セサミストリート制作会社が”ゲイ”説を否定 「バートとアーニーは親友同士です」

「テレグラフ」紙オンライン版

 アメリカの子ども向け教育番組「セサミストリート」の制作会社が2011年8月12日(現地時間)、Facebookの公式ページ上で異例の発表をした。「バート(Bert)とアーニー(Ernie)は親友同士です」。バートとアーニーとは、セサミストリートに登場する主要キャラのことである。2人は同じ家に暮らしており、ストーリー上でも仲がいいことは明らかに思えるが、なぜ「セサミストリート」の制作会社「セサミワークショップ」は、今さらこのような発表をしたのだろうか? それは、2人の仲が良すぎることが原因だった。最近ネット上で、「バートとアーニーを、”ゲイ”カップルとして結婚させよう」という動きが広まっていたのだ。制作会社がわざわざ「親友同士」とことわったのは、このうわさに対する公式の姿勢を示すためなのである。

 イギリスのテレグラフ紙(オンライン版、2011年8月12日付)によると、この動きは「同性愛を嫌悪する人々をうち負かし、ゲイに対する許容を広めるため」に始まった。「2人に結婚式を挙げさせよう」というオンライン嘆願書には9000人近くの人がサインし、また「バートとアーニーは結婚する」というページもFacebook内に作成された。このページには、「彼ら2人がついに幸せをつかむことを願ってる」「もう何年も前から分かってたことよ!」といったコメントが寄せられている。

 そして大きくなっていく動きに、とうとう「公式」が声明を出し、制作会社としての姿勢を明らかにしたというわけである。セサミワークショップの発表は以下の通り。

「バートとアーニーは親友同士です。彼らは、幼稚園児たちに、『人と人は、どんなに違っていても、お互いに仲良くなれるんだよ』ということを教えるために生み出されました。彼らが男性キャラクターとして認識され、また多くの人間らしい特性・特徴を持っている(セサミストリートのほとんどのキャラがそうですが)としても、それでも彼らはマペット(操り人形)であり、性的な好みは持ち合わせていません」

 これに対し、嘆願書を集めた人びとは、「2人が結婚すれば、ゲイやレズ、トランスジェンダー(性同一性障害)やバイ(両性愛者)である若者たちに対するいじめ、また彼らの自殺に終止符を打つことができる」と主張している。

 テレグラフ紙の記事にも、この話題に対して賛否両論が集まった。「子ども向けの番組なんだから、そもそも”性的な問題”は持ちこむな」という声がいくつか見られたほか、「この2人を結婚させようってキャンペーンは、悲しいものだと思う。同性の2人は、性的なうわさなしには強い関係を結べないってことを示してるわよね」という冷静な意見もあった。

(古川仁美)

◇関連サイト
・Sesame Workshop Statement on Bert and Ernie Petitions – Facebook上セサミストリート公式ページにて(2011年8月12日)http://www.facebook.com/SesameStreet#!/notes/sesame-workshop/sesame-workshop-statement-on-bert-and-ernie-petitions/10150290119497855
・No marriage for Bert and Ernie, says Sesame Street – テレグラフ紙(オンライン版、2011年8月12日)http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/northamerica/usa/8696956/No-marriage-for-Bert-and-Ernie-says-Sesame-Street.html

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