限界を超えて働く、女性に多い「120%病」とは?
男女雇用機会均等法から30年。女性は働きやすくなったか?
男女雇用機会均等法ができて、今年2016年は30年目の節目となります。この法律が施行される前は、女子社員はできる仕事の範囲も限定され、残業も休日出勤はほとんどなく、その代り給与も男性の7割から8割程度であったように記憶しています。
法の施行により、今までなかった「総合職」という職種が生まれ、女性の仕事内容も大きく変わりました。男女の差なく仕事の幅が広がり、能力や結果で評価をされることとなりました。しかしこれは、「家庭と仕事の両立」を、ひいては真の意味での「共働き」社会を導くようなものでなく、女性が男性並に働くことを強いるものであったように感じます。
社会・会社から認めてもらうために、残業や休日出勤、接待も男女の性差なくこなし、男性が100働くところを女性は120働くことでその存在意義をアピールする。
時代の恩恵で今の肩書がある、などの評価に対し、自分の価値が下がってしまうことを気にして、必死になって働いてしまう訳です。
実態はむしろ逆のように感じます。キャリアカウンセリングで訪問する企業の幹部の方は、「女性社員の方が実際にはよく働きます。女性の方が男性より能力が高いのかな」などと話されることもあります。
頑張って働く女性にとって幸せな社会ではない現実
実際のケースでは、どこまで頑張って働けばよいのかわからずに、とにかく前だけをみて頑張ってきた女性が、ふと年賀状などで友人女性の夫・子供たちと並んで幸せそうに笑っている姿をみた時に、「普通の幸せ」を手にいれることができていない自分に対し、今までの頑張りに意味があったのかと落ち込み、言いようのない孤独感に苛まれる時がある、と相談に来られたこともあります。
お話を聴かせて頂くと仕事、上司のこと、会社などの話から、最後はやはりご自身の話になります。そして、今まで随分と頑張ってきたことや、やってきた仕事には意味があったことなどの話をしてもらい、それを伺っていると、ほとんどの方は涙を流されます。そしてその後、問題解決には至っているわけではないのですが、それでも「すっきりとした気持ちになりました」と職場に戻っていかれます。
周りを気にせず自分の想いを語れる場所が必要
この涙を流すほど「自分のこと」を語る場所をもつことが、「120病」とよばれるものの自己解決方法なのかもしれません。己のことを語れる場をもつことが、頑張ってしまう人のひとつの救いになるのではないでしょうか。
最近は、職場内も複雑な人間関係になってきており、なかなか素の自分を出せるところではありません。無理して職場内でみつようとせず、全く関係のないそして守秘義務を守ってくれるところで自分の想いを語れるところを探すのも一つの手段です。
(自念 真千子/産業カウンセラー)
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