終活を行政がサポート!独居高齢者増加による終活の必要性
一人暮らしで収入も少ない高齢者が増加
先日、神奈川県横須賀市が独り暮らしで収入も少ない高齢者を対象に、生前に葬式の契約をしてもらう「エンディングプラン・サポート事業」を始めるとのニュースがありました。行政がこのようなサポートを始めたことは、一人暮らしで収入も少ない高齢者が増加してきたことを意味しています。2014年に放送されたNHKスペシャル「老後破産の現実」でも、「独居老人600万人の半数が、年120万円未満の年金で暮らしている」と解説されていたため、この見方は正しいと推測されます。
確かに、一人で暮らしている高齢者にとって、その後の将来を考えることは不安の海に飛び込むようなことです。まだ体が思うように動く私でさえそんなことは考えたくないのですから、高齢者ではなおさらでしょう。
独居高齢者が生前、注意するべきポイントとは
そこで、独居高齢者が注意しなければいけないポイントをまとめてみます。まずは、亡くなった後の大きな問題が葬儀と納骨です。本人が他界すれば直接的な指示ができず、行政は宗教的な葬式ができないため、仏教の戒名もないまま土に還ることになります。このような事態を避けるためには、葬儀社と事前に打ち合わせを行っておくことが重要です。また、誰に葬儀や納骨を行ってもらうかも大きな問題です。
最近は、さまざまな方法があります。親類だけでなく、葬儀社でも葬祭信託契約を締結し、葬儀から納骨までサポートしている業者があります。また、終活や相続を扱う士業の先生が死後事務委任委託契約を交わし、葬儀から納骨までサポートしてくれることも。このような契約を締結することにより、葬儀から納骨までをサポートしてもらうのも一つの方法です。お墓についても最近は永代供養タイプの合葬墓があるため、生前契約を行っておけば遺骨の行方も安心できます。
エンディングノートの作成で万が一に備える
また、大きな観点で考えると、エンディングノートの準備が必要です。エンディングノートには必要な項目(医療・介護・葬儀・供養・相続・お金・財産・所有物・想い・思い出など)が全て記載できるため、これらを記載することが必要です。エンディングノートは例えば、「外出先で階段から転倒して入院、意識が戻らない」などの場合に効力を発揮します。一人暮らしの高齢者は死後のことを全て自分で決定しますが、意識不明の状態では何も言えません。どんな処置をしてほしいのか、誰に連絡すればいいのか、自分の希望を遺し、家の目立つ場所に置いておきましょう。このエンディングノートを記入することによって、認知症・介護・入院や終末期医療への備えができると思います。ただし、エンディングノートの金融財産の項目については重要事項のため、詳細は記入しないでください。金融情報の詳細内容は、施錠可能な場所に分割して保管してください。
そして、意外に重要なのが近所付き合いです。信頼できる近所の人や買い物に行く商店の人と仲良くなっておきましょう。近所の人であれば、雨戸が開いていなければ声をかけてもらえるような関係性も築けます。信頼できる近隣の人をつくることを、意識してみてはいかがでしょうか。また、おひとり様や身寄りのない人、親族が高齢者のみの人、そして親族と疎遠な人は、是非、エンディングノートを記入して万が一に備えましょう。
注意)エンディングノートには遺言書のような、法的な効力はありません。
(鈴木 優治/終活・葬祭プロデューサー)
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