プレイヤーからクリエイターへ ゲーム実況を取り巻く環境の変化とは

プレイヤーからクリエイターへ ゲーム実況を取り巻く環境の変化とは

「ニコニコ町会議 in 愛知県 名古屋市 栄」ゲーム実況ブースの様子
ニコニコ動画やニコニコ生放送を中心に、動画サイトの一大ジャンルとしての地位を築く「ゲーム実況」を取り巻く状況が、近年大きく変わりつつある。

かつては著作権保護の観点などから、「あくまでグレーゾーン」という暗黙の了解のもと行われていたゲーム実況。しかし最近では、ゲームメーカーをはじめとした各企業により、ゲーム実況主を支援するさまざまな取り組みが展開されているのをご存知だろうか?

今回は、そんな激動の時代を迎えたゲーム実況界の最前線に迫る。

任天堂がゲーム実況動画配信を許諾

2014年12月、ニコニコ動画の提供する「クリエイター奨励プログラム」に準じて、任天堂が自社の著作物を利用し、ゲーム実況動画をはじめとした二次創作を行うことを公式に許諾した。

「クリエイター奨励プログラム」とは、その名の通り、ニコニコ動画や生放送で活動するクリエイターを支援する制度。投稿作品の人気度に応じて、クリエイターには奨励金が支払われる。

これ以降、ゲームメーカーをはじめとした各企業が、ゲーム実況を容認する動きを見せはじめた。この任天堂の取り組みは、ゲーム実況界における大きなターニングポイントとなったといえる。

企業の公式イベントに実況主が登場

同じく12月に、オンライン専用のアクションシューティングゲーム『Destiny』を題材とした、PlayStation4による公式オンラインイベント「DREAM MATCH feat. Destiny」が開催された。

PS4には、ゲームプレイ動画を配信できる「SHARE」機能がついており、誰でも簡単にゲーム実況配信ができるようになった。

そこで本イベントに13名の有名ゲーム実況主が登場し、抽選で選ばれた一般プレイヤーとチームを組み、トーナメントイベントを実施。各プレイヤーによってPS4から配信された動画にプロの実況や解説を交え、その様子はUstreamの公式番組として生中継された。

また、1月31日、2月1日に開催された、ゲーム大会とゲーム実況の祭典「ニコニコ闘会議」では、会場の至るところで実況主がプレイを行ったほか、任天堂をはじめとした企業のゲームブースも設置。

このような企業の公式イベントに、「ゲーム実況」がひとつのコンテンツとして取り入れられる事例も見受けられるようになった。

さまざまな企業がゲーム実況関連サービスを提供

企業がゲーム実況主のためのプラットフォームを提供したり、ゲームメーカーのプロモーションとして活用したりといった動きも見られるようになった。

DeNAが提供する仮想ライブ空間サービス・SHOWROOMでは、ゲーム実況大会をはじめとしたゲーム実況に関連するイベントを開催している。同サービスにおける、ゲーム実況分野の充実を意識しているようだ。

サイバーエージェントの連結子会社・渋谷クリップクリエイトは、200名を超える人気ゲーム実況主のネットワークを活用し、ゲームメーカーの動画プロモーションを支援するサービス「PLAY CLIP」の提供開始を発表している。

また、6月15日には、トレンダーズがゲーム実況に特化した動画プラットフォーム「プレイム」の提供を開始するなど、国内の有名企業がゲーム実況動画に関する取り組みを行っていることがわかる。

さらに米Googleは、ゲーム動画や実況に特化したサービス「YouTube Gaming」を、今夏にアメリカやイギリスでスタートすることを発表。

海外でもTwitchなどのゲーム実況動画の配信プラットフォームが人気を集めているなか、大手動画サイトもゲーム実況動画に注目しているようだ。

ゲーム実況専用スタジオの登場

4月には、サイバーエージェントの子会社・CyberZにより、国内初のゲーム実況専用スタジオ「OPENREC STUDIO」がオープンした。

一般の撮影機材や音響機器などのほか、各種ゲームデバイスが取り揃えられ、気軽にゲーム実況動画やイベント企画などの撮影や編集、ライブ配信ができるようになっている。

CyberZは、スマホゲームに特化した録画・コミュニティサービス「OPENREC」を提供している。本スタジオの運営を通して、ゲーム実況の新たな取り組みが生まれる新拠点をつくりだすとともに、スマホゲーム市場の発展を推進していくという。

前述した「クリエイター奨励プログラム」の事例からも見て取れるように、ゲーム実況主は、単なるゲームのいちプレイヤーから、実況動画という強いコンテンツの「クリエイター」としての立ち位置を築きつつある。

ゲームメーカーも、ゲーム実況をひとつの宣伝媒体として、自社製品のプロモーションへと積極的に取り入れる動きが見られる。実況主と企業とのシナジー効果によりゲーム業界はどのように変貌していくのか、今後の動向が楽しみである。

引用元

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