「辛抱できなくなってきている」 面会した兄が語る東電OL殺害事件の受刑者
いわゆる東電OL殺害事件で無期懲役が確定し、再審請求中のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(ネパール国籍)の妻ラダさん、兄インドラさんは2011年9月20日、日本外国特派員協会主催の記者会見に出席した。インドラさんによると、新事実の発見などでマイナリ受刑者の心境は「ハッピーな状況にある」一方、「いまだに拘束され続けているということで、もう辛抱できなくなってきてしまった」と話しているという。
1997年、東京・渋谷区円山町にあるアパートの一室で女性の他殺体が発見された。被害女性は、東京電力のエリート社員として働きながら、退勤後に円山町周辺の路上で客を勧誘し、売春を行っていたとされる。そのため、当時マスコミは事件をセンセーショナルに取り上げた。
この事件で、強盗殺人の容疑で逮捕・起訴されたのがマイナリ受刑者である。2000年の一審では無罪となったマイナリ受刑者だったが、同年に行われた控訴審で逆転有罪判決が下された。その後、2003年に最高裁判所が上告を退け、無期懲役が確定。マイナリ受刑者側は無罪を主張し、2005年には再審請求を行っている。
ところが、事件から14年経ったことし7月、DNA鑑定によって新事実が判明した。「被害者の体内にあった精液のDNA型と現場に落ちていた体毛のDNA型が一致し、かつ、それはマイナリ受刑者のDNA型ではない」とわかったのだ。9月に入ってからは、被害者の胸からマイナリ受刑者の血液型とは異なる唾液が検出されていたことも分かっている。
会見に同席した佃克彦弁護士によると、「(7月の鑑定結果はマイナリ受刑者を)有罪にした高等裁判所の基本構造に、大きく楔(くさび)を打ち込む証拠になる」という。また佃弁護士は、今後の見通しについて「非常に明るい希望を持っている」と話す。
11日に来日したインドラさんは20日、マイナリ受刑者と面会した。インドラさんは、現在のマイナリ受刑者について「(マイナリ受刑者は)現在ハッピーな状況でいる」と話した。その理由をインドラさんは「非常に大きな動きがあるし、メディアの注目も浴びている。また日本の方々から多大な同情をお寄せいただいているということ」と説明。だが、一方でマイナリ受刑者は、
「DNAの鑑定結果や証拠が出ているにもかかわらず、いまだに拘束され続けているので、もう辛抱できなくなってきてしまった」
とも話しているという。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] インドラさんの発言部分から視聴-会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64495692?po=news&ref=news#45:03
(山下真史)
【関連記事】
大物芸能人の見せしめ逮捕はあるのか? 「暴力団排除条例」と警察の狙い
「新宿署の捜査に違法な点はない」 東京都、国賠訴訟で「痴漢取調べ」の正当性を主張
「犯人が火をつけたら終わりだと思った」 支配人が語る渋谷ライブハウス放火未遂事件
オウム事件から目を背ける社会――「A2」監督・森達也氏が語る
「懸命に生きている姿伝えたい」 FRIDAYに死刑囚の写真を掲載した理由
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。