絵描きさんだけのものじゃない!? 改めて考えるペンタブレットの魅力
“ペンタブレット(ペンタブ)”というツールをご存知だろうか。
簡単に説明すれば“パソコン(PC)上で絵を描くためのツール”だ。
マウスで絵や文字を描いた経験が誰しも一度はあると思うが、なんとも描きづらく、結局断念してしまった人も多いはず。しかしペンタブはそんなストレスを感じることなく、あたかも紙の上に描いているかのように絵や文字をスラスラと描けてしまう、絵描きさんにとっては素晴らしいツールだ。
PCで絵を描く人にとって、なくてはならないこの便利道具。だが、果たして絵描きさんだけが得をするアイテムなのだろうか? そこで、思い立ったが吉日。色々と検証してみたい欲求に駆られて、紙を見るとつい謎の立方体を量産してしまう私が“紙資源の無駄遣いを防ぐ”という浅はかな名目のもと、購入してみた。ちなみに言うと、私に絵心は全くと言って良いほどない。
今回私が購入したのが冒頭の写真、Wacomの『BAMBOO PEN』。
ペンタブレットの価格は安くて3000円代から、高い物になると10万円(!)近くまでとても幅広い。その中でもこの『BAMBOO PEN』は実売で5000円~7000円とかなりお手ごろで、品質の評判も良く、私のような初心者の入門用にはもってこいだ。箱を開封した中身もご覧のとおり非常にシンプル(撮影のため包装は外してある)。
主な内容物は
・タブレット本体
・ペン
・インストールCD
の三点のみで、本体は非常に軽く、これでほんとに大丈夫か? と問いたくなるほどに薄い。インストールも簡単で5分程度で終了した。その後、とりあえずは絵を描いてみなくてはと、ペンタブの性能を生かせる筆圧感知機能付きのフリーソフト『AzPainter2』*1 をインストール。これがフリーとは便利な時代である。さて、いざペンを握りスラスラスラリと執筆開始……!
*1:『AzPainter2』
http://hp.vector.co.jp/authors/VA033749/soft/azpainter2.html
こいつ、書けるぞ! 最初こそ“少々扱いづらいペン形マウス”程度の感覚でしか操作できなかったが、慣れてしまえばそこから先は本当のペンを握っている感覚に。手元ではなく画面を見ながら書き物をするというのも不思議と違和感はなく、“ブラインドタッチ”よりも数段楽だ。書き味はまるでインクのキレが良いペンのようで、その心地よい書き味が病みつきになり、気づけば30分近く立方体を描き続けていた。時間は無駄になったが、まぁいいだろう。インク代もかからないし。
ペンタブの本業は立方体で味わったので、今度は“絵以外の目的”で触ってみることに。まずは、“メモ取り”。PCの傍らにメモ帳を置いておき、何かをメモする人は多いと思うが、うっかり書いたメモをなくしてしまった! なんてことはないだろうか。そんなうっかりを防止するには、ペンタブの出番だ。“ペイント”等の描画ソフトを起動してささっとメモを取り画像として保存しておけば、紙を失くしてしまうような心配はなくなるし、メモが増えても整理が簡単だ。更に“紙資源の節約”もできるとあって、正に一石三鳥。ちなみに、私が購入した『BAMBOO PEN』ならば、起動、保存がスムーズに行えるメモ帳ツールがあらかじめ付属されており、下記の画像の様なメモが楽に取ることができた。
次に“文書作成”。WindowsVistaには“手書き文字認識機能”という機能が備わっており、ペンタブで書いた字がそのまま文字として出力される。私はまだXPを使っているので、同様の機能があるソフトで試してみたが、これがなかなか具合が良い。キーボードで文章を打つより遥かにスピードは遅くなるものの、一文字一文字に重みがあり、良い文章を書ける……気がする。更に同じような使い道として、例えば手書きの年賀状作成や、書類への署名、他にも手書き文章をツイートしてみるなんて使い方もでき、絵ではなく“文字用”のツールとしても非常に使い勝手が良い。
最後に試したのは“ゲーム”。こちらは幾つかのジャンルを試してみたので、一挙に記載する。
●FPS(一人称シューティング)
結果は”惨敗”。『BAMBOO PEN』の機能として浮かせて操作しなければならない仕様が仇(あだ)となり、グルグル画面が回りゲームにならず。
●RTS(リアルタイムストテラジー)
意外と良好。多くのユニットを指揮する素早いマウスさばきが要求されるが、慣れるとすんなり動かせる。ただしマウスの方が断然使いやすい。
●RPG(ロールプレイングゲーム)
相性良し。激しく動かす必要がないため、大きめの『ニンテンドーDS』といった感覚でプレイできる。私はマウスよりもペンタブの方が気に入った。オンラインRPGにも応用できるだろう。
●ノベルゲーム
相性良し。そもそもクリックぐらいしかすることがないので、問題なくプレイすることができた。ペンをとんと置くだけでクリックしたことになるので、“クリックゲー”に飽きる心配も少し減少するかも?
というような結果となった。中には多少遊びやすくなるジャンルもあったが、全体的に見ればペンタブは“あまりゲームには向いていないツール”と言わざるを得ない。製品によって異なるが、ホイール機能がないのも非常に厳しいところ。ただ、『イライラ棒』のようなFlashゲームは非常に快適に遊ぶことができたので、一概に“無理”というわけではなさそうだ。なお、基本的にペンタブはゲーム用のツールではないので、試す時はその点に留意してプレイしてほしい。
さて、初めてペンタブに触れてみて感じたのは、決して“絵描き専用ツールではない”ということだ。単純に触っているだけでも心地よいし、少々童心にも帰れたりする。アイデア次第では様々な使い方ができる可能性を持ったペンタブレット。もし少しでも興味があるのなら、是非一度手に取ってみてほしい。もしかすると、隠れた絵の才能が芽生えるなんてこともあるかも……?
※冒頭の画像はAmazon.co.jpより
※この記事は一芸記者の おにおさん が執筆いたしました。
執筆:おにお:遊びは浅く広くがモットー。多趣味な器用貧乏で好き嫌い無くなんでも食べる雑食ゲーマー。一般人の目線で主にゲーム業界を見通します。でも自分の体重は見通せません。
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