100万分の1ミリメートルの世界!超ミクロサイズのナノチューブで、ガン細胞を検出して破壊
ガンは現代の日本人にとって、もっとも恐ろしい病気のひとつ。
そんなガンの治療に、ナノテクノロジーを活用しようと、University of LeedsのSunjie Ye氏を中心とするチームによって研究が進められている。
・ガン細胞の治療に役立つナノチューブ
医療分野では、100万分の1ミリメートルというミクロなレベルで研究や治療がおこなわれている。今チームが取り組んでいるのが、金のナノチューブを用いて、ガン細胞の画像撮影、破壊に役立てようというもの。ナノチューブはストローのような形状をしているという。
・赤色の光が皮膚を透過する特性を生かす
人間の細胞組織には、ある特定の周波数の光が透過する特性があるという。太陽に手をかざしたときに、手のひらが赤く染まったように見える、という経験があるだろう。これは、赤以外の光は生体を通過できないため、赤色だけが見えているという現象だ。
研究チームでは、“赤色光だけが生体を透過する”というこの特性に注目した。ナノチューブは、近赤外光線周波数の光を吸収し、それを太陽が肌を温めるのと同じように熱エネルギーに変換、人間の肌を透過する働きを担っている。
・高温のレーザーでガン細胞を破壊
高温のレーザーを使い、その熱線でガン細胞を焼き切る。レーザーパルスの明るさをさまざまに変化させることができるので、低レベルでは細胞の画像撮影を、高レベルでは腫瘍細胞を焼くなど、目的によって調節可能になっている。
・体内に薬剤を運搬するツールとしても
また、ナノチューブには薬剤を保管するスペースが設置されているので、同時に目的の場所まで薬剤を運搬することもできる。
・体への負担を最小限に抑える技術
現状では、ネズミで治験している段階であり、人体の治療に用いられる日はまだ先になりそうだ。とはいえ、化学療法によるガンの治療は、どうしても望まない副作用が出てしまうこともあり、人体への負担は大きい。
非常に小さいナノチューブを使い、細胞や体内に与えるダメージを最小限に抑えて、治療を進められるメリットは大きいだろう。
ウェブサイト: https://techable.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。