メンテ楽々!水槽&観葉がセットで楽しめる家庭用アクアポニックス『brio35(ブリオ)』を徹底検証!
部屋に熱帯魚の水槽を置きたくても、面倒なメンテナンスが気になって躊躇している人は多いはず。『brio35』(ブリオ・さんじゅうご)は、そんな都市生活者の購買欲をくすぐるアイテムだ。水槽と観葉植物のセットで小さな生態系を構築し、限りなくメンテの手間が少なく楽しめるという『brio35』を、45日間にわたって使用、検証してみた!
誰でもアクアポニックスを始められる『brio35』
魚がフンをして汚れた水を植物が養分として吸収、浄化して水槽に戻す…。観賞魚水槽とガーデニングスペースが一体となり、室内に置ける小さな自然の生態系システムを構築してしまう世界初・家庭用アクアポニックスのセットが『brio35』だ。そしてその自然に近い循環システムにより、メンテナンスの必要も激減するという。
今回は初心者でも導入可能な『家庭用アクアポニックス brio35 白 スターターキット』(参考価格税抜70800〜74800円・発売中)を45日間にわたって使用、検証してみた。本当に都市生活者にうってつけと言えるのだろうか?
『brio35』のデザインはカナダ、製造は日本
日本でも数少ないペット関連商品全般を扱う商社・株式会社ベム・パートナー(大阪府東大阪市)より発売となった『brio35』(本体参考価格税抜59800円)は、れっきとした日本製品。ただデザインは“Urban EcoGarden”をコンセプトにカナダ人デザイナーのロビン・プランテが担当。インテリアとしてもスタイリッシュな見た目だ。色は黒と白があるが、今回は家のインテリアに合わせて白をセレクト。brio専用キャビネット(税抜39800円)も追加しての試用となる。
ちなみにアクアポニックスとはアクアリウム(観賞魚水槽)とハイドロポニックス(水耕栽培)を掛け合わせた造語。エサは人間が与えるが、それ以外は魚の排泄物を肥料に植物が育ち、その植物が水をきれいにするという自然の循環システムに限りなく近づけた、特許取得のシステム(様々な国で取得)とのこと。
スターターキットなら、水槽の知識ゼロでも楽しめる!
そうした『brio35』単体で使用することももちろん可能なのだが、植物も魚も自分で選んで…というのは初心者には正直敷居が高すぎる。そこであらかじめ適した植物と魚もまとめて入手可能なのが「スターターキット」(植物+熱帯魚・参考価格税抜11000〜15000円)である。
この『家庭用アクアポニックス brio35 白 スターターキット』が通常の観賞魚水槽購入・設置とひと味違うのは、送られてくるものが三段階に分かれているところ。
まずは本体(アクアポニックシステムの水槽とガーデニングスペース)とソイル(水槽用の土)が送られてきて、その後にすぐ植物が来る。そしてそれらが設置されて、水環境が理想的になる一週間後にメインの魚たちが届くという方式。小さくても自然界を導入するということはそれなりに期間が必要なのだなと思う。
準備 ■本体組み立て〜ソイル・水のセッティング〜観葉植物設置
本体とキャビネット及びソイルの入った大きな箱が届く。
まずはじめにすることは設置場所の選定。一旦水を入れてしまうと非常に重くなり動かすのは大変なので、慎重にした方がいいとのこと。もちろん電源も必要だ。
特に日当たりが良すぎるところは光合成が進みやすくなり藻が増えて見栄えが悪くなりやすいとのことで、日光が直接当たらず気温の変動が少ないリビングの隅に設置。真冬でも15度はある場所なので寒さの心配はないはず。実績としてはヒーター無しの金魚鉢で金魚が越冬した場所である。
組み立て自体はキャビネットも本体もさほど難しいものではない。キャビネットを先に組み立てるのだが、説明書の通りにすればすぐに組みあがる。
本体はといえばネジなどは一切使わず、ライトスタンドから順番に乗せていくだけ。
ガラス戸の差し込みに少々難があるぐらいだが、最近の通販で購入する家具よりもはるかに簡単。
指示通りにしていくと、小一時間程度で完成。
全体的に洗練された家具のような趣。
本体到着の翌日に観葉植物が届いた。ガーデニングスペースに洗ったハイドロコーンを敷いて観葉植物を配置。
観葉植物は南洋テイストの見た目のアレカヤシ、ヒメモンステラ、人参ガジュマル、ドラセナコンパクタ、ピレア・ヌンムラリフォリアの5鉢。
水槽内にソイル(水槽用の土)を入れてから水をたっぷりと注ぐ。さらにベースボックスと観葉植物のボックスにも水を入れる。
ポンプの電源を入れ、ライトの電源も入れる。ライトはタイマー式で自動点灯するのだが、とりあえず初期設定のまま使用する。設定内容は植物側は7〜22時までライトアップ、魚側は18〜22時点灯(※22時〜翌7時までは完全消灯)である。
ただここで気になったのが、設置したのが9月中旬ということで、むしろ暑すぎる環境かもということ。説明書には25〜26℃となっているが、デジタル水温計で計ってみると27.0〜27.5℃。心配になってメーカーに問い合わせてみると「問題なし」ということでひと安心。これで魚たちのお迎えの準備は万端である。待ち遠しい。
1日目 ■魚たちが到着して、元気に泳ぎだす!
