ShoPro Books編集者が厳選! 日本語で読めるコミック版『デッドプール』のオススメ3冊はコレだ
全世界で大ヒットを記録し、R指定映画としては歴代最高の興行総収入を獲得した映画『デッドプール』。6月1日(水)の日本公開を間近に控え、アメコミファンのボルテージは最高潮を迎えていることだろう。しかし、その一方で「ぶっちゃけデッドプールなんて知らない」「えっ、スパイダーマンじゃないの?」という人も少なくないハズ。
デッドプール(愛称:デップー)の魅力を手っ取り早く知るには原作コミックに触れるのが一番なのだが、「たくさんあってどれから読んだらいいのか分からない!」という声も多い。
そこで今回は、数々のアメコミの日本語版を手掛ける小学館集英社プロダクションの出版部門ShoPro Booksを直撃! 映画版の字幕翻訳のチェックにも立ち会ったという山本将隆氏にオススメのコミック3冊を厳選してもらったぞ!
デッドプールとは
――そもそもデッドプールとはどんなキャラクターなのでしょうか?
山本:1991年にマーベル・コミックスが生み出したキャラクターです。キャプテン・アメリカ(1941年誕生)やスパイダーマン(1962年誕生)などと比べると、比較的新しいキャラクターと言えますね。日本では対戦格闘ゲーム『マーヴル VS. カプコン3』に登場して人気を博しました。
――ゲームを操作するプレイヤーに語りかけてくるスタイルは大人気となりましたね。
山本:デッドプールは自分がコミックの中にいるキャラクターだと知っているので、演劇用語で“第四の壁”と呼ばれる観客や読者との間にある幕を破って語りかけることができるんです。読者に話しかけるだけでなく、マーベルの編集部に向かって「締切り大丈夫か?」なんて言ったりもします。他のヒーローたちはポカーンです(笑)。
――まさに最強のキャラクターですよね!
山本:さらに、不死身の能力を持ち、多重人格で、とにかく冗舌なのが特徴です。デッドプールはコマの吹き出しが黄色いのですが、(作品によっては)自分の台詞に対してもうひとりの自分が白い吹き出しでツッコミを入れたりもします。傭兵なので報酬次第では薄汚いこともするアンチヒーロー的な側面があり、比較的グロい描写も多いです。その辺りの表現は、映画でも非常に上手く踏襲されていると思いました。
初級編:『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』
山本:『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』は、単独誌として記念すべき日本初上陸を飾った作品です。5年ほど前から「『デッドプール』を翻訳して欲しい」という声が高まっていて、2013年に待望の初邦訳となりました。
――初邦訳にこのエピソードを選んだのはなぜですか?
山本:単純に面白いというのはもちろん、先ほど紹介したようなデッドプールらしい特徴が詰まっているからです。また、読み切りとして楽しめることを重視しました。実を言うと原作は前後に物語が広がっているのですが、この1冊全336ページでストーリーが一応完結するので、入門編としては手に取っていただきやすいはずです。また、デップーを知らない人のために、キャラクターの背景を詳しく解説した冊子を独自に付属しています。映画を観賞する前の予習にも、鑑賞後の補足にも役立つと思います。
――それは読者にとって嬉しいですね! どんなストーリーなのでしょうか?
山本:物語は、空から降ってきた火だるまのデッドプールが密林に墜落するところから始まります。そして、並行世界から来たゾンビ・デッドプールの頭部(ヘッドプール)と出会って、珍道中を繰り広げるという物語です。
――???
山本:何を言ってるか分からないですよね(笑)。でもそんな世界観が本書の魅力のひとつでもあるんですよ。恐竜が出てきたり、宇宙に行ったり、パラレルワールドで様々なデッドプールに出会ったり、何でもありなハチャメチャぶりを楽しむには持って来いの1冊です。作品の中でいろんな人物・作品の引用やパロディが披露されますが、映画でもその傾向があり、原作ファンも納得の内容になっていましたね。
『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』
作:ヴィクター・ギシュラー
画:ボン・ダゾ
訳者:高木亮
定価:2800円(税抜き)
中級編:『デッドプールの兵法入門』
山本:『デッドプールの兵法入門』も読み切りとして楽しめる作品です。キャプテン・アメリカ、スパイダーマン、ソー、ロキ、ハルクなど、人気のキャラクターたちも登場します。
――イラストのテイストがガラッと変わりましたね。
山本:アメコミの特徴のひとつなのですが、作品によって描き手が替わりますからね。本書は、史上最高の兵法書といわれる『孫子』をデッドプールが書いていたら……という設定で、大昔の中国にタイムスリップしたデップーが『孫子』のテキストを盗み出し、ベストセラー作家になって大儲けしようと企む話です。
――デップーらしいメタな構造です(笑)。
山本:デッドプールがマーベルのビルに行くと、オフィスには実在の編集者たちがいるんですよ(笑)。でも、21世紀の厳しい出版界では「売れるためには話題性が必要だ」と言われて門前払いされてしまいます。全13編から成る『孫子』の引用をところどころ交えながら物語が進んでいくのが面白いです。ただし、映画とはかなりテイストが異なるので、中級者向けとさせていただきます。
『デッドプールの兵法入門』
作:ピーター・デイビッド
画:スコット・コブリッシュ
訳者:高木亮
定価:1400円(税抜き)
上級編:『マーベル・ナウ!』シリーズVol.1~Vol.4
山本:アメコミは長い歴史の中で何度もリランチ(シリーズの仕切り直し)するのが特徴です。その中の『マーベル・ナウ!』と呼ばれる第3期レギュラーシリーズを邦訳・合本化して現在はVol.1からVol.4まで発売しており、Vol.5以降も順次発行していく予定です。
――読み切りではなくシリーズもの。深く読み込みたい人にはオススメですね。
山本:とあるキャラクターが魔術の力でアメリカの歴代大統領たちを蘇らせ、依頼を受けたデッドプールがそれを食い止めようとするところから始まります。チームを組んでいた女性キャラが死亡してデップーの意識の中に入り込み、頭の中の会話劇が描かれたりします。
――これまた複雑な設定ですね(笑)。
山本:Vol.3ではデッドプールのオリジン、つまりデップー誕生の物語も描かれ、少し映画とリンクする内容になっています。また、比較的シリアスな場面が多く、ギャグが少ないのも特徴です。今後、このシリーズではデップーが結婚して、家族との模様も描かれていきます。
『マーベル・ナウ!』シリーズVol.1~Vol.4
作:ジェリー・ダガン、ブライアン・ポゼーン
画:トニー・ムーア、スコット・コブリッシュ他
訳者:高木亮
定価:1800円~2000円(税抜き)
すでに第2弾の映画製作が決定している『デッドプール』は、日本でもさらなるブームを巻き起こすこと必至である。今回紹介してもらった作品以外にも、スパイダーマンと共闘したり、カーネイジと戦ったり、日本語でも読める魅力的な物語が数多く販売されているのだ。
映画を観る前に予習するも良し、鑑賞後に楽しむのも良し。少しでも気になったら、まずは1冊、手に取ってみるべし!
ShoPro Books公式サイト:
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映画『デッドプール』特集 ガジェット通信が俺ちゃんを徹底解剖!
https://getnews.jp/deadpool
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