生食用牛レバーが禁止の可能性 「自己責任」か「罰則付き法規制」か

生レバーの扱いについて語る光山氏(左)、長谷川氏(中央)、藤井氏(右)

 今年4月に富山県の焼肉チェーン店で起きた集団食中毒事件を受け、7月、厚生労働省が生食用牛レバーの提供を禁止する罰則付きの法規制を検討し始めた。この動きに対してジャーナリストの長谷川煕氏は、2011年7月27日のニコニコ生放送「ニコ生ノンフィクション論『ニッポン牛肉危機~「被曝牛」から「殺人ユッケ」まで~』」で、生レバーの扱いについて「国家のルールは基本的なところはきっちりしたほうがいいと思うが、あんまりガチガチにするよりは一人ひとりの自己責任で『食べる』『食べない』を決めればいいのでは」と疑問を呈した。

 今年4月、富山県の焼肉チェーン店「焼肉酒家えびす」でユッケを食べた169人が集団食中毒を起こし、幼い子供を含む4人が死亡した。これを受け、厚生労働省の審議会は2011年7月6日、生食用の牛のレバーの提供を食品衛生法で禁止する検討を開始した。禁止の結論が出れば、違反した場合に罰則のある法規制が実現する可能性もある。

 農水行政を長年担当した元朝日新聞記者で、現在も取材・執筆活動を続けるジャーナリストの長谷川煕氏は、この厚労省の動きに対して「法律で禁止する必要はない」と主張。長谷川氏は、

「国家のルールというのは、非常に基本的なところ、人間の生命、健康に関わるところはきっちりしたほうがいいと思いますが、あんまりガチガチにするよりは一人ひとりの自分の問題であり、いわば自己責任。食べたい人は食べて、食べたくない人は食べなければいいわけで。国家が介入しなくていいんじゃないでしょうか」

と述べ、罰則付き法規制に対し慎重な姿勢を示した。

 東京都でホルモン焼きの店などを経営する光山英明氏は、真に生レバーを禁止するのであれば、レバーそのものの流通を無くすほか選択肢はないと実状を説いた。生レバー禁止が法制化されたとしても、飲食店ではレバーを「焼き」用のものとして提供し、それを客が「生」で食べるという「闇生肉」が出回る可能性は残るが、食品衛生法では「食中毒が出たら東京の飲食店は1週間、東京以外は3日間の営業停止というルールが決まっている」ため、結局は飲食店側の責任となってしまうからだ。

 一方で、番組の司会を務めるノンフィクションライターの藤井誠二氏は、「生食は文化だと思うので一律に禁止するのはちょっとどうかなと思う」とした上で、「ここで改めて生肉の流通のルールも含めて見直すというのは大事なこと」と今後の議論の必要性を強調した。

丸山紀一朗

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「長谷川氏の立場」部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv57471870?ref=news#40:25

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