「懸命に生きている姿伝えたい」 FRIDAYに死刑囚の写真を掲載した理由
週刊誌「FRIDAY」2011年5月27日号に掲載された、ある死刑囚の面会写真が大きな波紋を呼んでいる――。2011年6月16日のニコニコ生放送の番組「ニコ生フライデー」では「なぜ、死刑囚の面会写真を掲載したのか?」と題して、「FRIDAY」副編集長の片寄太一郎氏、ジャーナリストの藤井誠二氏、ジャーナリストの青木理氏らが、死刑囚の面会写真の掲載をめぐる議論を行った。この中で取材にあたった青木氏は、死刑囚である元少年が「なんとかできないかと思いながら一生懸命、拘置所のなかで生きている姿を伝えたかった」と語った。
この死刑囚とは、1994年に起きた通称「木曽川・長良川連続リンチ殺人事件」の主犯の元少年のことである。最高裁は2011年3月10日、この事件の被告である元少年ら3人に対して死刑判決を下し、3月30日に刑が確定。報道機関は判決後、死刑確定によって更生の可能性が事実上なくなったことを受けて、当時少年だった3人を実名で報道した。
青木氏は3月11日、拘置所で元少年と面会し、写真を撮影した。したがって、この面会写真掲載をめぐる論点の1つに「拘置所の面会で禁止されている写真撮影を行ったこと」が挙げられる。視聴者からは「話題になるから掲載したのでは」といった意見や「死刑囚とはいえ、盗撮は肯定できない」といった意見が寄せられた。3年にわたって、元少年との面会を行ってきた青木氏は「凶悪事件なのは間違いない」とした上で、
「(写真を含めた)すべての表現手段を使って、元少年の現在をきちんと表現したかった」
と撮影の理由を語った。
■面会での写真撮影
青木氏によると、拘置所での面会の際は入り口で荷物検査があり、面会人は携帯電話、録音機、パソコンを預けた上で、金属探知機のチェックを受ける。また、面会場所の入り口には、禁止事項を記した張り紙がしてあるという。
しかし青木氏は、拘置所での面会で禁止されているカメラを持ち込み、写真撮影を敢行した。この行為は違法なのだろうか。青木氏は「法律では一切禁じられていない。(面会時の規則は)すべて法務省の内規あるいは拘置所長の権限(=裁量)でやっている」と指摘。さらに同じく死刑制度のあるアメリカでは「死刑囚(との面会)にテレビカメラが入れる。インタビューもできる。日本の場合は死刑が確定した瞬間に誰にも会えなくなって完全にブラックボックスに入る」と紹介した上で「(元少年は)写真を撮った段階では未決の被告人」とし、
「隠し撮りをした気なんてまったくない」
と語った。
元少年と何度も面会をしたという青木氏は、元少年が「自分の犯した罪に対して煩悶して苦しんで、なんとかできないかと思いながら一生懸命、拘置所のなかで生きている姿を伝えたかった」と、撮影に踏み切った胸中を明かした。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「なぜ死刑囚を隠し撮りしたのか?」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv52546172?po=news&ref=news#20:18
(山下真史)
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