福島の「放射線マップ」づくりに密着 『号外!ニコニコニュース』で”ショック”なVTR
ニコニコニュースに掲載された記事をもとに1カ月の出来事を振り返るニュース番組『号外!ニコニコニュース』。2011年8月6日放送の「8月号」では、報道プロダクションの「CWV」に密着取材し、福島県内の放射線マップ(線量地図)をつくる試みを特集。浪江町の山中で、測定器が毎時100マイクロシーベルト近い放射線量を示す映像などが流れ、これを見た出演者からは「ショック」「衝撃的」といった声が上がった。
放射線量は福島第一原発からの単純な距離だけでなく、風向きや雨などの影響も受ける。そのため、原発に近くても比較的放射線量が低いところがあったり、逆に少し離れた首都圏でも部分的に放射線量の高い「ホットスポット」があったりと、地域によってバラつきがあり、より細かなデータが必要とされている。
「CWV」は最新鋭の放射線量測定器を積んだ車を、24時間交代制で走らせて福島県内の放射線量を測定。その情報をグーグルマップと同期させることで、線量地図の制作を進めている。線量地図では、走行した道路に放射線量に応じた色をつけることで、その分布を視覚的に表わしていく。地図の縮尺を変えれば、かなり狭い範囲の情報も得られ、同じ市町村の中でも少しずつ線量が違っていることが分かる。
CWVのスタッフは線量地図の目的を、
「詳しく調べて出すことで、除染の優先順位を決めたり、地域住人に近寄らないように注意を促したりといった、次につながる線量地図を作りたい」
と語っている。大まかなデータは調査・報道されているが、まだ詳細なデータはないといい、それだけに線量地図の意義は大きいと言えそうだ。
またビデオの中には、車から降りて放射線量を測定するシーンがいくつか含まれているのだが、その中で道路の真ん中と、路肩の土の部分に分けて測定するシーンがある。結果は、土の上で測った方がハッキリと線量が高く、地面に近づけるにつれて数値が上昇するというもの。理由は、道路だと放射線が水で流れてしまうのに対して、土や草木はそのまま蓄積してしまうからだ。ジャーナリストの江川紹子さんは、「除染は本当に大変なこと」と述べる。
例えば浪江町の山中では、文科省がモニタリングしている道路の真ん中で18~19マイクロシーベルト(毎時)だったが、少し離れた路肩の草木に近づけると30~40と上昇。さらに地面に近づけると100に迫る勢いで、95マイクロシーベルト(毎時)を記録。このVTRを見たタレントの穂花さんは、「ショックですよね。あんなに土や草に放射性物質が大量に入っているのは想像できなかった」と語った。
番組の視聴者もこの特集には非常に関心を寄せ、コメントでも「グーグルのストリートビューを撮るグーグルカー(車)に、今回使われているような高性能の放射性測定器を搭載すればいい」といった趣旨の提案がなされていた。一方でジャーナリストの上杉隆さんは、「これは本当は政府がやらなきゃいけないこと。全部民間にやらせて」と苦言を呈していた。
(野吟りん)
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] CWVの「放射線マップ」づくり密着取材から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv58814871?po=news&ref=news#59:30
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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