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介護と仕事を両立する「ワーキング・ケアラー」 企業が支援に乗り出す時代に

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「ケアラー(carer)」という言葉をご存知でしょうか。家族や親族の介護・看護にあたる人を指す言葉です。働きながら介護・看護をする「ワーキング・ケアラー」は、人口構成の変化に伴い増えていくと見られています。

しかし、仕事と介護を両立する大変さは想像に難くありません。ワーキング・ケアラーの増加は、先進国に共通する課題。英ガーディアンはこれからの企業にとって、仕事と介護を両立できる職場作りが重要であると指摘しています。(文:遠藤由香里)
介護しやすい職場作りは「人事戦略」の一環

英国では現在、高齢者や病気、障害のある家族の介護・看護にあたるケアラーが650万人おり、そのうち300万人が働きながら介護をしているとか。ケアラーの数は2037年までに900万人になり、ワーキング・ケアラーも増加すると見られています。

記事では非営利組織ビジネス・イン・コミュニティーによるレポート「ミッシング・ミリオン」を紹介し、配偶者や親族の介護は早期退職につながると指摘。企業は介護がビジネス上直面する重要課題となっていることを認識し、対応できる職場を作るよう呼びかけています。また記事では、企業は以下のことを確認すべきとしています。

・ワーキング・ケアラーへの対応方法が、人材活用方針に挙げられているか。または先行事例があるか
・どの社員が、介護と仕事の両立に取組んでいるかを把握しているか
・ワーキング・ケアラーに、フレックス勤務やパートタイム勤務を認めているか
・社内にケアラーのネットワークを作っているか
・管理職に、ワーキング・ケアラーのニーズや対応方法を学ぶ研修を行っているか

英国では、企業が「エンプロイヤー・フォー・ケアラー」というネットワークを作り、各社の取組み事例を共有しています。さまざまな業界から90社ほどが加盟し、人事担当者や管理職向けの研修やコンサルティングを行っており、ワーキング・ケアラーのためのストレスマネジメントや柔軟な働き方の導入に関する研修なども見られます。
介護を理由に離職する日本人は年100万人レベル

ここで日本の状況を見てみましょう。英国とは集計基準が異なりますが、厚生労働省の資料[PDF]によれば、15歳以上で普段高齢者の家族を介護している人は2011年で約683万人。1991年と比較すると約2倍に増加しています。働きながら介護をするワーキング・ケアラーは約240万人となっています。

注目したいのは、ワーキング・ケアラーの年代です。50代・60代が多く、4人に1人が課長クラス以上。キャリアを重ねたベテラン社員や管理職が、介護のために仕事を辞めてしまっては大きな損失でしょう。

日本で介護を理由に離職した人の数は、2012年の調査で94.9万人にのぼり、その理由には「労働時間の長さ」や「出勤・退勤時間の自由度のなさ」が挙げられています。企業にとって介護をしながら働ける職場環境を作ることが必要になりつつあることが分かります。

なお、英国に比べて日本は、ケアラー全体に対するワーキング・ケアラーの割合が低くなっています。これは専業主婦に介護の負担が偏っている可能性があり、必ずしも介護離職をした人の多さを意味するものではありませんが、英国企業の取組みはこれからの職場づくりにおいて参考になりそうです。

(参照)Caring about carers who work for you is part of being a sustainable business (The Guardian)

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