池田信夫「原発のリスクよりリターンのほうが大きいなら原発が市場で選ばれるだろう」
今回はmojixさんのブログ『モジログ』からご寄稿いただきました。
池田信夫「原発のリスクよりリターンのほうが大きいなら原発が市場で選ばれるだろう」
逆にいうと、電気事業法で認めている地域独占が反競争的な規制だということである。独禁法の基準で考えると、各地域の電力会社は数社に分割して競争させたほうがよい。企業分割は独禁法上もっとも強い規制であり、軽々に発動すべきではないが、それによって電力を安定して低コストで供給できるなら、考慮に値する。これまで経産省の行なってきた電力自由化が失敗したのも、電力会社の経営形態に手をつけなかったからだ。
(中略)
発電方式として何を選ぶかは、株式市場で決めればよい。原発のリスクよりリターンのほうが大きいという電力会社の主張が正しければ、原発が市場で選ばれるだろう。再生可能エネルギーが原発より低コストだという反原発派の主張が本当なら、それを採用した企業が市場に参入するだろう。原発がいいか悪いか神学論争を繰り返すよりも、投資家に自己責任で選んでもらえばいいのである。もちろんプラントの現在価値の計算にバイアスが入らないように政府が競争条件をコントロールする必要はあるが、発電会社は東電を最大5社ぐらいに分割できるので、基本的に自由競争で問題は起こらない。外資規制も不要なので、海外ファンドも投資するだろう。このように電力業界を全面的に自由化し、市場メカニズムを活用して日本経済を活性化することが、復興の制度設計のモデルとなろう。
「池田信夫 – 問題は“脱原発”ではなく“電力の全面自由化”である」2011年04月12日『アゴラ』
http://agora-web.jp/archives/1305863.html
この池田氏の意見に賛同する。
原発がいいか悪いかという“神学論争”は、いくらやっても不毛だろう。「原発で作った電気を使っている人は、原発に対して責任を負っているか」*1 でも書いたが、原発によって電気を作っている電力会社Aと、原発によらない方法で電気を作っている電力会社Bのどちらから電気を買うのか、消費者が選べるようにすればいいのだ。
*1:「原発で作った電気を使っている人は、原発に対して責任を負っているか」2011年04月06日『モジログ』
http://mojix.org/2011/04/06/genpatsu-denki
現状では、電力会社が各地域で一社独占になってしまっているために、今回のようなヘマをやっても“潰せない”ということになり、結局はその穴埋めに税金が使われる。また、計画停電のような“計画経済”がいきなり発動されて、それを皆が黙って受け入れるしかない、といったことが起きる。
こうした弊害はすべて、電力会社に競争がなく、消費者に選択肢がないということに起因している。その独占体制に、電力会社があぐらをかいてしまっているのだ。
電力会社を選べるようにすれば、原発という発電手段がペイするのかしないのか、市場が答えを出すだろう。
執筆: この記事はmojixさんのブログ『モジログ』からご寄稿いただきました。
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