「本当の笑顔はまだまだ取り戻せない」 被災地で活動続けるNPO職員らが語る
東日本大震災が発生してから半年が過ぎた。2011年9月11日、ニコニコ生放送の番組では今なお被災地で支援活動を続けるNPO法人の職員らが、被災地の現状について報告を行なった。NPO法人・杜の伝言板ゆるるの小沼亮氏は、被災地の子どもたちについて「本当の笑顔はまだまだ取り戻せない」と話した。
番組では、視聴者から「震災から半年経って、被災者の方の笑顔は増えているのか」という質問が寄せられた。震災後、被災地で精力的に活動を行っているピースボートの上野祥法氏は「笑顔になる人は増えている」とした上で、
「ただ、僕らが忘れてはいけないのは、明るい話がポンポンと出てくると、今度はそれが増えれば増えるほど追い詰められている人たちも同じように増えている(ということ)。前に進むどころか立ち上がれてすらいない。座りっぱなし。それは責められない。そういう人が追い詰められている状況であるというのには気付いた方がいい」
と語った。小沼氏もまた「親が亡くなっている子どもでも笑顔になる」と話す。北海道で仕事に就いていた小沼氏は、震災後に岩手県でボランティアをしたことがきっかけとなり、それまで勤めていた会社を辞め、NPO法人・杜の伝言板ゆるるで活動を始めた。3月末から被災地の子どもたちと接しているという小沼氏は、
「心に深い傷を負った子どもたちの、本当の笑顔を取り戻すような活動をしていかないと本当の笑顔はまだまだ取り戻せない」
と語る。
■震災を風化させるか否かはメディア次第
また、福島県在住の女性という視聴者から「各メディアはさらっと『(被災地は)順調に復興しています』みたいにニュースを伝えているが、現状はそんなことはない。それは町をうつしてもらえばわかる。雑草は伸び放題。犬は群れ、牛も群れ、傷んだ家屋だらけ。今、福島県で必要とされていることは町の取材だ」との意見が寄せられた。
これを受けて、NPO法人・難民を助ける会の堀越芳乃氏は「(宮城・岩手よりさらに復興が)遅れているのが福島県というのは、私たち(ボランティア)の印象の中でもある」とし、「(宮城では)地元に支援を還元して、地元で定着させてという未来図が描きやすい状況が確実にあるが、福島は今後を作っていくのが難しいと私たちも感じているところ」と説明。その上で堀越氏は
「だからこそ、活動を続けていくことが非常に大事で、できることはやっていく必要がある。もっともっと報道も含めてやっていかないといけない。風化させるかどうかはメディア次第、私たち次第」
と話していた。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 視聴者からの質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv62986817?po=news&ref=news#01:54:46
・[ニコニコ生放送] 視聴者からの意見部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv62986817?po=news&ref=news#01:58:15
(山下真史)
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