招待された『つきぢ田村』での晩餐会で三代目主人と二度目の対談!
東京都中央区築地の料理屋「つきぢ田村」で開催された「ネスカフェ香味焙煎(ばいせん)究み晩さん会」に招待されたので取材した。
恐縮ではあるが、本稿をお読みいただく前に拙稿、
ネスカフェにインスタントコーヒーは存在しない!「ネスカフェ香味焙煎 究み」10月1日発売
https://getnews.jp/archives/1131191
の続編のような記事なので、ぜひお読みいただきたい。
つきぢ田村三代目との掛け合いが面白かったのか、記事がふざけ過ぎていたからなのかは承知するところではないが、とにかく報道関係者20名限定の晩さん会に招待されたのだ。
そもそも、日本料理にコーヒーという取り合わせがどうなのかという話は、前回の個別取材で聞いた通りだが、実際にどうなのかは食べてみないとわからない。
それを察してなのか、コーヒーによく合う特別メニューを提供するというのだから、それはそれで面白い。
写真はランチョンマット。実はこれ全席違うもので二代目の手書きでオリジナルのもの。
もちろん記念に頂いて帰ったが、こういうのも三代目が言う「価値」なのだろうか。
あいさつに立った、つきぢ田村三代目主人の田村隆氏は、やはり「旬」というフレーズにこだわった。
しかし、一般的に旬といえば季節柄のことを思い浮かべるが、記者の解釈では季節と地域が旬なのだと思う。
米といえば新潟、秋田というのは常識だが、年によっては九州産や北海道産が美味しい場合もありうる。
つまり、その時の「いいもの」は、いつもと違うかもしれないので、その時のうまいものを探れということなのだろう。
さらに、「今日はコーヒーが主役ですので、料理は脇役です」と堂々と謙虚なことを言うのが三代目のユニークな人柄だ。
乾杯の挨拶を指名されたネスレの担当者に「ああ言え、こう言え」と、耳打ちする田村氏。
さらに物陰から様子をうかがうあたりは、料理屋の主人というよりもエンターテイナーである。
メニューが配られた。
もう立派過ぎて、何が何だかわからないが、前菜からいってみよう。
トップ画像はこの前菜のアップだが、焼きナスを中心として、車エビ、オクラ、カリフラワーソースでさらにジュレがけにしてある。
日本酒はこのような立派な器に入れられて、見た目も味も雰囲気も良い。
続いておわんなのだが、何に見えるだろうか。
三代目の言うには「コーヒーだっていいものと、そうでないものの格差は大きいので、それを表すために月とスッポンです」とは笑うしかなかった。
しかし、スッポンとは言え、臭みは全く感じず味わい深い出汁であった。
続いてお造り。しょうがの花も添えられているのだが、これも食べる。
刺身がうまいのは、こういうところなので当たり前として、記者が一番感動したのはわさび。
こんなに味のあるわさびはあまり食べたことがない。
焼き物は、サンマの陶板焼き。
陶板が傾けて置かれ、しょうゆをかけてすぐにふたを閉める。
しばらくしてふたを開けると、サンマの油としょうゆが傾けられた陶板の下にたまっている。
しかし、今日ほど両親に感謝したことはない。子供のころからテーブルマナーと食べ方だけは徹底的に仕込まれたので、こういう時に恥ずかしくない。背骨を残して全部きれいになくなっていた。
三代目が記者のそばで言う。
「下のしょうゆと油がいいソースになっていますから、内臓を食べて酒をくいっとどうぞ」
まさか内臓を勧められるとは思わなかったが、サンマの油と焦げたしょうゆと苦い内臓が酒に合う。
どうやら、苦い内臓と苦いコーヒーの対決ということだった。
あたりにはサンマのにおいがこれでもかと充満する。
続いて煮物。
これはあんかけになっているが、野菜の味はそのままに、中に入っている辛子が良いアクセントで、あんまで一滴残らず頂いた。
彩り鮮やかとはこういうことのことを言うのだろうか。素材の自然な色がこんなに美しいと思ったことはあまりない。
香の物はたらこ茶漬け。
お酒の後でさらさらっと茶漬けをすするのはたまらない。
しかし、だいぶ酒は飲んだが、コーヒーが最後に出てくるはずだ。
どう考えても酒の後のコーヒーは…。しかも甘いものが出てくるのだろうけど。などと、不安にさいなまれる。
そして、とうとうやってきた甘味。今風に言うとスイーツ。
しかも大納言しること生クリームにコーヒー。
大納言とは小豆の品種で、大粒のものをいう。なかなか食べ応えがある。
ふと気が付くと、充満していたサンマのにおいが消え、コーヒーの香りが広間を包んでいた。
後ろでブーンと小さい音を立ててマシーンから「究み」が入れられる。
不思議とコーヒーの香りで脳がスイーツモードになっていた。
ちなみにこのカップとソーサーは有田焼で「究み」贈答用セットに含まれる。完全オリジナルで、他では手に入らない一級品だ。
三代目への個別取材は特に申し込んではいないのだが、ネスレ担当者の配慮で最後に組まれていた。
大トリを務める記者は三代目との二度目の「対決」に挑んだ。
--実はまだ昼食1週間抜いてランチ食べに来てないんですよ。まずはそれをおわびします
「いえいえ、今日来てくださったではないですか。それで十分です。でも来てくださいね」
(一同爆笑)
--ところで、今日の料理はどれも美味しかったですが、わさびに感動しました
「どこで感動していただいてもいいのですよ。でも何度も感動されると疲れるでしょう?だから感動は一度でいいんですよ。」
(一同大爆笑)
--前回の取材で卵焼きのお話をされていましたが、それが今でも頭に残っていて今日それがわかりました
「先ほど言われたように例えばわさびがおいしかったと思っていただければ、その余韻を大切にしたいんですよ。卵焼きの湯気だって、味だって雰囲気だっていい。楽しんでお帰りいただくのが一番なんです。うちの玄関を出るときに振り返っていただきたいんです。そこにはつきぢ田村って書いてますから。それを見ればつきぢ田村はわさびがうまかったなぁってまた思い出してもらえますでしょう?それが余韻ですよ。コーヒーだって後味の良さという余韻が大切ではないでしょうかね。”究み”はそういう余韻も残してくれると思いますよ」
こだわりと信念と少しの頑固さと大きな器の三代目の言葉こそ、余韻なのではないかとさえ思った。
恒例のがっちり握手は欠かさなかった。
三代目の言葉の余韻と、コーヒーの余韻に後ろ髪をひかれる思いで、表札を振り返りつつ、つきぢ田村を後にした。
「ネスカフェ香味焙煎 究み」はいよいよ10月1日発売となる。
※写真はすべて記者撮影
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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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