賃貸でDIYするなら… 国交省がDIY型賃貸借のルールを整備
国土交通省が、個人の所有する住宅が賃貸住宅として流通するように、新たに提示した「DIY型賃貸借※」について、「契約書式例」とガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」を作成した。その内容について詳しく見ていこう。
※DIY型賃貸借とは、借主(入居者)の意向を反映した改修を行うことができる賃貸借契約や賃貸住宅のこと(改修工事の費用負担者が誰かは問わない)【今週の住活トピック】
DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックを作成/国土交通省
貸主・借主の手順を説明し、DIY型賃貸借の理解を促進
全国で空き家、特に個人の住宅の空き家が深刻化していることもあって、住宅所有者(貸主)の負担をできるだけ少なくし、入居者(借主)が好みの改修を行えるような賃貸住宅の形態が提示された。この背景は、筆者の記事「国が新しい契約形態を提示。今後はカスタマイズ、DIY賃貸が増える!?」に詳しくまとめている。
一方で、これまでにない契約形態となるため、どういった契約書にすればよいか判断が難しいといった声も上がった。そこで国土交通省は、ルールの整備に取り組み、契約書の雛型や理解促進のためのガイドブックを作成した。
前提としているのは、借主が費用を負担して行う「壁紙の貼り替え」や「造作棚の設置」といった小規模な改修だ。興味深いのは、ガイドブックで押入れを造作収納に変更したり、戸や襖を撤去したうえで床や壁・天井の素材を変更したりといった具体例が写真付きで紹介されていること。貸主も借主も、具体的にイメージできるので、話を進めやすいだろう。【画像1】DIY型賃貸借でできることのうち、(4)床・壁・天井の素材の変更、戸襖の撤去の例(出典:国土交通省作成ガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」より転載)
またガイドブックでは、貸主、借主それぞれどんな点に注意したらよいかを含めた実施手順も記されている。
あらかじめDIY工事の内容や決めごとを明確にすることで、契約を円滑に
次に雛型となる「契約書式例」では、(1)一般的な賃貸借契約書に加え、借主が行うDIY工事部分の取り扱いに関する「特約」を契約書に盛り込む、(2)DIY工事に関する「申請書」(借主→貸主)兼「承諾書」(貸主→借主)と工事内容や決めごとを詳しく記載した「別表」を付ける、(3)工事部分の所有権はどちらになるか、退去するときには工事部分は残すのか撤去するのか、工事部分については入居中の管理や修繕を借主が行うこと、などの双方で合意した決めごとを具体的に記載した「合意書」を取り交わす、といった構成になっている。
例えば、造作棚を設置するDIY工事を行う場合、次のことを「別表」に記載する。
・部位や施工方法「洗面所の壁に造作棚をビスで固定する」など
・造作棚の所有権「借主が持つ」など
・退去時の対応「造作棚を残しておく」など
・残しておく場合に補修が必要な場合の対応「補修はしない」など
・原状回復の義務「借りた時の状態に戻す必要はない」など
・退去時の精算等「精算等は無し」など
・工事図面の添付「有り」など
・その他(必要に応じて)
そのうえで、「別表」に記載された工事部位ごとの内容について双方が合意したことを「合意書」で確認するという構成になっている。【画像2】DIY型賃貸借に関する契約書式例の構成(出典:国土交通省作成ガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」より転載)
雛型やガイドブックがあったとしても、契約という法的な行為になるので、仲介する不動産会社がガイドブックを使って説明したり、貸主や借主の意向を組んで書式例を参考に契約書類を作成したりといった使い方になるだろう。
賃貸住宅で収益を上げようという従来型の賃貸だけでなく、空き家のままにするよりは誰かに住んでもらいたいという人、自分の好みに改修できるなら老朽化していても借りたいという人などに、多様な選択肢を提示してサポートするという、不動産会社の役割に大いに期待したい。
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