本体到着から一週間、ソイルと観葉植物たちがせっせと作り上げた魚に最適な水槽環境となったところで発泡スチロールの箱に梱包された魚と寄せ植え水草球が届く。
小さな魚・カーディナルテトラが18匹(15匹+予備3匹)、黄色い大きな魚・ゴールデンハニードワーフグラミーが4匹(3匹+予備1匹)、グレイの魚・オトシンクルスが4匹(3匹+予備1匹)と、やはり生物のため死ぬ可能性を考慮して多めに入っているのだという。
まず先に寄せ植え水草球を設置。付属のカルキ抜き剤を使用する。
いよいよ魚たちを水槽内に放流。元気に泳ぎだしてくれてホッとする。
記念すべき初回のエサやり。付属していた試供品のエサをひとつまみ。3日に1度このくらいをあげればいいそう。水を汚すので食べきれる分だけあげるのが基本だとか。
水温は28℃。
4日目 ■魚は元気だが、ちょっとポンプの音が気になり始める
白い壁の部屋に設置したので『brio35』も白にして正解。インテリアに溶け込んで違和感なし。サイズも設置してみると意外と大きく感じない。
インテリアという点ではライトアップも美しい。植物用のランプは朝から晩まで点灯しているが、水槽側は夜の4時間だけのライトアップ。これが結構明るくて、部屋の電灯をつけなくても過ごせるくらい。極上の間接照明といった雰囲気。ただベッドルームに置くには少々明るすぎるだろう。
若干ポンプの音が耳障りに思えた。水温は26〜27℃を推移。
13日目 ■植物が成長し、ライトにまで届く!
魚たちは相変わらず元気に泳ぎ回っている。まさに癒しの光景。そしてアクアポニックスの効果か、植物の成長が早い気がした。魚たちのフンが養分となってぐんぐん成長した観葉植物がライトに届くほどに成長。もちろん植物には一切水をやったりはしていないわけで…。こんな室内で自然の驚異を感じることができるのは素晴らしい。
水面が少し下がった気がするので水足しを少々。やはり就寝時のポンプの音が気になる。
水温は26〜27.9℃を推移。
15日目 ■魚も植物も元気ハツラツ。だがカルキ抜きを忘れていたことに気づく!
魚も植物も元気。自然の生態系がうまく循環しているということか。
3日に1度のエサやり以外はこれといってすることなし。通常の水槽だと1〜2週間程度で水が汚れて1/3ほどは交換が必要になるようだが、水はきれいなままなので交換の必要なし。フィルターに詰まった水草などを除去するだけでいい。
ただ水は蒸発して減るので、その分は水足ししている。ところが後で気がついたが、カルキ抜きを忘れていた。魚にとってはカルキはあまり優しくない成分なので、水道水を水足しする際にはカルキ抜きの作業をする必要があるのだが、すっかり忘れていた。
メーカーにカルキ抜きの方法を教わったので、記しておく。
【カルキ抜きの方法】
太陽光の当たる場所に放置した場合は約6時間でカルキ抜き完了。
室内でも24時間放置すれば大丈夫。急いで抜きたい場合は市販のカルキ抜きを使用するといい。
21日目 ■ショック!! 魚が1匹死亡!
