完成度高すぎで話題! 『インサイド・ヘッド』監督インタビュー「これは親の成長物語でもあるんだ」
映画史を変えた世界初の長編フルCGアニメーション『トイ・ストーリー』を世に送り出してから20週年を迎えるディズニー/ピクサーが贈る待望の最新作『インサイド・ヘッド』。現在大ヒット公開中です。
この独創的なストーリーの監督を務めるのはピート・ドクター。ピート・ドクター監督は、『カールじいさんの空飛ぶ家』で世界中に感動の渦を巻き起こしアカデミー賞を受賞。監督デビュー作となった『モンスターズ・インク』、『トイ・ストーリー』のキャラクター開発、『ウォーリー』の脚本原案&製作総指揮など、ディズニー/ピクサーの“感動作”には欠かせないピクサーの主要メンバー。
彼が娘(12才)の成長を見守る中で見つけた心の変化に着眼点を得て考えられた作品で「これ(『インサイド・ヘッド』)は誰しもが経験したストーリーだから興味を持ってもらえると思うよ」と、成長過程で誰にでも訪れる(訪れた)変化を描いたストーリーであることを語っています。今回はピート・ドクター監督と、共同監督のロニー・デル・カルメン氏にインタビュー。色々とお話を伺ってきました!
【映画クロスレビュー】ピクサー待望の最新作は大満足の完成度!『インサイド・ヘッド』
https://getnews.jp/archives/1048628
―映画を拝見して、素晴らしすぎるストーリー展開にうなるばかりだったのですが、共同監督だからこそ出来た事、というのも多いのでしょうか?
ピート:本作では、ロニーのアイデアがたくさん反映されています。劇中に、ライリーにとって重要な要素が集まった島々が出て来たでしょ? あれは、ライリーの個性をどうやって“カタチ”にするかというロニーのアイデアによって生まれたものです。僕は監督として、美術やアニメーション、照明など全てを担当しなくちゃいけないから、ストーリーやキャスティングなどは、ロニーに任せる部分が多かったんだよ。
ロニー:そのおかげで失敗した時は全部僕のせいになるんだ(笑)。
―2人とも息ピッタリという感じですね!
ロニー:ピートとは『カールじいさんの空飛ぶ家』を含め、今まで2作品で一緒に映画作りに関わっているから、お互いのリズムや強みを知っているんだ。『インサイド・ヘッド』でも一緒に組む事が出来て本当に幸せだよ。僕一人ではここまでの映画は作れない。
―本作はピートさんが自分のお子さんを観察していて思いついたストーリーだそうですね。
ピート:人は誰もが幸せになりたいと願います。しかし、人生は複雑で、がっかりする出来事もあるし、失うものもたくさんある。いつも幸せなではいられません。そして、全ての親が子供の幸せを願うものだけれど、必ずしもそうはいかない。そんな時、私たちは何ができるのか、どう対処していくのか、という、全ての人の人生に共通する視点が『インサイド・ヘッド』の原点なんです。
子供って、さっきまで無邪気だったのに、いきなりシャイになったりするよね。ライリーもこれまで“おふざけ”していたのに、いきなり心を閉ざしてしまう。この映画は、親の視点で描いているとも言えるね。「ヨロコビ」は、ライリーが赤ちゃんの時から成長を見守ってきた親の様な存在。ライリーは成長していくけど、「ヨロコビ」は、親として子供を手放したくない。子離れ出来ない様な状態だ。
―こうしてお話を聞いていると、ライリーを守ろうとする「ヨロコビ」の行動は、子を守ろうとする親の行動そのものと思えますね。
ピート:そうだよね。「ヨロコビ」はライリーに幸せになって欲しいという思いから、自分だけでライリーを「カナシミ」から守ろうとします。でも、最終的に「子供を手放さなければいけない時」が来るのだと気付く。これは親にとって大変な冒険ですよ。この映画は、ライリーの成長だけでなく、親の成長も描いているんです。
―親、と言えば、父親と母親の脳の違い……、つまり男女の脳の違いは笑えました!
ピート&ロニー:(顔を見合わせて、苦笑い)
ピート:僕達は2人とも結婚しているから、あのシーンには2人の体験談がかなり活かされているよ(笑)。
ロニー:僕もしょっちゅう妻に言われるんだ。「今、私の話聞いていなかったでしょう?」って。そんな時は僕の頭の中の感情がお騒ぎだよ(笑)。
―その他、この映画での注目ポイント/こだわりを教えていただけますか?
ピート:一見すると気付かない人もいるかもしれませんが、『インサイド・ヘッド』には衣装デザイナーがついています。ファッションは、人のキャラクターや気分が反映されるものですよね。11歳の少女ライリーとライリーのお母さんの気持ちや気分は、場面によって服でも表現されています。例えば、ライリーは幸せなときはカラフルに、気分が落ち込むに連れて落ち着いた色味の洋服を身につけています。
―観ればみるほと、細かい気付きがありそうですね! 今日はありがとうございました。
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