ビットコイン、「貨幣」に認定 法規制案を閣議決定
日本では悪いイメージのビットコイン
政府は2016年3月4日、仮想通貨取引の透明性を向上させる法規制案を閣議決定し、ビットコインなどの仮想通貨は「貨幣の機能」を持つとして、公的な決済手段の一つであると位置づけました。
これから、仮想通貨に対する国の考え方が徐々に示され、仮想通貨が社会インフラの一役を担い、未来は「円」というFiat Currency にとって代わる可能性も考えられます。
仮想通貨の中でも、2014年に日本のメディアでも華々しくデビューを果たしたビットコイン(Bitcoin)ですが、その最初の登場シーンは、ビットコイン取引所Mt.Gox(マウントゴックス)の破綻という最悪のイメージのニュースから始まりました。日本に本社を置くにもかかわらず、当時は世界最大のビットコイン取引所だったMt. Gox社ですが、約490億円相当ものビットコインを「盗まれた」と宣言し、その事がたちまちメディアを賑わせたのです。
Mt.Gox事件はビットコインの仕組みとは無関係
この事件の問題はユーザーのビットコインを預かっていた取引所であるMt. Goxが破綻しただけであり、ビットコインの仕組み自体には何ら問題がないということです。
しかし、センセーショナルな悪いイメージが先行してしまったので、発生から1年以上経った今でも、日本のメディアでは依然ビットコインにネガティブなイメージがつきまとっています。
何事も新しいシステムが登場し、多くの人たちがその仕組みを理解するのが困難な場面では、「怪しい」、「盗まれてしまう」、「消えてしまう」、「信用できない」といったイメージが先行しがちですが、むしろビットコインは「取引は全て透明性が高く」、「盗むことは非常に困難」であり、「消したくとも消せない」ものであり、そしてある意味では、一般的な通貨や銀行よりも「信用できる」ものなのです。
ビットコインの本質は「電子マネー決済システム」
ビットコイン本来の技術上の素晴らしさを明そうとすると、その利点を説明するためには常に技術的なボキャブラリーが欠かせず、それが更に理解を難しくするという悪循環を生んでいます。とりわけ、ビットコイン自体が生み出した「暗号通貨(Crypto Currency)」という言葉が示すとおり、その根幹となる「ブロックチェーン技術」を説明するためには「暗号」という言葉が避けて通れません。
ビットコインの本質は、いわゆる「通貨」ではなく、「電子マネー決済システム」と考えるとわかりやすいかもしれません。これはビットコインを発明したといわれている、ナカモトサトシ氏の論文タイトルと序章にも書かれている事実です。
実際皆さんが日本で使うSuica, Edy, Waon, Nanaco などの電子マネーも、同じ決済システムの一種です。もしどこかであなたがチャージすると、現金と等価交換でその金額がカードに残高として記録され、コンビニで使えばカードからコンビニにその残高が移行したとして再び記録され、どこにもEdyやSuicaというコインは存在しないのです。
ビットコインも全く同じで、お金ではなく、決済システムだと考えると理解しやすいのではないでしょうか。
Suicaなどの電子マネーは、「円」とまったく同じ価値であらわしているので、とてもわかりやすいですが、ビットコインの単位は「ビットコイン」なので、「円」と「ビットコイン」の交換レートの話が出てきます。ビットコインは常時円との交換価格が変動します。
ビットコインはオープンソースのソフトウェア
また、ビットコインはソフトウェアで、それは「オープンソース」という仕組みで、プログラムの中身(ソースコード)がそのまま一般公開されています。
信頼のおける機関が管理するのではなく、誰もが中身を見ることができ、プログラムが読める(書ける)世界中のエンジニアが、その中身に不正が潜んでいるかどうかも自由に精査できるのです。この精査の仕組みを元帳にたとえ「ブロックチェーン」と呼びます。
法制度が追いついてくると、急速に浸透してくる可能性がある仮想通貨の世界。今から少しずつ、知識を習得していっては如何でしょうか。
(中村 伸一/ファイナンシャルプランナー)
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