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今週の永田町(2015.11.12~18)

【自民党、TPP農業対策案を決定】

 今週17日、自民党の農林関係会議は、交渉参加12カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意を受けての農業対策案を正式決定した。17日に決定された農業対策案「農政新時代―努力が報われる農林水産業の実現に向けて」では、補助金バラマキ政策から農業の成長産業化への転換方針や基本的考え方<農業者の不安払拭、成長産業化の応援、未来の農業・食料政策のイメージ明確化と農業者で対応できない環境整備>を踏まえ、(1)攻めの農業へと転換するための国内農業の体質強化策、(2)コメなど重要5項目の農家経営安定対策を2本柱に据えた。

 

体質強化策として「経営感覚に優れた次世代の担い手育成、金融支援措置などの充実」「農地中間管理機構(農地バンク)の活用・拡大による農地集約・大規模化」「産地パワーアップ事業の創設」「畜産クラスター事業の拡充、規模拡大や品質向上による畜産・酪農の収益力の強化」「新たな国産ブランド品種の育成、革新的技術の開発など国際競争力の強化」「重点品目ごとの輸出促進対策、高品質な農林水産物の輸出拡大」などを列挙した。高性能な農業機械・施設などの導入や農地拡大など意欲ある農業者支援、高収益作物・栽培体系への転換、畜産物のブランド化など高付加価値化の推進、原料原産地表示の検討などを進める。また、成果目標の設定や既存施策の点検・見直し、進捗管理も行う。

 経営安定化策では、「政府備蓄米の保管期間を原則5年から3年に短縮し、単年度の購入量を増やして流通量を調整することで国内米価の下落を防止」「牛肉・豚肉の所得補填事業を法制化し、補填率を赤字分の8割から9割に拡大」「酪農経営の安定を図る加工原料乳生産者補給金制度の対象に生クリームなど液状乳製品を追加」「砂糖の代用品となる輸入加糖調整品を調整金の徴収対象に新たに加えるなど、糖価調整制度の安定的運営」といった具体的な経営への影響緩和策が並んだ。

 

 自民党の対策案では、既存の農林水産予算が削減・抑制されないよう政府が責任を持って十分配慮するよう求めるとともに、現時点で見通せない影響を念頭に弾力的な支出ができるよう基金などのしくみをつくることも盛り込んだ。ただ、対策の予算規模や必要な期間の明記は見送られた。年内にも政府が示す影響額試算を踏まえ、改めて検討するという。

 また、政策調整に時間がかかるなど、今回の農業対策案に盛り込みきれない対策は、「農業骨太方針策定プロジェクトチーム」を設置して、日本農業の将来像や、人材育成や輸出力強化などの具体策を中心に来年秋まで継続的に議論のうえ、「農業骨太方針」を策定していく方針を示した。今後の検討課題として、生産資材の価格形成のしくみや、原料原産地表示、チェックオフ制度や収入保険制度の導入、肉用牛・酪農の生産基盤強化策などがあげられている。小泉進次郎・自民党農林部会長は「対策は1回で終わりではなく、スタート。来年、時間をしっかり取り、真の不安解消と成長産業化への希望を感じる方向性を出したい」と、中長期的な農業政策に取り組む姿勢を強調している。

 

自民党は、政府が今月25日をメドに策定・決定するTPP対策大綱への反映をめざして、20日にも農業以外の分野も含めた国内対策をとりまとめる。13日のTPP総合対策実行本部では、農林部会・水産部会・経済産業部会・財務金融部会など13部会が、それぞれ検討している国内対策案について報告された。海藻類を除き輸入関税が原則撤廃される水産分野では、安価な輸入品の増加に伴う国内水産物の価格下落などが懸念されるとして、担い手漁業者への支援や国際競争を見据えた漁業の構造改革など国内漁業を収益性の高い操業体制に転換していくとともに、輸出拠点となる漁港施設の整備など国内外での需要・消費の拡大に向けた対策も必要としている。外資規制の緩和については、日本の中小企業による海外展開を促すための支援策などを打ち出す方向だ。

公明党も17日のTPP総合対策本部(総合本部長:井上幹事長)で、農業生産者の不安解消を図るための経営安定化対策、消費者の視点を重視した原料原産地表示を義務付ける加工食品の対象拡大、TPP活用策に関する相談窓口の整備などを盛り込んだ提言をまとめている。自民党と公明党は、今週中にそれぞれ提言書を政府に提出するという。

 

 

【希望出生率1.8の実現、介護離職ゼロに重点化】

 新たな看板政策として打ち出している1億総活躍社会の実現に向け、12日、関係閣僚・民間議員らが具体策を検討する「1億総活躍国民会議」(議長:安倍総理)が開催された。安倍総理は、11月26日にもまとめる緊急対策(第一弾)について「希望出生率1.8の実現、介護離職ゼロという二つの目的達成に直結する政策に重点化したい」と述べ、具体策の検討を加速させるよう指示した。

12日の会合では、厚生労働省や文部科学省など関係8閣僚が緊急対策に盛り込む政策案のほか、国民会議の民間議員から「高等教育を含む教育負担の軽減」「未婚率が高い非正規労働者層の正規化」「企業の採用基準の見直し」「保育士の資質・処遇向上」「介護家族の相談機能の拡充」などの提案があった。各省の提案に対し、民間議員らは1億総活躍とは関係性が薄いものがみられたとして、「予算を増やすばかりではなく、精査する必要がある」と指摘も出た。

 

 2020年代半ばまでに「希望出生率1.8」を実現する子育て支援関連では、(1)待機児童の解消に向けて2017年度末までの保育受け入れ枠を40万人から50万人に拡大<厚生労働省>、(2)男性、派遣社員など有期契約で働く女性の育児休業取得促進<厚生労働省>、(3)男性の検査を含めた不妊治療への助成拡充<厚生労働省>、(4)幼児教育無償化の拡大や就学援助・奨学金の充実など教育費負担軽減<文部科学省>、(5)都市再生機構の住宅に入居する新婚・子育て世帯への家賃の一部補助や近居割(5年間5%の割引サービス)の拡充、国が助成する地域優良賃貸住宅制度の見直しなど家賃負担軽減<国土交通省>、(6)テレワークの普及促進など女性活躍の推進<総務省>などが示された。また、2016年度税制改正で、結婚・子育て支援を目的に親・祖父母が子・孫に関連資金を一括贈与すれば贈与税が非課税となる措置(1人あたり最大1000万円まで)で出産後の健診費用や不妊治療の医薬品代も対象とすることや、3世代同居のための住宅改修費用一部を所得税控除できる制度新設などを検討しているようだ。

 

介護を理由に仕事をやめる介護離職者(年間約10万人)を減らす「介護離職ゼロ」関連では、(1)特別養護老人ホームなどの介護施設・小規模多機能型居宅介護など宿泊可能な在宅サービスの整備目標を2020年度までに約34万人増から2020年代初頭までに約40万人増に拡充・地域医療介護総合確保基金の積み増し<厚生労働省>、(2)国有地を社会福祉法人に民間相場の最大半額で貸し出し(原則50年の定期借地権を設定)、事業者の建物所有要件の緩和など介護施設整備の促進<財務省、厚生労働省>、(3)離職した介護・看護職員に対する再就職支援のための貸付制度新設や離職した介護福祉士の人材バンク創設、介護士をめざす学生への修学資金の貸し付け拡充など介護分野の人材確保<厚生労働省>、(4)家族1人につき1回のみの介護休業(最大93日)を3回程度の分割取得も可能とする制度見直しと介護休業給付金の引き上げなどを提案している。

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