カラオケ無断利用の飲食店経営者に「懲役刑」判決
JASRAC(日本音楽著作権協会)は2011年5月17日、著作権法違反の疑いで同協会が刑事告訴した大阪市の飲食店経営者が懲役1年6ヵ月(執行猶予3年)の有罪判決を受けたことを明らかにした。判決は同日、大阪地裁によって言い渡された。JASRAC広報部によると、カラオケ伴奏による歌唱の無許諾利用者に対しての有罪判決はこれまで罰金刑がほとんどであり、懲役刑の判決が下されたのは全国で初めてという。
JASRACの発表によると、大阪市内の飲食店「サンフレッチェ」はカラオケ機器によって同協会が著作権管理する音楽作品を長期間にわたって無断利用し、著作権侵害を継続していたという。そのため2008年12月2日、経営者に対して「無断利用期間の著作物使用料の清算及び今後の利用許諾契約の締結」を求め民事調停を申し立てたが、経営者が調停期日に出席しなかったため不成立。その後仮処分を申し立て、「演奏禁止及びカラオケ機器を執行官保管とする仮処分」が決定、2009年9月2日に執行された。
しかし経営者は3度、カラオケ機器の封印を破棄し、無断利用を継続していたため、JASRACは大阪府警に対して刑事告訴状を提出。大阪地検が2011年3月22日、経営者を起訴した。そして同年5月9日に第1回公判が行われ、大阪地検が懲役1年6ヵ月を求刑していた。
JASRACはプレスリリースを通じて
「本件経営者は、2009年9月2日の仮処分執行後も、執行官が行ったカラオケ機器への封印を3度にわたり破棄して無断利用を継続するなど、極めて悪質な対応をみせていたことから、話し合いによる解決はもとより、民事訴訟によっても解決が期待できないと判断したため、適法に音楽を利用している方々との公平性を維持する観点から、やむなく刑事告訴を行いました」
と刑事告訴に至った経緯を述べており、小野寺明裁判官による「昨今の知的所有権保護の重要性が叫ばれる中、仮処分執行後も封印を何度も剥がすなど法律を軽視した行為は重い」との量刑理由も公表している。
(岩本義和)
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