藤村官房長官、米人工衛星の落下について「冷静に普段通りの生活を」
藤村修官房長官は2011年9月22日午後の記者会見で、日本時間の24日午前ごろに落下すると予測されているアメリカの人工衛星「UARS」について「日本周辺地域に落下し日本国民に被害が出る可能性は極めて小さいと考えており、国民の皆さまには冷静に普段通りの生活を送っていただきたい」と述べた。
アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、すでに運用が終了している上層大気観測衛星UARSが、日本時間の9月24日午前(アメリカ東部時間9月23日午後)に、大気圏に再突入する見通しだという。その際、大気圏で燃え尽きずに、日本を含む世界中の広い地域において、一部破片が地上に落下する恐れがある。残骸に有害物質は含まれないが、人に影響を与える(当たる)可能性は約3200分の1とされている。藤村官房長官によれば、地球の総人口で割った場合、個人に当たる可能性は約21兆分の1。
会見で藤村官房長官は、同日13時に「米国人工衛星落下に関する情報連絡室」を官邸危機管理センターに設置したことを発表。すでに随時公開されている文科省のホームページで、NASAのUARSに関する情報の仮訳とともに、政府として情報収集を強化して対応する構えを示した。
また藤村官房長官は、
「NASAからの情報等を総合すると、日本周辺地域に落下し日本国民に被害が出る可能性は極めて小さいと考えており、国民の皆さまには冷静に普段通りの生活を送っていただきたい」
とし、さらに
「何らかの危機、危険を及ぼす状況が認められた際には、即時に国民の皆さまにお知らせをさせていただく」
と述べた。
一方で、ニコニコ動画の七尾功記者が、人工衛星に関する情報収集の方法について「NASAからの情報提供のみになるのか、これに加えてNASAとは別に、観測とか予測は日本独自で行わないのか」と質問すると、藤村官房長官は、
「いま日本でさまざまな情報を駆使しても、NASA以上のものが得られるとはちょっと思いにくい」
と答え、文科省のホームページなどで、NASAの発表を迅速に訳したものを追加で報告していく方針を示した。なお文科省のホームページには、「最新情報は、随時、文部科学省のフェイスブックのページ(http://www.facebook.com/mextjapan)に掲載いたしますのでご覧ください」と記載されている。
■藤村修官房長官と記者とのやりとり
毎日新聞記者: NASAの衛星の話に戻るんですが、日本にもし落ちる可能性が高いとなった場合、国民への情報提供の方法を考えていると。具体的にはどういう方法を考えていらっしゃるのでしょうか。
藤村官房長官: ひとつは文科省のホームページをスタートさせています。これはNASAのホームページを、仮訳ではありますが、相当迅速に訳したものを追加報告をずっとしてまいります。それから時間的にはまだ先になりますが、今日午後1時、官邸危機管理センター内に情報連絡室を設置いたしましたので、事態の推移によってこの情報連絡室から何かの発信をしていくことも想定しながら、どんな形でやっていくか先ほど来、検討してきたところです。
毎日新聞記者: 例えば地震速報のようなかたちで流すというような、そういうことも考えられますか?
藤村官房長官: いろんなことが考えられると思います。特に台風とか地震の際は、気象庁の担当課長が会見されるようなことも今日まで何度もありますので、それがひとつのモデルになることはゼロではないと思います。
七尾功記者: 人工衛星の情報収集について確認したいのですが、NASAからの情報提供のみになるのか、これに加えてNASAとは別に、落下軌道に関する観測なり予測は日本独自では行わないのか。これについてお願いします。
藤村官房長官: NASAでもいま、本当にそういう状況(※)でありますので、いま日本でさまざまな情報を駆使しても、NASA以上のものが得られるとはちょっと思いにくいですね。
(※)会見の中で藤村官房長官は「NASAは2時間くらい前になった時にそれなりに想定が可能になるけれど、現時点で実はさっぱり分からない。地球上のどこかということはまだ想定されていない」と発言している。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 米国衛星「UARS」落下についての発言部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64637707?po=news&ref=news#6:06
・衛星の落下に関する情報 – 文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/satellite/index.htm
・文部科学省 MEXT – facebook
http://www.facebook.com/mextjapan
(山下真史)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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