クドクド上司の口撃を回避しよう!怒らせずに逃げ、再発を防ぐ方法とは?
上司や先輩の「クドクド口撃」にウンザリした経験、ありませんか?
自分が重大なミスをした場合であれば、素直にお叱りを受ける気持ちになりますが、何度も何度も同じ非難をされたり、日によって言うことが違ったりする場合は、早くその場から逃げ出して、大切な時間を有益に使いたいもの。本当は、面と向かって「端的にお願いします!」なんて言えたらいいのですが、そんなことができたら苦労しません…。
そこで今回は、上司や先輩の口撃が始まりそうなときに、相手の気持ちを逆なですることなく話を切り上げる方法、そして、上司から「クドクド口撃」のターゲットにされないための予防策をご紹介します。
前回に引き続き、1万2000人以上に「話し方」を指導してきた「話し方教室 青山コミュニケーションセミナー」代表・栗原典裕氏にお話を伺いました。
「やり過ごす」は危険!口撃がさらに長引く可能性も
上司からお小言を言われている間、それを「やり過ごす」方法は人によってさまざま。例えば、「聞いているフリをして別のことを考えている」「上司を宇宙人だと思うようにして、精神的ダメージを軽くする」などでやり過ごしている人も多いのでは。
これらの手段も、状況によっては有効かと思いますが、あまりお勧めはできません。なぜなら、そうした気持ちや姿勢は、隠そうとしていても相手に伝わってしまうからです。「やり過ごそう」という気持ちが伝わると、相手のイライラが増幅し、ますます解放してくれなくなるかもしれません。
そもそも、お小言をクドクド言い続けるタイプの上司や先輩とはどんな人物でしょうか。おそらく、会社から高評価を得て出世街道を駆け上っていく人物は少ないのでは。会社のエースなら重要な仕事を任されていることが多く、無駄に長い時間をかけて誰かを攻めている暇はないはずです。また、部下や後輩をネチネチ口撃したところで、チームや組織のパフォーマンスが上がるわけではありません。それなのに人を攻めることに時間を費やせる人というのは、人の行動や態度を細かく見ている可能性もあるということです。万が一、自分が軽んじられていると感じ取られたら、クドクド時間はさらに長くなるかもしれません。ですから、頭を真っ白にするのではなく、相手を立てながら、きっちりと向き合うことが前提となります。
「感謝」を伝えると、相手の口撃心が薄れる
長々とお小言を聞いている間、皆さんはどんなリアクションをしていますか。うつむいたまま、じっと聞くか、あいづちを打つにしても「はい」「はぁ」「えぇ」「そうですね…」「すみません…」のループになっていたりしないでしょうか。
でも、これでは相手が飽きるまで終わりません。相手が思わず口撃の手をゆるめてしまう「一言」を繰り出しましょう。
それは「ありがとうございます」です。
しっかりと上司に向き合って、「ありがとうございます」。さらに、叱責に対する感謝の言葉を伝えます。
「課長に指摘していただいて、自分に足りないのはどこなのかわかりました」
「自分が甘かったです。気付かせていただいて、ありがとうございました」
クドクド言っている相手に感謝の言葉を伝えるのは抵抗があるかもしれません。でも、この瞬間だけでも「自分のためを思って叱ってくれている。ありがたいことだ」というプラス思考に何とか転換してみましょう。心から感謝してみると、言葉にも真実味が出ます。
感謝されてなお、怒り続ける人はそういません。上司も「…お、おお、そうか。わかったならいいが」と、叱り続ける気力が削がれるのではないでしょうか。何度も使える手ではありませんが、1回使うだけでも、上司があなたを見る目が変わり、叱責回数が減るかもしれません。
相手が「こいつとの対話を終わらせたい」と思う状況に追い込む
上司の口撃を黙って聞くだけの一方通行状態にせず、「自分から相談する」という流れに切り替えるのも有効です。
「自分の悪いところがわかりました。これを改善するために、具体的にはまずどんなことから始めたらいいですか」
「自分はここができていないということですね。課長はどういうやり方をしてきましたか」
「確かにこういうのは自分でも苦手意識があります。克服するためのコツはないでしょうか」
