マンガ『BECK』に学ぶ、なりたい自分に近づけず焦ってしまいそうなときに思い出したい言葉――大事なことは全部マンガが教えてくれた
©ハロルド作石 / 講談社
突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?
普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー。
今回は、さえない少年だった主人公が、仲間とともに世界を賑わすミュージシャンになるまでを描いたマンガ『BECK』(©ハロルド作石 / 講談社)より、なりたい自分に近づけず焦ってしまいそうなときに思い出したい言葉をご紹介します。
夢や目標を強く思い描くほど、焦りも生まれてしまう
憧れの先輩、理想の上司たちの姿を見て、いつか自分もあんなふうになりたいと、自分の理想の姿を描いて、目標に設定することはすばらしいことです。
しかし、その理想や目標が高ければ高いほど、なかなか近づくことができず、どんどん焦りが生まれてしまい、それによっていろいろなことがうまくいかなくなってしまう。
そんな、なりたい自分に近づけず焦ってしまいそうなときに思い出したい1フレーズがこちら!
“たくさん尊敬している人はいるけど、おれはおれにしかなれないよ”
©ハロルド作石 / 講談社
さまざまな、本当に多くの苦難を乗り越えて、奇跡的・運命的な出会いに助けられながら、アメリカツアーの実施やイギリスの巨大なフェス、アヴァロン・フェスへの出演、そしてついには日本のロックフェス「グレイトフル・サウンド」のメインステージにまで上り詰めたバンド『BECK』。
そのリーダー的存在であるギタリストの竜介は、世界的な人気を誇るロックバンド『ダイイング・ブリード』のギタリストにして、圧倒的なカリスマをもつエディと、子どもの頃兄弟のように過ごしていました。そんなエディと「いつかどこかで共演しよう」と約束した竜介は、その高すぎる目標になかなか近づくことができず、焦り、苛立ちを募らせます。
そんな中出会った、天性の声をもつ青年コユキ。彼は、音楽に対して純粋で、自分の作った曲について熱心に竜介に語りかけてきました。そんな姿に、かつて同じようにエディに熱く語りかけていた自分を重ねた竜介。エディを目標にひたすら走っていた竜介は、ふいにコユキに問いかけます。
「お前はなにを、誰を目標にしているんだ?」
©ハロルド作石 / 講談社
その問いに対するコユキの答えが上記の言葉です。誰の背中も見ず、自分の道を歩いているコユキの言葉に、かつての自分にはない強さを竜介は見出したのでした。
憧れの人と同じになることだけが正解じゃない
「誰か」のようになりたい、そんな憧れの気持ちを目標に変え、日々努力するモチベーションの源泉にしていくことは素晴らしいことです。真似をしていくことで様々なことを学び、成長の助けとなることも数多くあるでしょう。
ただ、そのアプローチの欠点も存在することは認識しておいた方がよいでしょう。
ひとつは強い憧れを持つがゆえにその人を自分の中でどんどん神格化してしまうこと。竜介の場合は、実際音楽業界の中でも神格化されたカリスマが相手でしたが、そうでなくても憧れを持つことでその対象が神格化され、目標がどんどん高くなってしまうことがあります。そうなると頑張っても頑張ってもなかなか目標に近づけず、焦りを生み、本当は成長しているのに、自分は全然成長していないと、挫折してしまうこともあり得ます。
もうひとつは、必ずしも憧れた人が持つ個性と、自分の個性は一致しない、ということ。憧れた人そのものになろうと頑張っても、それはかえって自分の強みともいえる個性の発揮を妨げることにもなるかもしれません。自分が憧れたように、皆から憧れられるような存在になりたい、という目標であれば、必ずしも憧れの人そのものになろうとする必要はないのです。
まさにコユキの言うように「おれはおれにしかなれない」ので、憧れの人のいいところ、見習いたいところを取り入れつつ、それまで自分が培ってきた経験が生み出している個性と融合させていく。誰かに近づけないことに焦るのではなく、着実に成長していくことを大切にしていきたいものです。
>>『大事なことは全部マンガが教えてくれた』シリーズ
監修:リクナビネクストジャーナル編集部
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