以前カルキ抜きしていない水を加えてしまったからだろうか、仕事から帰ってきた19時頃に黄色い大きな魚・ゴールデンハニードワーフグーラミィが1匹死亡しているのを発見。ショックを受ける。このまま次から次へと死んでしまったら…と考えると気分が塞ぐ。
水槽も水もきれいなまま。清掃の必要を感じないくらいなだけに原因が気になる。なのでメーカーに問い合わせてみる。返答をまとめてみると「聞いたところでは環境も飼育状況もすごく良いので個体の体力ではないか」とのこと。やはり自然の生き物なのでもともと体が弱かったり、環境の変化などで死んでしまうことはあるらしい。
魚が届いた時にあらかじめ聞いていた数よりも多く入っており、予備ということだったが、こういう生体としての限界から念のため多めに送付されている模様。合掌。
水温は27℃近辺をキープ。ガラスがキレイなままなのが不思議だ。
24日目 ■排水口を塞いでいるソイルを掃除!
安心したことに、死亡は1匹だけであとは元気だ。やはり個体差だったのだろうか。続けて死んだ場合は感染症の疑いもあると聞いていただけにホッと胸を撫で下ろす。
カルキ抜きした水を足し、ソイルが流れ出て排水口に詰まりかけていたので、ゴミとり。ただ依然、ガラスも水もきれいなままなのでそちらの清掃は不要と感じた。考えてみるともう『brio35』を稼働して24日経つことになる。今までガラスの清掃も水の交換も一切していない(水足しのみ)のに清掃の必要を感じないというのはすごいのではないか。
外は秋へ。気温も20℃を下回る日も多かったが、リビングは暖かいので水温は25℃以上をキープ。ポンプの音にはいつの間にか慣れてしまったことに気づく。
29日目 ■魚たちの元気がなかったのでエサを倍量にしてみる
観察していたら、幾分魚たちの元気がないような気が…。そこで倍量のエサを与えてみたら、それでも全部食べきった。その後の様子を見ていたら少し元気になった模様。腹が減っていたということか?
前日に植物をちょっと入れ替えてみたが、そちらも元気なよう。ちなみに通常購入できる観葉植物なら、根の土を落としてガーテニングスペースに植えれば育つそう。魚だけでなく植物の方もいろいろと楽しめそうだ。ただ小さな魚・カーディナルテトラの数が減っているような…。気のせいだろうか。
水温は25℃以上をキープ。
30日目 ■やはり数が減っている!
一ヶ月あまりを経過して、改めて魚の数を数えてみると、確かに減っていた。小さな魚のカーディナルテトラが18匹いるはずなのだが7匹しかいない。半減以下である。これはどうしたことか。細かいところまで観察したが隠れている様子もない…。共食いでもしたのだろうか。
メーカーに聞いたところ、共食いの可能性は少なく、細かい隙間や管の中に隠れているのではないかとのこと。本格的に調べるにはソイルや水草などをひっくり返したり分解して本格的に捜索するしかないのだが…。
31日目 ■隠れていた1匹が出てきた
翌々日、魚の数をまた数えてみたら小さな魚のカーディナルテトラが1匹増えていた。どうやらどこかに隠れていたらしい。とはいえ18匹が8匹なので半減以下であることに変わりはないのだが…。
水槽のガラスはきれいなまま。汚れているわけではないので大掃除をする気にはなれないというのが正直なところ。念のためポンプを止めて水の流れをストップさせて観察するが隠れているはずの魚は発見できない。
45日目 ■1か月半にわたる検証終了、大掃除!しかし魚の消息はわからないまま…
いつの間にか我が家のインテリアに溶け込んでしまい、あることが普通になってしまった『brio35』。依然として行方不明な魚たちの消息は不明なままなので気になり、ここで大掃除してみることに。水草の入ったボックス周りなどには少々藻も繁殖してきている。
水槽へ流れ込む水の経路もこのように汚れた。
激しい汚れはないのでメーカーの方によるとポンプを止めて、メラニンスポンジ(「激落ちくん」などの名称で市販されている)で魚がいる状態で清掃しても大丈夫とのこと。ただ行方不明の魚の消息も気になるので水槽の下などまで大掃除を決意。
水槽を持ち上げるとこのような感じの汚れ。一通りこすり洗いしてきれいにする。こびりつく汚れというわけでもないので掃除もそんなに大変ではない。掃除をしてみるとやはりすっきりした。
比べてみるとわかるが、ガラス面にかなり藻が繁殖していたのだ。
■行方不明になった魚たちは何処へ…⁈ 深まる謎と使用感まとめ
