伝説の球体関節人形作家の作品群がよみがえる! 蒐集家・片岡佐吉による『天野可淡 復活譚』が刊行

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女子美術大学に在学時より人形制作をはじめ、1985年の東京都美術館の『齣展』出品から数々の人形展で受賞し、カリスマ的人気を博した球体関節人形作家・天野可淡(1953-1990)。その作品群を15近くかけて撮りためていた写真家・人形蒐集家の片岡佐吉氏による『天野可淡 復活譚』が2015年12月14日にKADOKAWAより刊行されます。

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その気魄に満ち、まるで生を受けたかのような瞳と表情が見るものを圧倒する可淡の人形たち。1990年11月1日に事故により永眠して以降も残した人形たちの人気が衰えることがなく、追悼作品集『KATAN DOLL RETROSPECTIVE』(トレヴィル刊)に萩尾望都氏、綾辻行人氏、高山宏氏、大塚英志氏がコメントを寄せるなど、現在に至るまで人形好きの心を捉えて離さない存在であり続けています。

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2001年より15年近く撮りためた片岡氏の可淡人形は、その棲家を屋内にとどまらず屋外にも求め撮影されています。これまで、2002年に東京・御徒町の人形博物館『マリアクローチェ』、2007年に渋谷『マリアの心臓』、2015年に京都・大原に移転した『マリアの心臓』で可淡人形の展覧会を開催されてきました。

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「情熱的で耽美で、大地から呻き上がるような存在感。人に愛される人形よりも人を愛する人形を――。可淡人形は、その願いを込められてこの世に生まれた。人の心の底をえぐりとる可淡人形たちの棲み家が、ここにある」という片山氏。巻末エッセイでは綾辻行人氏が以下のような一文を寄せています。

「人形は虚ろ。虚ろであるからこそ、それは見る者・撮る者の精神からさまざまな想いを吸収し、さまざまな“物語”をこの世に現出させるのである。」

球体関節人形に関心がある人ならば必見の一冊。電子書籍も同時発売予定とのことなので、その妖しくも力強い可淡人形の魅力により身近に感じることができるようになったのではないでしょうか。

『天野可淡 復活譚』書誌情報

発売日:2015年12月14日
体裁:B5判
内容:カラー67点掲載、全80頁
定価:2800円(税別)
ISBN:978-4-04-103728-7
※電子書籍も同時発売予定

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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