介護保険料の自己負担増加、少子高齢化では避けて通れない道?

介護保険料の自己負担増加、少子高齢化では避けて通れない道?

加入者の報酬が高いほど介護保険料の負担が大きく

健康保険・国民健康保険に加入している40歳以上の人が負担する介護保険料。政府は、この介護保険料について新制度の導入を検討しており、各保険組合の加入者数により拠出している介護納付金を、加入者の報酬が高いほど保険料も多くなる総報酬制度に2018年度から変更する方針を固めました。

そして2015年8月から、第1号被保険者のうち、収入から控除を差し引いた所得金額が160万円以上(年金収入のみの人は収入ベースで280万円以上)の人は、介護サービス利用時の自己負担割合が1割から2割になります。この負担割合は、自身の保険証で確認できます。例えば、要介護5の人は、自己負担上限が2万1000円から4万2000円に引き上げとなります。介護保険の自己負担額の上限も月額3万7200円から4万4400円に引き上げられます。

また預貯金が1000万円を超える人(現在は自己申告制)は、特別養護老人ホームなどでの食事代補助がなくなります。また一定の場合を除き、特別養護老人ホームには原則65歳から、要介護3以上でなければ入所できなくなりました。

介護サービスを受ける人が増える中、2割負担は避けて通れない道

団塊の世代が65歳を迎え、今後介護サービスを受ける人が増えていく中、厚生労働省の統計によると、日本の労働人口は2012年が6628万人、2017年に6556万人、2030年には6180万人に減少すると予想しています。

年金制度は、現役世代が高齢者を支えるという相互扶助の精神があります。介護保険についても、利用する人の保険料や利用料負担がありますが、介護保険を使わない現役世代の負担や公費(国、都道府県、市町村)もあわせて制度が維持されています。しかし、企業経営と同じで収入より支出が多いと赤字になります。赤字が続くと、支出の削減をするか、収入を増やすかのどちらかを実行しないと、いずれ破たんします。その意味では、今回の2割負担の導入は避けて通れなかった道だと思われます。

2025年には8200円程度に上昇する見込み

介護保険制度導入時の2000年には、第1号被保険者の支払う介護保険料の平均は2900円程度だったのが、2014年には5000円程度になり、2025年には8200円程度に上昇すると見込まれています。

政府管掌健康保険(現在の協会けんぽ)は、2003年4月より被保険者本人の自己負担割合が3割(家族や国民健康保険の加入者は以前より3割)となっていますが、1997年8月までは1割負担でした。介護保険についてもいずれは、高所得者は3割、その先には自己負担割合一律3割という時代が到来するのかもしれません。

(泉田 裕史/税理士)

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