住まいの防犯[中] 一戸建て編:“めんどくさそうな家”になる!

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住まいの防犯[中] 一戸建ては“めんどくさそうな家”と思わせる

空き巣や忍び込みなど、「住まいを狙った犯罪」とその対策をお伝えするシリーズ。今回は一戸建て編。侵入の被害が一番多い一戸建て住宅にはどのような対策がいいのだろうか。安全生活アドバイザーの佐伯幸子さんにその方法を聞いた。

昭和〜平成初期の一戸建ては、狙われやすい?

「住まいを狙った犯罪は、2002〜3年(平成14〜15年)をピークにして、全体では減少傾向にありますが、空き家を使ったケースなども増えています」と佐伯さん。そもそもだが、住まいを狙った犯罪は、なぜ2002〜3年に多かったのだろうか。【図1】侵入窃盗認知件数の推移(出典:警察庁住まいる防犯110番)

【図1】侵入窃盗認知件数の推移(出典:警察庁住まいる防犯110番)

「これはピッキングの手口が侵入者のあいだで広く知られ、全国で被害が多発したためです。これ以降に建設された一戸建ては、ピッキング対策をはじめとした防犯対策がされていて、ワンドアツーロック、セキュリティガラスを採用している物件も増えました」と話す。

また、犯罪認知件数は減少傾向だが、「理論上は、犯罪に遭遇する確率は下がるかもしれませんが、ひとたび被害にあってしまえば、自分にとっては100%ですよね。備えあれば憂いなし、予防に勝る治療なし、そんな用心が大切なんです」と気を引き締める。

特に注意したいと強調するのが、昭和や平成初期に建築された一戸建てだ。

「住まいの犯罪被害で多いのは一戸建てで、4割弱を占めています。四方向に窓があるということはすなわち侵入口が多いということ。また、築年数が古いとそれだけ防犯対策がなされておらず、突破しやすいんです。防犯ガラスにリフォームする、錠前を変えるという人は、残念ながら多くはありません。昨日まで無事だったからと現状に甘んじてなかなか防犯対策に取り掛かれないようです。それに “うちはとられるものなんてないから”という人も少なくありません。でも、それが侵入者の思うツボなんです」という。

「パソコンやデジタルタブレット端末、パスポート、クレジットカードなどは、どこの家にもあるはず。どれも換金しやすいほか、身分書の偽造などの犯罪に悪用されることも。盗むものを決めるのは、住んでいる人ではなく、盗む側です。そこをよく覚えておいてほしいですね」と警告する。【図2】2014年、侵入強盗がどこで起きたかを示すもの。一戸建てが4割弱、マンション・アパートなどの集合住宅でも低層のほうが狙われやすい(警察庁住まいる防犯110番より筆者作成)

【図2】2014年、侵入強盗がどこで起きたかを示すもの。一戸建てが4割弱、マンション・アパートなどの集合住宅でも低層のほうが狙われやすい(警察庁住まいる防犯110番より筆者作成)

侵入口は窓が半数以上。5分以上かかると諦める傾向に

前回紹介したが、侵入被害の原因は、“鍵の締め忘れ”が第1位。

「基本的に住まいの侵入口となるのは窓が多く、半数以上を占めています。窓ガラスを壊して侵入するケースもありますが、侵入被害の原因第1位は“無施錠”。特にベランダのある窓は締め忘れている人が多いんです。あとはお風呂の窓。通風のため、開け放しにしている人もいるでしょう。格子があるから平気だと思っていますが、ドライバー1本で簡単にはずせます。また浴室は建物の裏側にあることが多く、死角になっていて、油断を招く場所なんです」と佐伯さん。

まずは玄関、そして窓の施錠を徹底することに加え、窓の鍵周辺もしくは、窓全面に張る防犯フィルム(数千円程度〜)、補助錠(1000円前後〜)などでも十分、有効な対策になるそう。

「侵入者は、侵入にかかる時間が5分を超えると諦めるというデータもあります。もちろん、住宅が密集している、隣家が遠いなど、周囲の環境もあると思いますが、どんな環境でも、要はめんどくさそうな家だな、と思わせることが大切なんです」 【図3】2014年、侵入を諦める時間についてのデータ。5分以上かかると侵入者の7割が断念する。「めんどくさそうな家」と思わせることが重要に(警察庁住まいる防犯110番より筆者作成)

【図3】2014年、侵入を諦める時間についてのデータ。5分以上かかると侵入者の7割が断念する。「めんどくさそうな家」と思わせることが重要に(警察庁住まいる防犯110番より筆者作成)

ちなみに、昭和〜平成初期の一戸建てで、扉の鍵を交換する場合、実勢価格2.5〜5万円程度あれば可能だという。

「3万円もあれば、防犯性の高い玄関錠と交換できます。金額的に高いと考えるのであれば、日割り計算してみると、よいのではないでしょうか。仮に3万円だとして、2年間使えば1日わずか41円。5年なら約16円。長く使うほど1日あたりの金額が安くなるうえ、防犯性は変わりません。保険と考え、被害にあってからではなく、安全に暮らすための必要経費と考えてほしいですね」。

周囲の光と音対策が有効! 人の目は最大のセキュリティに

住まいの周辺対策では防犯ジャリと人感センサーがオススメだそう。

「動くものに反応して明るくなる人感センサーは、以前は野良猫などにも反応してしまい、すぐに消耗する……なんてものもありましたが、配線や電源不要のソーラーパネル式で設置も簡単なものが出ています。歩くと大きな音がする防犯ジャリもいいですね。侵入者が犯罪をしようと思っているときは、神経過敏な状態になっています。そのため、音や光といった対策はとても有効なんですよ」とアドバイスしてくれた。

そのほかにも有効なのが、オーソドックスだが、住民同士の声掛け。侵入者は近所付き合いがあり、連帯感のある住宅街を嫌うそう。

「悪いことをしようと考えている人は、顔を見られることを恐れます。人の目は最大のセキュリティでもあるのです。地域の防犯ボランティア、火の用心の見まわりなどをしている地域だと、それだけで抑止力になります」(佐伯さん)

一方で警戒するのが、住宅街に増えた空き家だ。不審者・侵入者にとっては絶好の隠れ家ができた状態だ、と指摘する。

「もともと路地が複雑に入り組んだ住宅街では、死角も多く、路地を一本曲がってしまえば行方をくらませることができました。空き家があるということは、それだけ人目が少ないということです」と話す。

取材後、筆者が周囲の住宅街を犯罪するつもりで歩いてみると、意外と不用心な住まいが多いことに気づく。「もし、泥棒するなら」という視点で、一度、家周辺を歩いてみると、思わぬ発見があるに違いない。●取材協力

・安全生活アドバイザー 佐伯幸子さん/All About 防犯「ピッキング・泥棒の対策」
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