自宅へ”一時立ち入り”した浪江町住民に中継基地で話を聞く「ネコが住み着いていた」
陸上自衛隊は2011年7月9日、福島県南相馬市にある馬事公苑内にある放射性物質を洗い流すための「除染所」を公開。同除染所の運営を担当する第102特殊武器防護隊の菱沼和則隊長が「除染所」内部を案内した。また同日、浪江町の住民480人が自宅への「一時立ち入り」を果たした。
警戒区域に指定された地域への一時的な帰宅をする「一時立ち入り」から戻った避難住民は、高い放射線量にさらされる可能性がある。「除染所」は、住民から基準値の10万cpm(1分間に検出される放射線の数)を超える放射線量が検出された場合、使用されることになっている。馬事公苑内には、避難住民が一時立ち入りの際に防護服を装着したり被曝状況を調べるスクリーニング検査を行ったりする中継基地があり、そこに「除染所」が併設されている。
「除染所」の内部には、放射性物質を洗い流すための洗面所やシャワールームが設置されている。菱沼隊長は「馬事公苑内の『除染所』が実際に使われたことはない。他の『除染所』でも今まで除染された人はいない」と語った。なお、陸上自衛隊の報道官によると、放射性物質を洗い流すための水は特別なものではなく、給水車で運ばれた水道水だという。
■「ネコが入り込み家の中で住み着いていた」
同日、実際に避難住民による警戒区域への一時立ち入りが行われた。馬事公苑内にある中継基地からは、浪江町の住民約280世帯480人が警戒区域に向けて出発。住民はわずか2時間ほどだが「久しぶりの我が家」に滞在したのち、中継基地に戻った。
今回が初めての一時立ち入りだという80歳代の男性は、「ようやく保険証を取りに帰ることができた」と話し、「地震で玄関の扉が壊れてしまい、隙間からネコが入り込み家の中で住み着いていた」と語った。また気温が高かった上に、防護服を着用したため、「とても暑かった」「年寄りの体には堪えた」とも語っていた。
(山下真史)
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