東電新社長・西沢氏、吉田所長とは「個人的に」メールをする仲
東京電力の西沢俊夫社長は2011年6月29日、東京電力本社で就任記者会見を行い、吉田昌郎・福島第1原発所長とは「何かあればお互い携帯で連絡をとるかたちにしている」と述べた。メールのやりとりも「個人的にしている」と明かすなど、原発事故当初より指摘されてきた吉田所長と本店とのコミュニケーション不足の解消に、トップ自らが乗り出したことを明確に示した。
また菅直人首相が自らの退陣条件に掲げた、再生可能エネルギーの全量固定価格買取法案については、以前から電力業界として「受け入れる方向」にあり、「今もそこは変わらない」と強調してみせた。
東京電力の西沢俊夫社長とニコニコ動画記者(七尾功)とのやりとりは以下の通り。
七尾記者: 菅総理が今の延長国会で再生可能エネルギーの全量固定価格買取法案の成立に意欲を見せています。この法案についてどうお考えになっていらっしゃるのか。東京電力としてのメリット、デメリット、この法案について反対か賛成か、お考えをお聞かせください。
東京電力・西沢社長: 基本的に電力業界では、もうずっといろいろな話がされており、一応電力(側)としては受け入れようと。そのときは弊社も含めて、その方向でおります。その時にお願いしたことは、是非いろいろしっかり議論してもらいたいと。やはり負担の問題でいろいろ議論があったものですから。例えば、(太陽光発電を)つけている人とつけていない人で、つけていない人からは「なんで私が」というご意見もありましたし、産業界の方もいろいろご意見がありますので、是非話し合って皆さんの合意というか、やろうというのをしっかり取っていただければ。われわれとしてはもうネットワークにつながりますから、それの系統の安定とかはもう、われわれが責任をもってやります、と。そういうスタンスで、今もそこは変わらないということです。
七尾記者: 東京電力としての当面の選択肢は、原発の再稼動だとは思いますが、将来ビジョンとして原発に変わる発電のあり方を検討されるお考えはあるのか、お聞かせください。
東京電力・西沢社長: 原子力も含めて今後の将来的な姿をどう考えているかということですが、中長期的にどういう電源構成を考えるか、これからしっかり検討しなければいけないと思っております。電力の場合は10年間を見通した供給計画をお示しているわけですけれど、3月11日の大地震、大津波以前のものを今のところ出してある形です。いずれ、それも計画を作り直して提出しなくてはいけないので、今年の夏とか冬も見据えていろいろ、今後どうあるべきか、しっかりと考えていきたいという形です。今の時点で何か具体的なあれ(ビジョンなど)を持っているかというと、ちょっとまだ持ち合わせていないというのが正直なところです。
七尾記者: 冒頭、福島第1原発の収束に関するお話がございましたが、その要となる吉田所長と最近お話をされたか、したとすればどんなお話をされたのでしょうか。
東京電力・西沢社長: 吉田所長とうんぬんですけれども、先ほど言いました9日に私、1F(福島第1原発)のほうを訪ねまして、そのとき所長と2人だけでざっくばらんにいろいろお話いたしました。内容等はご勘弁を。あとはもう携帯等で何かあればお互い連絡を取ろうという形にしています。
七尾記者: そうしますと吉田所長とは何かあったら社長とホットラインがつながっているということでしょうか。
東京電力・西沢社長: ええ。ホットラインというか、何かあったらお互いに電話するという形の。携帯のあれは・・メールの交換は、個人的にもしています。
(七尾功)
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 七尾記者の質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv54826435?po=news&ref=news#34:48
【関連記事】
社民党、『再生エネ法』成立へ全力 福島みずほ党首「日本のビジネスチャンス」
INES評価細分化へ 福島原発事故がチェルノブイリと同じ”最悪レベル”ではなくなる?
吉田所長「循環注水冷却、成功させたい」 原発事故調に語る
「菅総理はどれくらい放射能が出ているのか常に気にしている」 細野補佐官
チェルノブイリ取材した高世氏 「原発事故、気の遠くなるコスト払う覚悟必要」
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。