“ご褒美”で子どもを釣る育て方はアリ?
電車に乗っていると、車内で騒ぐ我が子に対して「静かにしないとお兄さんに怒られるよ!」「言うことを聞かないとお化けを出すよ!」というふうに叱る親をよく目にする。子育てをしたことのない筆者だが、子育ての大変さを垣間見る半面、何が悪いのかを教えない、その場しのぎの叱り方に疑問を感じるのも確かだ。
最近見かけたのは、レストランで好き嫌いをする子どもへのしつけで、「グリーンピースを食べないとアイスは食べさせないよ!」というものだった。つまり、「アイス」という“ご褒美が欲しければ、嫌なことも我慢しなさい”ということになるが、子どもはなぜ好き嫌いをしてはいけないのかを理解しないまま、アイス食べたさにグリーンピースをいやいや流し込むのではないだろうか。これって本当に「しつけ」や「教育」になっているのだろうか?
『親が読む子どものための一生折れない自信のつくり方』(アチーブメント出版/刊)の著者である青木仁志氏は、“ご褒美で釣る教育”は、「一時的には非常に効果がある」としながらも、親子の人間関係を破壊する致命的な習慣であると指摘している。
“ご褒美で釣る教育”がそんなに悪いことなのか?と疑問に思う人もいるかもしれない。「テストの点がよかったらゲームを買ってあげる」といったコミュニケーションは、子どものやる気を引き出す教育のひとつとも思える。しかし、青木氏によれば、「ご褒美で釣る教育は、言う通りにしない人を脅したり罰したりすることと本質は同じで、すべて自分の思い通りになるように相手をコントロールしようする教育」なのだという。
子どもをコントロールしようとする教育は、結局のところ子どもの欲求は満たされない。指示に対する理由を説明されないままコントロールされたい人はいないと思うが、それは子どもも同じだ。気持ちの整理が付かないまま、怒られたこと「悪いもの」とそのまま覚えるだけでは、親子の人間関係に良い影響を与えないのは確かだろう。
こういうことが続くと、子どもは問題に向き合わず回避することばかり考えるようになったり、解決できないことは他人のせいにするようになってしまうという。そればかりではなく、苦痛やストレスから解放されようと、親への無視、反発、犯行、引きこもり、登校拒否といった、問題行動にも繋がりうる。
では、どうすればよいのだろうか。青木氏は、子どもをコントロールしようとするのはやめて、「一人の人格」として扱うことを意識すると良いと言う。子どもが教育上問題だと思う行動をしても、ガミガミ怒ってコントロールしようとせず、まず子どもを理解することが大事なのだ。
子どもはなぜそういう行動を取ったのか、それは悪いことと認識しているのか、していないのか。前述の親たちは公共の場でやむをえなかったのかもしれないが、むやみに“ご褒美”をちらつかせるのではなく、根気強く説明するというしつけが、長い目で見れば親子互いのためにいいということは理解しておいたほうがいいだろう。
(新刊JP編集部)
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