岡田斗司夫、ガンダムで描かれた「原子力」を語る

岡田斗司夫氏

 株式会社オタキング代表取締役・岡田斗司夫氏は2011年5月29日、ニコニコ生放送『ニコ生 岡田斗司夫ゼミ』に出演し、「原子力とオタク」をテーマに語った。そのなかで、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツ(戦闘用ロボット)が小型原子炉を搭載していたことに言及。「宇宙空間で運用するのであれば汚染問題を考える必要がなく、原子炉を積んでもOKだろうというのが、開発した人間の考え方だった」と原子力で駆動するロボットが生まれた背景を説明した。

 『機動戦士ガンダム』は1979年から放送されたサンライズ制作のロボットアニメ。のちにシリーズ化され、映画化やプラモデルなどで「ガンダムブーム」を巻き起こした。岡田氏は「第一話から核爆発があったアニメ」として『機動戦士ガンダム』を取り上げた。

「ザクがガンダムにズバッとぶったぎられるシーンがある。あのとき核爆発が起こり、コロニー(宇宙居住船)の外壁に穴があいて、(主人公の)アムロが『いかん、こんなことをしていたら、コロニ―に穴があいてしまう!』となった」

と具体的なシーンな紹介。アニメがテレビ放映された当時は「核」を登場させることがタブーといえたため、「核を出したのは、(監督の)富野さんの大冒険だった」と語った。

 ガンダムと同じモビルスーツであるザクが破壊されたときに「核爆発」を起こしたのは、その腰の部分に動力装置として「マイクロパイル(小型原子炉)」を積んでいたためだ。なぜモビルスーツの内部に原子炉が使われたのか。その理由について、岡田氏は

「宇宙空間で運用するのであれば汚染問題を考える必要がなく、原子炉を積んでもOKだろうというのが、開発した人間の考え方だった」

と解説した。

ザクは、アムロたちと敵対するジオン軍が開発した、機動力に富む人型の戦闘用ロボット(モビルスーツ)だ。 もともと宇宙空間で巨大な戦艦などを敏捷に攻撃する兵器として開発されたものだったが、ジオン軍の侵攻により地球上でモビルスーツ同士の戦いが発生する。

「核動力で動くような危険なものは、宇宙空間という開放された場所だからこそ運用できる。『それをまさか地上に降ろしてくるとは』と、アムロたちが驚くシーンが(アニメでは)描かれている」

 モビルスーツはジオン軍が最初に開発して圧倒的な戦果をあげたが、アムロらが属する地球連邦軍も「ガンダム」を作って応戦する。ジオン軍が当初は想定していなかったモビルスーツ同士の戦いが、地球上で実現してしまったのだ。その戦闘によって核爆発が起こり、人々が生活するコロニーの壁に穴が開いてしまう。その場面について、岡田氏は、

「ジオン軍は、日本人が(原発の)メルトダウンなど起きないと考えていたのと同じで、(ガンダムと戦うまで)モビルスーツ同士の戦いなんて起こりえないと考えていた。だから、あんなにすごいことが起こっちゃった」

と語り、第1話の核爆発シーンは、ジオン軍にとっても「想定外」の出来事だったと解説した。

(ふじいりょう)

(2011年6月3日追記:ニコニコニュース編集部)
記事の見出しと本文に誤解を招くような表現がありました。お詫びして、訂正いたします。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]岡田斗司夫によるガンダムで描かれた「原子力」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv50997487?ref=news#25:00

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