7割の女性が“ひな人形”を飾らない? 日本の住宅事情とひな祭り

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「あかりをつけましょ、ぼんぼりに~♪」3月3日はひな祭り。各地で絢爛(けんらん)豪華なひな人形が飾られ、女の子の健やかな成長と幸せが願われている。だが、現在の各家庭ではどれほど飾られているのだろうか。2008年にオリコンが行った調査によると、7割以上の女性が「今年は、飾らない予定」と答えている*1。

*1:「時代の変化? ひな人形“飾らない”約7割」2008年02月27日『ORICON STYLE』
http://www.oricon.co.jp/news/ranking/52354/full/

「出すのもしまうのも大変だし、場所を取るから」というのが主な理由に挙がっているが、確かに核家族化や共働きがあたりまえとなった現在において、五段、六段もある絢爛(けんらん)豪華なひな人形は無用の長物となっているのかもしれない。だが、ひと昔前なら多くの家庭にあったひな人形は、いったいどこに消えたのだろうか。

そんな無用の長物となった各家庭のひな人形に、もう一度日の目を見せようというのが千葉県勝浦市で開催されている『かつうらビッグひな祭り』*2 である。2万5000体以上のひな人形を集めて市内各所に飾るというなんともスケールが大きなイベントだ。ここに集まったひな人形は、全国勝浦ネットワークの縁で徳島県勝浦町から譲り受けた7000体に加えて、各家庭から寄贈されたひな人形たちである。毎年全国から約600件届いているという。この『ビッグひな祭り』は、1989年に徳島の勝浦町で始まり、2001年に千葉県勝浦市で、2002年に長野県須坂市で催されるようになったイベントである。ひな人形たちは各家庭から、町おこしのイベントへと移動していたのだ。

*2:『千葉県勝浦市ホームページ かつうらビッグひな祭り』公式サイト
http://www.city.katsuura.chiba.jp/event/hinamatsuri.html

東京でもひな人形を集めて飾っているところはないかと探したところ、意外と身近にあった。東京都三鷹市の三鷹駅前コミュニティ・センター*3 である。1階のスペースに約100体のひな人形が飾られている(トップの写真)。なかなかに迫力のある光景だが、どういう経緯で飾られるようになったか、事務局長の栗原さんに伺った。

*3:『三鷹駅前コミュニティ・センター』公式サイト
http://www1.parkcity.ne.jp/ekimaecc/

栗原さん

栗原さんによると、この催しは三鷹駅周辺住民協議会で提案され、2002年からコミュニティ・センターの有効利用やPRも兼ねて行っているという。市の広報でひな人形の寄贈を呼びかけたところ、予想以上の反響があったそうだ。現在はセンターの倉庫いっぱいに集まってしまい、新規の寄贈をお断りしている状態だという。また、以前は各ひな人形を個別に並べていたため手間がかかり、見栄えももう少しだったが、住民協議会の委員に一級建築士の方がおり、大きなひな段を製作してもらって現在の形になったとのこと。ケーブルテレビに取り上げられるなど反響も上々で、筆者が取材した日も、多くの人がひな人形の前で写真を撮っていた。なお、寄贈されたひな人形は保管し、毎年飾り、傷んできたら供養に出すとのことであった。

ひな人形供養も人気で、宮城県の大本山成田山仙台分院には毎日のようにひな人形が届くという*4。傾向としておもしろいのは、住宅事情を反映してか、お内裏さまとおひなさまは手元に残し、三人官女や五人囃子(ごにんばやし)のみを供養に出すというケースも多いことだ。限られた住居スペースの都合でお役ごめんとなる三人官女や五人囃子(ごにんばやし)の心中を察して余りあるところだ。女の子が産まれて大きくなるまでの一時期だけひな人形を飾るという家庭もある。『Yahoo!オークション』には3000件以上のひな人形の出品があり、中古で購入するのは非常に容易であるし、使い終わったら再度出品ということも可能だ。

*4:「ひな人形:正しい片付け方と処分法」2011年03月02日『毎日jp(毎日新聞)』
http://mainichi.jp/life/today/news/20110302ddm013100166000c.html

このように現在の日本の住宅事情から無用の長物となったしまっていたひな人形だが、地域に寄贈して大規模なひな飾りを楽しんだり、お内裏さまとおひなさまだけを残して楽しんだり、あるいは中古での購入と売却を行って一時期だけ楽しんだりと現在にあわせたスタイルでひな祭りを楽しんでみてはどうだろうか。

※この原稿はガジェット通信一芸記者「西嶋一泰」さんが執筆しました。
●西嶋一泰さんプロフィール:ガジェット大好きサブカル大学院生。専門は民俗芸能で、デジモノやアニメとともに、日本各地の祭りや踊りの記事をお届けします。各種イベントやシンポジウムの体験記事も書いていきたいです。

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