休眠口座ない?相続で残された家族を困らせないために

休眠口座ない?相続で残された家族を困らせないために

いつから休眠口座になるのか?

金融機関が休眠口座にする目安は、取引がなくなってから銀行は5年、信用金庫などは10年ですが、この期間を過ぎても払い戻しに応じてくれます。しかし、独自のルールを定めている銀行や、民営化前の郵便貯金など、例外の金融機関もあります。

例えば、りそな銀行では、2004年4月1日以降に新規開設した普通預金口座で、最後の入出金から2年以上動きがない1万円以下の残高の場合は、休眠口座として取り扱います。そして、届け出ている住所に文書通知を行った後も口座に動きがないときは、休眠口座管理料として年1200円引き落し、引き落しが不能となった時点で自動的に口座を解約するルールです。

民営化前(2007年9月30日以前)の定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金に関しては、満期後20年払い戻し請求がなく、届け出の住所地に文書で通知した後も払い戻し請求がなければ、2か月後に権利が消滅します。ただし、通常郵便貯金、通常貯蓄貯金は、10年で休眠口座になるものの、払い戻しの請求はできますが、20年2か月経過すると権利が消滅してしまいます。

多額な残金の休眠口座も。相続税の修正申告を求められることも

休眠口座が発生する理由は、「転職で給与振込口座が変更され利用しなくなった」「親が子名義で作っていた」「結婚後、名字が変わったため利用しなくなった」「引っ越しにより銀行が近くになく、そのまま利用しなくなった」「通帳・印鑑・キャッシュカードなどの紛失により放置していた」など、さまざまでしょう。

割合としては、キャッシュカードで引き出しできない1000円未満の口座が多いと思われますが、多額な残金の口座だってあるのです。例えば、認知症になってしまった親が通帳をしまい込んでしまっていて、相続のときに見つからなかったりすることもあります。

そして、相続のときに困るのは、何も解約手続きだけではありません。相続税の申告も関係することがあります。例えば、相続のときに残高が多い預貯金に気付かなかったとしても、その後に払い戻しができる預貯金があったら、払い戻しの手続きをするのではないでしょうか。その際、遺言書がない場合は遺産分割協議が必要ですが、その時点で、本人死亡時の相続人が既に死亡していると、相続人の確定や遺産分割協議書を作成するのもひと手間かかります。

さらに、休眠口座も相続財産ですから、気づかずに相続税の申告をしてしまうと過少申告になります。後日、税務署から指摘されて、相続税の修正申告をしなければならないことだってあるのです。

使用していない口座は解約しておく

相続のときに、相続人が気づかないのを防いだり、手続きで大変な思いをさせたりしないために、使用していない口座は解約しておく、または、現在の住所に変更しておく、入出金や振り込みなどで口座を使用するなどの対策をしておきましょう。

また、金融機関が合併する前の通帳を持っている場合、金融機関名だけではなく、支店名も変わっていることがありますので、古い通帳は解約したり新しい通帳に変えてもらったりすることも必要です。事前の解約や、住所、名字が変わった場合など、必要な書類や手続きできる窓口を事前に金融機関に確認してから行うとスムーズでしょう。

(明石 久美/ファイナンシャルプランナー)

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