グローバルとガラパゴスの理想的な共存 『Xperia acro』製品レビュー
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新製品『Xperia ray』が発表されましたが、ドコモの夏モデルにラインアップされているAndroidスマートフォン『Xperia acro SO-02C』のレビューをお届けします。新製品が出るとはいえ、『おサイフケータイ』、ワンセグ、赤外線の“ガラパゴスケータイ”機能の搭載が目玉のこの端末。auでも初めての『Xperia』シリーズとして発売され、まだまだ人気機種として伸びていきそうです。
グローバルモデルをベースにガラパゴス機能を付加
『Xperia acro』の魅力は、グローバルモデルの『Xperia arc』をベースにしながら、その機能を損なうことなくガラケー機能を付加していること。国内向けに作り込んだ結果、Android OSのバージョンアップへの対応が遅れる、あるいはなくなるといったこれまでの国内メーカーの事例を考えると、グローバルモデルをベースに国内向け機能を付加するというソニー・エリクソンの手法は正解と言えそうです。
たとえば、最新の『Xperia ray』で搭載されているオーディオ再生レベルの強調技術『xLoud』は、海外では『Xperia arc』にもソフトウェアアップデートで対応する予定であることから、国内の『Xperia arc』、そして『Xperia acro』にもアップデートが提供される可能性は高いでしょう。Android 2.3.2のバージョンで出荷された『Xperia arc』は、『Xperia acro』発売とほぼ同時期にAndroid 2.3.3へアップデートされていることから、『Xperia acro』でも今後のOSアップデートへの対応が期待できます。このように、最新の環境へタイムリーにキャッチアップしていけるのがグローバルモデルの魅力。とはいえ、アップデートはメーカー単体では実施できず、キャリアとの協調が必要なことから、キャリア側にも継続的なアップデートのサポートを期待したいところです。

実機上では『おサイフケータイ』機能は確認できていませんが、カメラ付近にチップを実装しているようです。
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ホーム画面にも「おサイフケータイ」「赤外線通信」「ワンセグ」のショートカットが並んでフィーチャーされています。

ワンセグは側面からアンテナを伸ばして視聴します。コントラストを向上し、輪郭を強調する『モバイルブラビアエンジン』は、『YouTube』や撮影した写真・動画に加えてワンセグの映像もサポートするようになったため、ワンセグ画質でもクッキリとした映像を楽しむことができます。
厚みは気にならないレベル

外観をチェックしてみましょう。背面のアーク形状が特徴だった『Xperia arc』に対して、『Xperia acro』はフラットな背面。背面から側面にかけてはラウンドフォルムを採用し、手のひらで包みやすい形状になっています。

側面から見ると、厚さはほぼ均一な11.5mm(最厚部12.3mm)。『Xperia arc』は最薄部が8.7mmになるものの、厚さ10.9mmなので、それほど分厚くなった印象はありません。重さは『Xperia arc』が118gであるのに対して、『Xperia acro』は135g。持ち比べてみてもそれほど重くなったとは感じませんでした。
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背中合わせにして並べると、『Xperia arc』と『Xperia acro』のデザインの違いがよく分かると思います。『Xperia acro』のプレスリリースでは「人間の曲線美をイメージした側面のダイナミックなシルバーのラインがアクセントになっています」とありますが、『Xperia arc』のシルバーラインがアーク形状を個性的に打ち出しているのに対して、『Xperia acro』はあくまでアクセントといった印象。デザインの面白みは少ないかもしれませんが、よりベーシックなデザインは長く使っても飽きがこなくてよいかもしれません。
機能重視のユーザーには有力な選択肢
グローバルモデルにガラケー機能を理想的に共存させた『Xperia acro』。『おサイフケータイ』、ワンセグ、赤外線の機能を重視していて、グローバルモデルの先進機能も利用したいというユーザーには、現時点でも有力な選択肢といえるでしょう。ソフトウェアアップデートや、デスクトップドックやHi-Fiヘッドセットをラインアップしたアクセサリーの新シリーズ『Smart Extras』の発売など、今後も楽しめる材料はそろっているように思えます。
『Xperia arc』のレビュー記事でも書いたようにアーク形状のデザインが気に入ったなら『Xperia arc』、コンパクトな本体やインカメラ、テザリングといった機能に魅力を感じるなら『Xperia ray』と、『Xperia』の2011年モデルは個性で選べるラインアップになりました。これから購入しようと考えている方は、8月27日の『Xperia ray』発売を待って、3モデルすべて触って比べてみるのもよいかもしれません。
なお、『Facebook』と本体の連携を強化した『Facebook Inside』、50音キーに対応した文字入力ソフト『POBox Touch』新バージョンなど、『Xperia acro』の基本機能の一部は「NTTドコモが『Xperia arc SO-01C』のバージョンアップを7月6日実施へ 9日発売の『Xperia acro』でその内容をチェック」の記事でご紹介しています。参考記事のURLからご確認ください。
『Xperia acro SO-02C』主な仕様
サイズ:約W62×D127×H11.5(再厚部約12.3)mm
重量:約135g
連続待ち受け時間:約350時間(3G)/約240時間(GSM)
連続通話時間:約340分(3G)/約390分(GSM)
ディスプレー:約4.2インチ フルワイドVGA(480×854) TFT液晶 167万7216色
カメラ:CMOS Exmor R for mobile 有効画素数 約810万画素
インカメラ:なし
外部メモリー:microSD(2GB)、microSDHC(32GB)
Bluetooth:対応
FOMAハイスピード(HSDPA/HSUPA)14Mbps/5.7Mbps
無線LAN:対応
おサイフケータイ:対応
赤外線通信:対応
ワンセグ:対応
防水:非対応
テザリング:非対応
カラー:WHITE、BLACK、AQUA
参考記事:
NTTドコモが『Xperia arc SO-01C』のバージョンアップを7月6日実施へ 9日発売の『Xperia acro』でその内容をチェック
https://getnews.jp/archives/127107[リンク]
Sony Ericsson、Android向けアクセサリー”Smart Extras”2製品を発表
https://getnews.jp/archives/124847[リンク]
ターゲットは女性 ソニー・エリクソンがコンパクトかつハイエンドなAndroidスマートフォン『Xperia ray』発表会を開催
https://getnews.jp/archives/135049[リンク]
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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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