ただ結局のところ一通り清掃してみても行方不明の魚は見つからなかった。謎である。生存確認の結果は以下の通り。
・カーディナルテトラ 18→5匹
・ゴールデンハニードワーフグラミー 4→3匹
・オトシンクルス 4→4匹
はっきりお亡くなりになったのがわかっているのはゴールデンハニードワーフグラミー1匹のみ。小さな魚とはいえカーディナルテトラの13匹失踪は本当に謎。排水口から流れ落ちているようでもないし、水草の隙間やソイルの間にも確認できず。この点だけはメーカーに聞いても解決しなかった。
以上、1か月半にわたる『家庭用アクアポニックス brio35 白 スターターキット』は終了。魚たちと植物が共存して栄えていく小さな自然環境というコンセプトは、通常のアクアリウムと呼ばれる水槽だけでは味わえない生命の神秘を感じるものだった。
そして気になるメンテナンス性だが、通常のアクアリウム(観賞魚水槽)が週に一度は1/3くらいの水交換や月に一度の大掃除が必要なことを考えるとかなり負担が少ないと思う。実際に足し水はしているが45日の間水交換はしていないので、シンクの小さいマンション環境などでも導入しやすいと思う。ただ照明とやや耳障りなポンプの音が問題になるかもしれないので、寝室などへの設置は避けた方が良いだろう。
こうした側面からマンション住まいで仕事の忙しい都市生活者でも気軽に導入できる観賞魚水槽として考えて良いのではないか。もちろん『brio35』はさらにガーデニングという側面もあるので、それだけではないが。とにかく室内にぐるぐると循環していく生命・自然のエコシステムが設置できるというのはすごい。その光景は神の視点なんて言ったら言い過ぎだろうか…。
【スペック】
■brio35本体(アクアポニックシステムの水槽とガーデニングスペース※ポンプ付き)
(希望小売価格税別59,800円)
照明 タイマー付きダブルライト
水槽用LED電球(白色)6300k 500lm,6w×2個
植物用LED電球(白色)6300k 500lm,6w×1個(デュアルカラー)6w×1個
※初期セットとして水槽用日中光(白色)の電球3個、植物用(デュアルカラー)の電球1個が付属。初期セット以外のLED電球は別売。
付属 水槽用蓋 大×1 小×1、フィルター×1、ガーデニング用粘土ビーンズ 約2.6kg
総容量 36L
サイズ H77cm×W49cm×D38cm
カラー 白/黒
■brio専用キャビネット
(希望小売価格税抜39800円)
■スターターキット(植物+熱帯魚)
(希望小売価格税抜11000〜15000円)
熱帯魚 カージナルテトラ x 15匹、ゴールデンハニードワーフグラミー x 3匹、オトシンクルス x 3匹
寄せ植え水草球 大 x 1個
セラミックサンド 500g
ソイル 3kg
試供品セット 熱帯魚用エサ、カルキ抜き、熱帯魚の飼い方手引き
植物 大苗 x 2(アレカヤシ、 ヒメモンステラ)、中苗 x 2(人参ガジュマル、 ドラセナコンパクタ)、小苗 x 1(ピレア・ヌンムラリフォリア)※品種は変更の可能性あり。
※上記に交換用フィルター × 6、バキュームクリーナー、SH規格対応水温調整式ヒーターを追加した「スターターキットDX」(希望小売価格税抜16,000円〜24,800円)も有。
今回試用した構成は、
・brio本体(希望小売価格税別59,800円)
・brio専用キャビネット(希望小売価格税抜39800円)
・スターターキット(希望小売価格税抜11000〜15000円)
となり、合計で希望小売価格税抜110600〜114600円となる。もちろんbrio専用キャビネットは無くても使用可能。
■入手方法
『brio35』本体及びキャビネットに関しては観賞魚水槽を扱う店舗で購入可能だが、一緒にスターターキットを購入できるのは現在のところ、
・ヤマダ電機 Conept LABI TOKYO(http://www.conceptlabi.com)
・ディノスプレミアム(http://www.dinos.co.jp/c2/005197/)
の2店舗のみ(随時販路拡大中)ということに注意したい。
(メーカー最新情報:2015年末までにはヤマダ電機 池袋店/新宿東口店/難波店/千里中央店まで販路拡大予定)
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