シカやイノシシ…話題のジビエ料理は体に良いの?
自然の中を駆け巡り育った野生動物を食することは健康的
野生のシカやイノシシなどを使ったジビエ料理が注目を集めています。ジビエとはフランス語で、狩猟によって食用に捕獲された野生の鳥や獣を指します。フランスでは、高級食材として流通し、飼育された食肉に比べると希少価値が高く、近年では日本でも食害対策として捕獲されたシカなどの肉を「地域おこし」などで活用する動きが出てきています。
このジビエ、「野生」「天然」というと「体に良い」というイメージが強いと思いますが、はたしてどうなのでしょうか?比較対象になるのは、私たちが日頃から食べている牛肉、豚肉、鶏肉です。最近では飼育方法も見直されており、すべての家畜がそうではありませんが、まだまだ狭い飼育小屋の中で抗生物質などが配合されたエサを食べて育っている家畜も少なくないでしょう。飼育された食肉が体に悪いわけでは決してありませんが、自然の中を駆け巡っていた野生動物を食する方が健康的といえるかもしれません。
ジビエは「低カロリー」「高タンパク」「高ミネラル」な食品
また、ジビエは、飼育された牛肉や豚肉、鶏肉などと比べると筋肉質で、脂肪が少なく太りにくい食肉といえるでしょう。ジビエの代表格であるシカ肉には、豚肉などに比べると鉄分が5〜8倍含まれています。ジビエは「低カロリー」「高タンパク」「高ミネラル」な食品といえるでしょう。
また、シカ肉やイノシシの肉には、カルニチンとアンセリンという成分が多く含まれていることもわかっています。カルニチンは循環器の働きや運動能力のプラスに、アンセリンは疲労回復物質として注目されているので、これからの研究がさらに楽しみな食材です。
栄養価の面などを考えると、積極的にジビエを摂ることはオススメといえるでしょう。
加熱は必須。さまざまな感染症リスクも
しかし、ジビエには注意点もあります。それは、しっかりと加熱すること。そうしないと、さまざまな感染症の危険があります。最近でも、加熱不十分な野生のシカ肉やイノシシ肉を食べたことが原因とみられるE型肝炎や腸管出血性大腸菌O157感染症がありました。また、イノシシ肉の生食による寄生虫感染(ウェステルマン肺吸虫)なども報告されています。
多くの野生動物は、冬に備えて栄養を蓄えるため、秋に捕獲されたものが味や栄養価が高いそうです。最もおいしい時期に、健康面でも優秀なジビエを楽しんでみてください。
(早川 弘太/健康コンサルタント)
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