上司がイライラした感情に任せて長話を続けていた場合、相談を受けることで冷静さを取り戻すでしょう。こうして、「口撃」から「改善策の指導」に移ってくれれば、自分にプラスになることですので、素直に聞いて学べばいいわけです。
しかし、この手のタイプの上司は、具体的な指導を求められると困ってしまうことも。適切な答えを与えられる自信がないと、「逃げ」の態勢に入ります。あなたとの対話を、自分から終わらせてくれることになります。
「そういうのは自分で考えるもんだ」
「すみません、そうですよね。じっくり考えてみます」
この流れが作れると、自分の席に戻りやすくもなりますね。つまり、「あなたの知識と経験を私にも伝授してください」と相手を立てながらも、相手が困るような質問で追い込み、自分から話を終わらせるように仕向けるというわけです。
相手が逃げたくなる状況にするには、組織の体制・仕組みなどに関するお願いをするのも手。例えば、
「再発を防ぐために自分なりに考えてみたのですが…こういう仕組みを導入するのはいかがでしょうか」
社内での発言力や影響力が薄い人であれば、困る可能性も。「自分に負担がかかるような話は早く終わらせたい」「面倒なことを言い出した」と相手に思わせれば、早々に立ち去ることができます。
上司からの口撃を予防するには(1)「陰ぼめ」をしておく
上司がストレスのはけ口として部下を叱るような場合、ターゲットになりやすい部下とそうでない部下がいるものです。「同じようなことをしても、あいつは見逃されるのに、自分のときはグチグチ言われる」なんて不満を抱いている人も少なくないと思います。「こういうのは相性の問題」「目上の人に可愛がられるのは天性の才能」などと諦めないでください。上司の「口撃ターゲット」にならないために、日頃からできる対策もあります。
一つは「陰ぼめ」。陰口とは反対に、本人がいないところでほめておくのです。(「ほめるところがない!」なんて思わず、何か見つけてあげましょう)
「君のとこの課長、当たりがキツくない?」
「そんなことないですよ。それに、顧客への対応が見事で、勉強になってます」
陰口も陰ぼめも、いつか本人に伝わっていくもの。第三者を通じてほめられると、直接言われるよりも嬉しいものです。自分がいないところで自分をほめてくれる部下に対して、ムダに叱る気にはならないでしょう。
上司からの口撃を予防するには(2)社内の有力者とつながっておく
社内に、部長・役員クラスの人も参加しているようなサークル活動や文化活動、研修会などがあるなら、ぜひ積極的に参加しましょう。社内の有力者と「お近づきになる」、つまりコミュニケーションの機会を持つようにするのです。そして、どこかのタイミングで上司に、
「先日、**部の飲み会で○○さん(役員)からこんなアドバイスをいただいたんですよ」
「部長と、今度一緒に皇居ランに行こうかと話してたんですよ」
…などとそれとなく話します。「こいつは役員とつながりがあるのか」「部長に可愛がられているのか」→「自分の悪評が伝わってしまうとマズイ」となるかもしれません。自分の部下への接し方に正当性がないと自覚していれば、社内評価への影響を警戒し、あなたへの口撃を遠慮するようになるでしょう。
――上司との関係において、ためになることは学ぶ、ムダなことはスルーし、貴重な時間を奪われないようにする。そうして、賢く立ち回っていってください。
栗原典裕氏/青山コミュニケーションセミナー代表
国際証券(株)(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を経て、教育業界大手の(株)栄光に転職。人材研修責任者として、10年にわたり「人気講師」を育成。グループ会社にて一般企業、私立高校の教師の研修も手がける。教育講演会は300回以上、個別面接・面談は10年で5000組を数える。同社退職後は商社役員などを歴任。 2004年に青山コミュニケーションセミナーを創設し、講師育成・企業研修・セミナーなど、幅広く活躍中。著書に『「気まずい沈黙なし」でどんな人とも120分話が続く会話術 』(明日香出版社)『「また話したい!』と思われる人の会話のルール」(中経出版)ほか。
EDIT&WRITING:青木典子
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