
今回は人物メインの撮影だったため、気がついたらこのレンズばかり使っていた。F1.8で描き出されるボケ味は、やはり非常に美しい。このレンズと「リッチトーンモノクロ」の組み合わせは最強ともいえるほど魅力的だった。

SEL50F18 E 50mm F1.8 OSSで撮影

SEL50F18 E 50mm F1.8 OSSで撮影

SEL50F18 E 50mm F1.8 OSSで撮影

SEL50F18 E 50mm F1.8 OSSで撮影

これだけのレンズが小さめのカメラバッグに全部すっぽり収まってしまうコンパクトさは、単独の撮影旅行などにはありがたい。アルミニウム合金などしっかりした素材を使っているせいなのか、見かけのわりにずっしりと感じるのだが。
いずれのレンズにも静粛性の高いAFを搭載しているあたり、動画へのこだわりを強く感じる。ただ筆者はAFでの撮影にどうしても慣れないので、結局はMFで撮影していた(手動のフォーカス操作は、もう少し使いやすくしてほしかった)。

キヤノンのEOSムービーや、同じソニーが展開するAマウントのカメラなど、やや大型で高価格なカメラの動画性能にも肉薄しつつあるミラーレス動画。
これほど小型でありながら、表現ツールとして充分な性能をカメラは備えつつあるのだが、さてこれらの優れた機材を手にした作家なりマニアは、これでどんな作品をつくっていくのか。YouTubeなどをみても、なかなか「これはミラーレス動画ならではの表現だ」という優れた作品に巡り会う機会は、今のところ少ない。映像の作り手としては、カメラから宿題を与えられたような気がしている。

モデル: 佐藤良美(23歳/ SMASH MODEL MANAGEMENT所属)
ブログ http://yoshimist.blogspot.com/ [リンク]

音楽: 沼尾妙子 http://yoruni-yoseru.lomo.jp/ [リンク]

※この記事はガジェ通ウェブライターの「moeru」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
YouTubeなどにショートムービーを発表するかたわら、『ビデオSALON』『コマーシャルフォト』などで主に一眼ムービー関連の記事を書いています。最近では空気公団のPVをつくらせていただきました。

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