市民の声をなにひとつ聞いていない野田首相は朝霞宿舎予定地の視察をやりなおすべき

朝霞宿舎問題

10月3日、朝霞公務員宿舎の首相視察には公務員宿舎建設に反対する市民の方々が多く集まっていました。平日午前ということもあり、参加者は年配の方が中心。話をきくと、ニュースで視察のことを知り、ひとこと気持ちを伝えたくて洗濯物を干さずに家を出てきた、というご婦人や、いつもこの米軍基地跡の周りを散歩コースにしているというシベリアンハスキーを連れた女性、赤ちゃんを抱っこしたお母さんもいました。また、ゲート前の大きな道路をはさんで反対側には車椅子に座ったご老人と介護する若い女性もやや遠目にこの様子を見守っていました。「長くこの地に住んでいたが今回のことには黙っていられずに来たんです」という女性もいらっしゃいました。

朝霞宿舎問題

40年前に米軍から日本へ返還されたこの土地の活用については、一時期、市民参加型で活用法を決めようという動きがあったそうです。しかし財務省は市民らで作った計画を無視。3000戸の公務員宿舎建設案を提示します。このすれ違いが現在にまで至っており、一度は枝野幸男氏による事業仕分けで建設は「凍結」と結論されますが、わずか1年後に野田財務大臣(現首相)の承認で建設工事を再開してしまいます。再開したのが9月1日で首相の視察が10月3日。わずか一ヶ月ではありますが、その間に40年かけて育った建設予定地の木々はあらかた切られてしまいました。

建設地横の木は強風で倒れてしまい、根元から切られていた

無視され、裏切られ続けた歴史。市民が怒るのもしょうがないような気がします。そしてこの視察の日も首相は裏口からこっそりと現地に入り、住民の声をきこうとはしませんでした。代表の方が首相にメッセージを伝えたい、申入書を渡したいと関東財務局の腕章をつけた人にお願いしていましたが、「私どもの管理ではございません」と言い放ってその場を立ち去ってしまったのです。そのやりとりの動画です。



http://youtu.be/3U73UpOwkbE

財務局の人:
この後、官邸から記者さん――「番記者」さんですね――を乗せたバスが来ます。その時もゲートが開きますんで、穏便にお願いします。その後、時間をおいて総理一行の車が来ますので、その時もゲートを開け閉めさせていただきますが、そこはよろしくお願いしますということで。それだけでございます。

地元連絡会代表の大野さん:
私たち、申入書を持ってきてまして……

財務局の人:
そこは私どもの管理ではございませんので、はい、申し訳ございません(立ち去ろうとする)

※大野さん、引きとめようとするが、財務局の人、立ち去ってゲートの横の鉄のドアを開けて中へ立ち去る。(「ガチャン」と鉄のドアの閉まる重い音)

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視察に来た首相に市民の声が届かないようにする。取材はお抱えの「番記者」のみに限定して官邸からバスで一緒にやってくる。そして財務省、関東財務局、番記者で首相は周りを取り囲まれて高い柵の外側の世界が見えていない。これが、野田首相による「視察」の実態です。本当に滑稽だと思います。記事執筆時点では、この朝霞の宿舎建設は「5年間の凍結」「5年経ったら中止するかも」などと報じられています。しかしそういう「問題先送り」の繰り返しは解決とは言えません。きちんと根本からの解決が必要です。昭和24年という終戦後の混乱期まもなくできた「国家公務員宿舎法」は廃止し、すべての国家公務員宿舎をなくす。今はそういう決断をすべき時期ではないでしょうか。公務員の3分の1に宿舎が準備されている現状は明らかに異常です。

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

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