震災後の生活はどう変わった? キーワードは「低燃費」と「エシカル」

東日本大震災後の生活者1000人の意識・行動調査―ノルド社会環境研究所

キーワードは「低燃費」と「エシカル」――東日本大震災後は、電気だけでなくガソリンやガスなど広くエネルギー全般について節約する人が増えているそうです。独立系シンクタンク・ノルド社会環境研究所は、震災後4カ月が過ぎた現在、生活者の意識・行動がどう変化したのかを調査するウェブアンケートを実施し、その傾向を分析しました。

東日本大震災後の生活者1000人の意識・行動調査―ノルド社会環境研究所

同調査によると、震災によって「価値観や行動に変化があった」と回答した人は61.9%。生活の無駄を見直して省エネを実施し、家族や周囲の人との関係を重視したライフスタイルに変化する傾向が見られます。また、5割近くの人が新たに暮らしの省エネを考えるようになったと回答し、「低燃費」への志向性が高まっています。

東日本大震災後の生活者1000人の意識・行動調査―ノルド社会環境研究所

震災から現在まで、節電を続けている人は70.5%。省エネ志向は節電にとどまらず、ガス(36.2%)やガソリン(39.0%)の節約をする人も多くなっています。震災後に支出を減らしたもののトップは「電気代」ですが、「電気以外の光熱費」「ガソリン代」も3位と4位にランクインしました。

東日本大震災後の生活者1000人の意識・行動調査―ノルド社会環境研究所

このような意識変化は、震災後のモノ選びにも影響を及ぼし、「次に購入する車を低燃費車にしたい」人は88.0%にも上ります。また、モノ選び全般の条件としては「手軽な価格(89.2%)」で「長持ち(88.5%)」し、「安全性が高く(87.8%)」「必要最低限の機能(83.8%)」であること。そして「コンパクト(95.8%)」で「基本性能のみ(76.1%)」ついたものを「必要なものだけ(88.1%)」選びたいという「エシカル」志向が顕著です。

東日本大震災後の生活者1000人の意識・行動調査―ノルド社会環境研究所

「エシカル(ethical/倫理的、道徳上)」とは、「環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、そうでないものを選択しない」という消費活動のことを呼ぶときに使われ、「エコ」「ロハス」の次に流行りそうなキーワードです。原料や製造過程にも目を向けて「フェアトレード商品」を選んだり「寄付金付き商品」を買うなど、単なる「エコ」ではなく社会や環境を見渡したうえで商品を購入する運動を「エシカルコンシューマリズム」と言ったりします。

「脱原発か否か」「東電はどうなるのか」と、原発と電力に関する議論の行方に注目が集まっていますが、生活者のレベルでのエネルギーの使い方に対する“エシカル”な見直しはすでに静かに始まっているのかもしれませんね。

『東日本大震災後の生活者1000人の意識・行動調査』調査概要
調査対象:全国の20代~60代の男女個人(インターネットユーザー)
調査方法:Webアンケートサンプル抽出法:生活者モニターからの無作為抽出(性・年齢別に均等割付)
有効回収集計対象サンプル数:1,000サンプル
調査期間:2011年7月1日~2011年7月5日
 

各国で「エシカルファッションショー」が開催されたりしていることから、デザインのよいフェアトレードアイテムが多くなっています。
こういうのを身につけることを「エシカルファッション」と言うそうですよ。

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Kyoko Sugimoto

京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。

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